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若隠居のススメ~ペットと家庭菜園で気ままなのんびり生活。の、はず  作者: JUN


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大捜索

 目撃談と憲兵隊の調査からアジトではないかと目を付けていた場所へ踏み込む。

 が、もぬけの殻だった。

「いねえ!」

 イライラとコーエンが言って机を蹴る。

 しかし、残されていたものを読んで手がかりを探していた幹彦とチビは、それを見付けた。

「地図に印が付いてるぞ」

「そこは遺跡だ。昔の祭祀場跡とされるところで、大したものは見つかっていないはずだぞ、ミキヒコ」

「じゃあ、ここは隠れ場所の一つか?」

 聞いていたクリルや憲兵隊長はそこに捜索隊を向かわせるべきかどうか検討し始めたが、メイはフムと頷き、言った。

「では、そこに使い魔を飛ばしてみよう」

 言うや、肩にとまっていた小鳥に小声で囁き、小鳥を外へ飛ばした。

「伝書鳩か?」

 幹彦は思わず言った。

「ん?デンショバト?」

「あ、何でもない」

 言い、どこかに史緒の痕跡がないかと探す。

 チビはクンクンとしながら、悔しそうに言う。

「魔封じの首輪でもはめられているんだろうな。そうでないと、大人しく誘拐されているわけもないし、フミオの痕跡がプッツリと路地で途絶えているわけも納得できる」

 と、遺留品を調べていたガイが深刻そうな声をあげる。

「魔術士の祖を蘇らせるとか書きなぐってるな。それに、名前を知られた魔術士の一覧表みたいなものも」

 ワッと集まる。

 それで1人がポツンと言った。

「もしかして、世界を滅ぼそうとした魔術士が封じられているのって、ここか」

 それに幹彦は怪訝な顔をしたが、皆は誰でも知っている事のようで、ハッとしたような顔や、考え込むようなそぶりを見せた。

「あれはおとぎ話みたいなものだろう?」

「でも、強大な力を持つ魔術士をどうにかこうにか各国の魔術士が力を合わせて封じ込めたっていう童話が実話だっていうのは、昔から言われてるじゃないか」

「いや、それは子供向けの童話の話で、実際は倒しただけ。魔導士の祖国の生き残りである旧クラム人が魔導士の遺体を盗んで、どこかに隠して復活を画策したまま滅んだんだよ。学者がその場所がどこか研究してるけど、よくわからないんだよな」

「そのまま遺体が朽ち果ててたりしねえのかよ」

 幹彦はぼやきながらも、その紙を見ていて気付いた。

「史緒の名前も最後にあるぞ。術式の作成と展開が特異?同行者は武人1人と子犬?」

「ターゲットとして選ばれたのかもしれないな。

 すぐにその遺跡に向かおう!」

 クリルが言って、どうするべきか意見が割れた。

 幹彦とチビは、とにかく手掛かりがそこぐらいなので、行ってみたいと主張するが、メイが飛ばした使い魔の報告を待つべきだとの意見も出る。

「世界を滅ぼす気の魔導士を復活させられちゃどうしようもないわ。慎重に行くべきよ」

「だから唯一の手掛かりが遺跡なんだろうがよ、蒼炎!」

 揉めだした。

 その時、地面がグラリと揺れた。

「何!?」

 この世界では地震はそう起きないのか、全員が驚き、慌てているが、日本人の幹彦は違う。

「地震か!?大きいぞ!机の下──いや、外に出ろ!急げ!」

 それで皆慌てて外へと飛び出した。

 そうして、それを見た。

 晴れていた空が曇り、その雲がある一点に集中していく。

「あれって、地図の?」

「遺跡の方角だ!」

 何が起こっているのかはわからないが、幹彦は血の気が引いた。

「俺は行く!」

「待て、幹彦!魔導士が蘇ったんなら史緒は手遅れだ。魔導士をどうするかがこの先──」

「黙れ──!」

 幹彦はガイを睨んだ。

「史緒は簡単にくたばる奴でも、素直に黙って利用される奴でもねえんだよ」

 身を翻しかける幹彦に、クリルが続く。

「私も行こう!」

 と、地響きと大音響が響き渡り、全員が遺跡の方を見た。

 遺跡のある山に天とつながるまばゆい光の柱が立っている。

「うひょう!これは行かないとヤベエだろう!」

 コーエンが面白そうな顔付きで言い、メイも青い顔で言う。

「魔導士が蘇ったのかも。あれは失われた古代魔法の術式だわ!」

 それで一部の憲兵を残し、全員で遺跡を目指したのだった。







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