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(^ω^ )「大丈夫ですかお」
倒れた騎士に駆け寄り抱き起こす。
騎士からはっきりとした言葉はない。唸る様な言葉がいくつか漏れるだけだった。
(^ω^ )「誰かが、騎士様を狙っているのかもしれないですお。さ、こちらへ隠れてくださいお」
騎士に肩を貸し、一番近い見張り番の居る店へ連れて行く。
(^ω^ )「朝まで、このお方を頼むお。高貴なお方だから決して失礼のないように、後で必ず礼はするお」
二人の番は驚いていたが騎士の身なりを見ると、一人を主人に報告へやると、もう一人が中への案内を買って出た。
(^ω^ )「騎士様、私はお馬を連れてまいります。危険でしょうが、騎士様のお馬を命に代えても守るのが私の仕事ですので」
意識のはっきりしていない騎士に、暗示のように語り掛けると走り出す。
騎士を倒すために張った黒塗りの縄を外す。それが終わると急いで置物の様に動かない馬を連れて倉庫へ戻った。
(^ω^ )「戻ったお」
戸を最後まで閉め切ってから小さく言う。
lw´- _-ノv「早かったのね」
香を焚いていたシューは、言うよりも先にアカの鼻先にそれを持っていく。
(^ω^ )「騎士さんが同じ手にかかってくれて助かったお。これから使わなかった仕掛けを回収して」
ニシカワが言い辛そうに間を置いてから続ける。
(^ω^ )「ブーン達が誰か分からない者に殺されて、死体は見つからない場所に隠されたか、街から持ち出された様に見せたら終わりだお」
lw´- _-ノv「それは必要なのかしら。たしかにそうでもしないと犯人だと知られるかもしれないけど」
意識がはっきりしてきたのか、アカの顔が動いたのでそれに合わせてシューが香を動かした。
lw´- _-ノv「この街に戻ってこない限り影響はないんじゃないかしら。顔も隠せば他の村や町でも大丈夫でしょう」
(^ω^ )「おっおっ。七号さんやビイグルさんに迷惑は掛けられないお。だから犯人じゃなくて被害者に見えるようにして出て行くお」
lw´- _-ノv「そう」
シューはそれだけ答えると、アカを優しく撫で、ニシカワに聞こえない程度の大きさで語りかける。
lw´- _-ノv「どうかしら」
(^ω^ )「……おっおっ」
ニシカワは驚きを隠せないままに頷いた。
lw´- _-ノv「この子の調子は悪くないわ。きっと香をできるだけ少なくしたのが良かったのね」
背に跨るシューが倉庫の中を何度も往復している。どちらも慣れた様子で、不自然さはない。
(^ω^ )「それだけ動ければもう大丈夫だお。少し辛いかもしれないけど、アカにはもう少しだけ頑張ってもらいたいお」
アカはシューの意見を求めるように視線を送る。
lw´- _-ノv「お願い」
シューが撫でると、体に付いた水滴を払うように一気に体を震わせた。
アカの目はしっかりと前を捉え、生気に満ちている。
それを見て、はやく出たいと催促する様にアオが立ち上がり、アカに並ぶ。
巨大な二頭の黒馬が視界をいっぱいに埋める。こんな光景を見る事になるとは、少し前ならば想像すらできなかった。泥の様に底に沈んでいた世界が、一気に加速し動き出している。握りしめたニシカワ手は汗で濡れている。




