留守番係をリクルートしよう
地下室で飛び回る精霊と走り回る精霊王に囲まれて、工作に励んでいた。
チビはそばで丸くなっており、そのそばでガン助が首を出したまま居眠りしていた。ピーコは精霊樹にとまって精霊となにやら話しているらしく、じいはガン助の甲羅の上で昼寝中のようだった。
作っているのは、人形だ。
こちらに来客なり電話があれば、精霊王が連絡してくれる。
しかしエルゼで何かあっても、こちらにいてはわからない。なのでエルゼにも留守番がいると思うのだ。
「精霊もエルゼには行けないんだな」
試しに連れて行こうとしてみたが、だめだった。どうも精霊というものはその土地に紐付けされるようで、地球から離れられないようだ。
僕と幹彦はチビの関係者特典というところのようだし、ピーコたちはこちらの神獣で、神獣ならほかの世界にもわたる事ができるらしい。まあ、他の世界を見学でもして参考にしろという事だろうか。
なのでこの人形をエルゼの留守番係にするためには、向こうで高位精霊かそれに代わる何かを見付けなければいけない。
「何かないかなあ」
呟くと、幹彦が腕を組む。
「ううん。大人しい動物か魔物だとどうだ」
「人と同じ動きをするものじゃないと、体の動かし方がわからないと思うなあ」
ヒトだって、突然魚の体に入れられたりしたら困ると思う。
「確かになあ」
それで僕達は考え込んだ。
「レイスとかはどうだ」
チビがふと思いついたように言った。
「ああ、元は人間だったんだしな」
「ただ、体を得て何かしようとしないかな」
お互いに黙って考える。
「ま、面接すればいいか」
候補が決まった。
エルゼへ行き、意欲あるレイスを探して面接しようと思ったが、どこに行こうか。
まず思いついたのは墓場だが、なぜかダンジョンでは誰もに見える幽霊は、ダンジョン外ではほとんどの人に見えない。
これが日本だと魔素の有無が原因かと思う所だが、こちらの世界でも同じだとすると、その推測は間違いだと言わざるを得ない。
では何が原因なのだろう。残念ながら、今は思い当たるものがなかった。
考えている間に、幹彦とチビで相談をしていた。
「ダンジョンだと、ダンジョンの外に出せないだろ?じゃあ、だめだな」
「やはり、古戦場跡とか、事故のあった場所とか、刑場とか、古くからある貴族の家とかじゃないか」
「いわゆる心霊スポットだな。
それにしても、そこに貴族の家が入るのか」
「昔から血なまぐさい事の連続だ。そういう意味じゃあ、城の後宮はたくさんいるかも知れんぞ。しかも美人ぞろいが」
「うわあ、色々と想像しちまうぜ」
それで結局、そういう場所を順番にまわる事になった。
そう。これは結局、心霊スポット巡りというやつである。




