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(^ω^ )「準備はこれでほぼ終わりだお。後は機がくればすぐにでも動くお」
lw´- _-ノv「機?」
(^ω^ )「うちの騎士さんが、いよいよ我慢できなくなったらだお」
ニシカワが極力、詳細を伝えないようにしている事は強く感じる。だから、理解はできなかったがそれ以上は聞かない。
信頼していないのであれば必要以上に内容を話す事はどれほど危険か、これから行おうとしている事を考えればすぐに分かる。
むしろ、すでにやってしまった事から考えればここまで伝えただけでも、多すぎるとも感じる。
ニシカワが「しない」「できない」と判断したのならそれに異を唱えることはしまい。そう決めていた。
(^ω^ )「それじゃあ、今日はこれで戻るお。出発する日が決まったところで伝えるけど、きっと当日になるからいつでもいけるようにしておいて欲しいお」
lw´- _-ノv「わかったわ」
外へ出るニシカワを見送るとアオに体を預けて腰を下ろす。
この計画。これからする事だけでなく現状も含め、何か役に立っているだろうか。たしかに、形としては脅すものになっている。だが、今の関係が脅す者と脅される者だろうか。ここから出たいという我侭で行動を起こしたものの、まだ自分力では何も出来ていない。自分の意思で生きていくと決めたが、何も為せていないし、この先もおそらく無理だろう。
無力感が体の中を一杯にしていく。
ニシカワに迷惑を掛けてまで、自分のしたい事をしたとして、それが何になるのか。自分が居る事で彼の目的が果たせない。そんな事になってしまったらどうしたら良いか。
鼓動が早くなっていく。本当にこのまま、進んでいっていいのだろうか。自らの足でなく、彼の背に乗り、彼に運んでもらい。それが何になるか。何を得るか。きっと何も得ないだろう。だが、それには耐えられる。今と何も変わらない。それならば死んだようにでも生きていく事は出来る。ただ、彼の迷惑になるのが怖い。何のためにこんな大それた事をしようとしているのかは知らないし、聞くつもりも今は無い。だが、それは彼にとって命を掛けるに値することなのだろう。その基に行動する彼と自分を比べると、とても小さくて弱く感じてしまう。
lw´- _-ノv「……消えよう」
彼の前から姿を消そう。どれだけの間か分からない。とりあえず彼が出発するまでの間、そう長くは無いであろう時間だけ別の区画にでも行けば良い。
どこの店でも雇わせる位の自信はあった。読み書き計算に加えて商いの基本は身に着けている。
大丈夫だ。




