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(・(エ)・)「ふんっ!」
無表情の男が、いつ手にとったのか馬上に向けて槍を突く。その先はニシカワ、馬は傷つけない軌道だった。
この状況において、まだ後を考える程度は落ち着いている。それとも本当の騎士はそれほど相手にしたくないものなのか。そんな事が脳裏に浮かんだニシカワは可笑しくなる。
(・(エ)・)「気でも触れたか」
(^ω^ )「いや、悪かったお。同じだお。こんな風に、槍や棒で殴り合い、突き合いながらも、騎士に対する思いに通ずるところはあるんだお。面倒だし、相手したくない、この状況だって、馬に少しでも傷つければ何があるかわからないお。……任を解くなら良いお。腹を切らされたらたまらないお。割に合わないお」
周りに聞こえるように、声を上げる。兵士が不安からか、仲間達と顔を見合わせた。
(^ω^ )「行くお」
兵士長が、檄を飛ばすのに合わせ横を駆け抜ける。そのまま、開け始めてすぐに止めた扉へ取り付くと、アオから飛び降り、観音開きの片方を体ごと押し込む。
/^o^兵\「止めろ!」
馬に当てまいと、槍を剣に持ち替えて兵士が近づく。あと数歩の距離まで来たところで、間に割り込むように突っ混んだアオに吹き飛ばされる。肩を抑えて立ち上がれない様を見て、続く兵士の足が止まる。恐怖が伝播するが、そのままニシカワを隠すように立った姿から、生き物としての格の違いに感情は上書かれ、見惚れていた。
(^ω^ )「流石にきついお」
扉が開いたのは僅か。片側だけとはいえ、人ひとりで動かす様にできていない。それを僅かでも動かした事に気づいた、開閉機の近くの兵士達だけがそれに驚いているが、その程度で大勢は変わらない。
(^ω^ )「ぐぅ、おっおっ」
それを変えたのはアオだった。肩の辺り扉に付けるとそのまま押していく。スルスルと開かれる扉に兵士達にあった「逃げられる事は無い」という安心が消えていく。
(^ω^ )「走るお! 早く!」
門が馬が通ることのできる程度の広さになると、シューを乗せたアカが脚を緩めずに通り抜ける。通った道にはいくつも松明が落ちており、悶絶する兵士達の姿が暗闇に浮かぶ。
lw´- _-ノv「早く! 外にさえ出れば!」
馬上から数度、ニシカワを気にしながら駆けていく。その度に姿勢を崩してはアカが落とすまいと慌てて重心を移動させていた。




