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ニシカワを囲む人垣の厚みは半分程度になり、外側に居た町人達は農具を取ろうと駆け出していた。
それよりもいくらか早く、モナーとオトジャは農具に群がる町人達の前に回り込む。
二人の足元に、ニシカワを殺せと言った商人はすでに倒れている。
(´∀`)「一気に来たモナ」
( ´_ゝ`)「できるだけ余計な怪我はさせない様にしましょう。あんまり大事になるとうまくないですし」
(´∀`)「確かにモナ。でも何より優先は、モナ達が無事に逃げ出すことだモナ」
( ´_ゝ`)「えぇ、捕まったら最悪殺されますね」
(´∀`)「恐ろしいモナ」
モナーは冗談の様な口調で言うと肩をすくめる。
内側に居た町人達は、ニシカワから注意を逸らす事ができずに動けずにいた。
それ程に、ニシカワからは何か、一瞬でも警戒を怠れば殺されそうなものを感じさせていた。
人垣の厚みは大体が二人分。厚いところでもまれに三人が並ぶまでに減ったせいか、誰も迂闊には動き出そうとしない。
( ^ω^)「おおおおおっおっ」
周囲が叫び声を認識するよりも早く、ナイトウが中心に向けて一気に突っ込む。
隙間を縫い、それでも邪魔になった町人はそのまま吹き飛ばすように押し通った。
ニシカワに全神経を集中させていた町人は後のナイトウに気づかないまま、簡単に吹き飛んだ。
( ^ω^)「遅れたお」
ニシカワの隣にナイトウが並び立つ。
(^ω^ )「……帰らなかったのかお」
その言葉にナイトウは手ぬぐい越しでも分かるように笑って返した。
( ^ω^)「大丈夫かお」
(*゜ー゜)「……えぇ。私は大丈夫です。でもあなた達までこんな事に」
女だった。ナイトウはそう思ったが口には出さない。
女の格好は男女の違いが分かるようなものではなかったので、それを口にする事は、はばかられた。
( ^ω^)「気にしないで良いお。好きでやった事だし、無事に逃げてみせるお」
(^ω^ )「とにかく、早いところ逃げ出すお。長引いて良い事は一つもないお」
( ^ω^)「おっおっ」
ナイトウとニシカワは女を間に挟むようにして陣取る。
(^ω^ )「……一気に突っ切るお」
ニシカワが飛び込んできた一人を跳ね返しながら叫ぶ。
(^ω^ )「さぁ」
地面に伏している女に手を差し出すとをゆっくり起こし、そのまま苦も無く小脇に抱える。
(^ω^ )「舌を噛まない様に気をつけるお」
女は驚いた様子だったがすぐに大人しくする。
( ^ω^)「よし、行くお」
ナイトウが両腕で体を守りながら突っ込む。何人かが拳が振り下ろすが、当たるよりも先に払いのけ、その殆どは反対の腕で殴りつけ地面に叩きつけた。
打ち漏らした数人はすぐ後から来るニシカワが自由な右腕でなぎ払う。
( ^ω^)「退散するお」
ニシカワ達を囲む人垣を抜けるとナイトウが叫ぶ。
(´∀`)「やっとかモナ」
( ´_ゝ`)「ほら、さっさと行きましょう」
オトジャに促されてモナーが手に持った農具を出来るだけ遠くへ投げ捨てる。
二人がニシカワの後ろへ付くと、後は黙って来た道を戻っていく。
後ろから追いかけてくる町人達はすぐに振り切る事が出来たが、一行は止まる事無く門まで向かった。




