終章 帰ってきた日常③
学校近くの駐輪場。そこにやたらと派手でどでかいバイクが置かれていた。
「ほら~見て見て。改造して三人乗りが可能になったんだよ~」
能天気な優の声。
「あんた……これ捕まるでしょ!」
呆れたような千里の声。
「相変わらずだな、優。乗るのはいいけど、責任は取らないぞ」
ため息交じりの孝二の声。
「って、こら、孝二! 馬鹿優の誘いに乗らない!」
千里がバイクに跨ろうとする孝二を必死に止める。
「もう、千里ちゃん硬いよ。ちゃんと警察の巡回ルートは把握してるし、逃走経路もちゃんと確保しているから、大丈夫だよ」
「お前、その情報どっから持ってきた……?」
「ちょっとある筋からね。それに千里ちゃんも興味津々なんでしょ?」
「え、わ、私は別に……」
巨大なマフラーを覗き込んでいた千里は慌てたように首を左右に振る。
「いいじゃねえか、千里。軽くその辺走ろうぜ」
孝二がそう提案すると、千里はしぶしぶと言った様子で頷いた。
「うん、孝二がそう言うなら」
そんな千里の様子に、優は目を細めてにやにやと口元を緩める。
「見せつけちゃってぇ。なんか二人、以前よりホットだよね。もしかしてとうとうナイトフィーバーやっちゃった?」
「アホか!!」
「アホか!!」
孝二と千里、二人同時のツッコミに優は思わず爆笑していた。
「まぁ、いいや。さぁ、さっさと行こうよ。千里ちゃんが真ん中で轟が一番後ろね。これが本当の嬲るだね」
「はい、孝二、真ん中」
「あいよ」
「あぁ、二人ともスル―とかひどい!」
そんな会話をしながら、もたもたしていると、背後から突然声をかけられた。




