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四章 戦士と奴隷④

「あぁ、その時から人間界には人間が住んでいた。先住民さ。人間たちは神、もしくは悪魔に捕えられ、そして兵士として戦わされていた」

 真は煙を吐き出す。

「そして、神や悪魔どもは、とんでもないことをやりだした。それは――捕らえた人間に、自分たちと同じ力を与え始めた」

「神や悪魔の力……?」

「あぁ。その後の戦争の結末は書かれていない。だが人間界には、もう神も悪魔もいない。残されているのは、この――刻印だけだ」

「……本当の話なんですか?」

「知らん。他にも、古代人の遺物だの、宇宙人の落し物だの、いろいろ説はあるがな。とにかく刻印は存在する。そしてこの刻印は危険な代物だ」

 真は右手を掲げる。そして、手の甲の紋様が一瞬輝いたかと思うと、突然その掌に電光が走った。

「ナンバー16。この刻印の名は『塔』」

 真は孝二に顔を向ける。

「能力は電撃だ。スタンガンレベルから、稲妻レベルまで自由自在だ。その気になれば、一瞬で人間を黒ずみに出来る」

「…………」

 孝二は押し黙る。真は鼻をならし、右手を下ろす。

「あの変態女の刻印は、ナンバー2、名は『女教皇』。能力は、口付けした者の脳内を知り、また、自分の脳内の知識を、相手に与えることが出来る。相手が能力者であれば、ほんの少しだが、その能力を使うことも可能だ」

「……そういえば疑問を教えてやるとか言ってたな、あの先生」

「貴様が途中で逃げ出したから、私がわざわざ説明に来てやったんだ」

 真は苛立たしげにそう言った。

「ちょっと待って。何で俺にそんなことを教える必要があるんだ?」

「敬語」

「……あるんですか? 真様」

 真は、短くなった煙草を吐き捨て、足で踏み消す。

「合格したからな。緋川の実験に」

「先生の……実験?」

「覚えていないのか?」

 真は、自分の額を指さす。

「一ヶ月前に救急車の中で埋め込まれただろう? 貴様が自分の女に腹を刺された時だ」

「!!」

 孝二は目を見開いた。

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