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(^ω^ )「行くお」
口が隠れる高さまで防寒用の手ぬぐいを巻きつけると一気に戸を開ける。
アオが「出てもいいのか」というような目をした時、なんと酷な事をしてきたのかと心が痛む。
(^ω^ )「良いんだお。もう狭くて暗い場所に隠れなくたって良いんだお」
嬉しそうにアオが外へ出ると、その背中に「すまなかったお」と謝っていた。
寝ている住人を起こさない様、寝ずの番で店や家を守る雇われの目を引かぬ様、整備された石床と蹄が立てる音だけで門まで辿り着く。そして、騎士証は出さずに門兵に騎士であると告げた。
/^o^兵\「公家十位ジョーンズ様、武家十位ネーヨ様ですね」
若い門兵が上ずった声で言うと深々と頭を下げる。
/^o^兵\「すぐに、門兵長を呼んできます」
文字のを扱える兵士は少ない。そのため、騎士証を出さずに名乗るだけで済ます。読める者を呼んでくるのをしばし待つ。
シューに教えられた通りだ。
走り出す門兵へ馬上から「火急の件だ。すぐに頼むお」と伝える。騎士らしく、偉そうでイライラした様子を演じた。
/^o^兵\「直ちに」
門兵は大した距離の無い、屯所に全力で駆けていく。屯所からは状況を説明している門兵の大声がここまで届いていた。何度も「騎士」という単語を出してとにかく非常事態であると伝えている。
静かになった後にまた大声が聞こえ、再び静かになる。それを何度か繰り返した後、先ほどの門兵が全速力で戻ってくる。
その後ろには松明を持った人影がゆっくりとこちらへ向かっていた。
/^o^兵\「門兵長です」
門兵の見る先には門兵長といわれた人影が、こちらへ向かって歩いているところだった。
(・(エ)・)「よろしくどうぞ」
最後まで急ぐ事の無かった門兵長は悪びれず、笑いながら会釈程度に頭を下げる。片手に持った松明で浮かび上がる顔は、門兵とさして歳の変らない若者のものだった。
lw´- _-ノv「一刻を争う事態が起こっている。今すぐに門を開けろ」
公家に扮したシューが低い声で言う。急いだ様子を見せない門兵長に対して怒りが篭った声だった。
(・(エ)・)「いや、それなんですがね」
一つ咳払いをしてシューの方を見る。そうしながら松明を向けようとしたが、シューはアカを一歩移動させて松明の明かりを避ける。
(・(エ)・)「規則じゃ鐘が鳴ったら門は明けちゃならないんです。明日の日が出る迄ですがね」
(・(エ)・)「これだけ堅牢な壁をもっている街、ツダとはいえ門を開けてしまえば盗賊連中は何の苦労も無く入れるってもんですから」
門兵長がわざとらしく、残念そうなため息をつく。
(・(エ)・)「いかに騎士さんとは言え、ねぇ」
lw´- _-ノv「一刻を争うと言っている」
(・(エ)・)「そうなんですが、規則がですね」
(^ω^ )「……盤が国境を越えたんだお」
門兵長はほんの少しだが驚いた様子を見せた。




