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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
七話
33/50

7-3

lw´- _-ノv「よいしょ」


シューは手のひらに隠れる大きさの石を掴むと、もう一度辺りを確認してから屋敷の中へ放り投げる。


( ´_ゝ`)「えっ」


山なりの軌道を描いて塀を越えていく。石は敷地内の大きな建物に当たり小さな音を上げた。


呆気にとられたオトジャの口からは間の抜けた声が漏れていた。


( ´_ゝ`)「何をしているんですか」


思い出したようにオトジャがシューに詰め寄った。その表情からはいつもの冷静さが完全に消えている。


( ´_ゝ`)「公家の屋敷に石なんて投げたら……、国の権威を自称する彼らの矜持を傷つければ、すぐ首をはねられますよ」


普段のオトジャとは掛け離れた荒い語気だった。


( ´_ゝ`)「彼らの矜持は屋敷に石を投げ入れただけでも傷がつく。……すぐに、ここから離れましょう」


シューの背を押すように手を回すと、後ろの二人に怒鳴るように言う。


( ^ω^)「……わかったお」


ブーンとモナーは、屋敷に石を投げ入れた事よりもオトジャの変わり様に驚いていた。


だが、きっとその言葉には従うべきなのだと感じて脚に力を込める。


lw´- _-ノv「……その必要は無いです」


シューはグッと脚を固定しオトジャの腕に抵抗した。


lw´- _-ノv「ここは知り合いが詰めている場所なので、……大丈夫」


( ^ω^)「そうなのかお」


lw´- _-ノv「えぇ、だから戻りましょう」


(´∀`)「いや、あせったモナ。いきなり首をはねられるとか言うもんだから」


( ^ω^)「ブーンも必死だったお」


二人はホッとしたのか普段よりも柔らかい表情で頭をかいたり深呼吸をしていた。


それを見つめるオトジャの顔はまだ硬いままで、警戒を解く気配はない。


(^ω^ )「何をしているおっ」


突如、怒声と共に地面が揺れるような感覚が全員を襲う。


(^ω^ )「その手を離せお」


どこから現れたのか、それすら理解できないオトジャに男は短刀を突きつける。


( ´_ゝ`)「ちょっと待ってくださいよ」


説明をしようとしたのか、あるいは説明を求めようとしたのか。


しかし、男はオトジャが口を開く事を許さず短刀を首筋にぴたりと沿わせる。


オトジャはゆっくりシューの背中に当てていた手を引く。


(^ω^ )「下がれお。それから手を頭の後ろに、三人ともだお」


隙をうかがっていたブーンとモナーも大人しく指示に従う。


(^ω^ )「はやく、こっちに来るんだお」


男はシューの手を奪うように掴むと三人に対峙する形で距離を置く。


(^ω^ )「……騎士さんは今日は屋敷に居ないから隙を見て駆け込むんだお。そしたら大声で七号さんを」


前を向いたまま男がシューに語りかけていたが、途中で呻きながら体制を崩し地面に手を突いた。


lw´- _-ノv「ごめんなさい。悪い人じゃないんだけど、抜けたところが色々あって」


男が三人を睨み付けジリジリと後ろに下がっている時、シューはその膝裏を思い切り蹴飛ばしていた。


そして倒れこんだ男の持つ短剣を踏みつける。


lw´- _-ノv「この人達はお客さんよ」


男はその言葉が耳に入らないようで、まだ立ち上がれずに手で足をさすっている。


立ち上がるにはしばらくの時間が掛かった。


その間、シューが話しかけていたが声を絞っていたので三人には聞こえない。


ただ、その顔からは安堵の色が伺えた。


(^ω^ )「……おっおっ」


男が屋敷の塀に手を当てて立ち上がると恥ずかしそうに笑いながらオトジャの方へ寄って行く。


(^ω^ )「その……、なにやら勘違いしていた様で、申し訳ないお」


( ´_ゝ`)「いえ、確かにあそこだけ見れば悪漢に見えるかもしれません。まぁ、怪我もなかったので気にしないでください」


オトジャは額に浮かんだままの脂汗を袖でぬぐう。


(^ω^ )「そう言ってもらえると助かるお」


男は頭を掻きながらはにかんだ笑顔を見せた。少し前までの殺気に満ちた表情とは似つかない。


あまりの変わり様に強烈な不自然さを感じたが、すぐにそれを忘れさせるほど柔和な雰囲気を持っていた。


( ´_ゝ`)「オトジャといいます」


(´∀`)「モナーだモナ」


誰かが言い出した分けではないがそれぞれが名乗る。


( ^ω^)「ブーンですお」


(^ω^ )「ブーンですお」


四人が聞き間違いでもしたかという様子で、ほぼ同時に名乗った二人を見た。


シューは誰にも見えない様に何かを思い出した様な顔をした後、四人の様子を改めて観察する。


lw´- _-ノv「不思議な事ってあるのね」


二人が「同じ名前だ」と言い合っている間にシューが立つ。


lw´- _-ノv「同じ名前な上に顔まで似ている人がいて、それがこうして出会うなんて」


お互いに名乗りあった時と同じ顔で二人のブーンがまた顔を見合わせる。


( ´_ゝ`)「……そう言われれば確かに」


(´∀`)「……そっくりだモナ」


オトジャとモナーは二人のすぐ傍まで来ると視線を何度も往復させる。


たしかに二人の顔は兄弟といわれても信じられる程に似ていた。


ただ、突然現れたブーンの方が一回り体が大きく、体つきもしっかりしていた見分けが付かない事は無い。


それでも十分、珍しい事に違いはないので一同はしばらくその場で二人の顔の見比べては違いを探していた。


( ^ω^)「おっおっ」


(^ω^ )「おっおっ」


lw´- _-ノv「でも不便よね。顔はともかく、名前がまるきり同じってなると。……姓はある?」


( ^ω^)「あるわけ無いお。ブーンはただの兵士見習いで、農民の出だお」


(^ω^ )「一介の馬房守が持っているはずないお」


lw´- _-ノv「そうよね」


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