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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
七話
31/50

7-1

|/゜U゜|「私はイヨウ殿へ近況の報告や、ビイグル殿との商談がある」


ブーンとモナーがが唸りながら身を起こすと、あいさつ代わりにニンジャが言った。寝付くのが遅れた二人が布団を出ると、ニンジャが着替えを終え屋敷に向けるのであろう手紙を書き始めていた。


|/゜U゜|「お前たちは街を回ってくる良い。ここは商いを学ぶには絶好の場所だからな、くれぐれもおかしなものを掴まされない様に気をつけてこい」


( ´_ゝ`)「さぁ、早く着替えて下さいよ。もうほとんど食事の支度が終わってましたから」


急かすオトジャの声はいつもより少し高い。早く街を見て回りたいという気持ちが抑えきれていないようだった。三人が支度を終えるとニンジャを先頭にして朝食の用意された部屋へ移る。


▼・ェ・▼「おはよう。さぁ、すぐに支度ができるからね。適当に座ってよ」


並ぶ食事はイヨウの屋敷で出てきたものと大差の無い、豪商といわれる家で出されるものにしては質素であった。


ビイグルの前に並ぶものも他と差がない事からすると、あまり贅沢を良しとしない家のようだった。


▼・ェ・▼「そういえば、君たちは街を見て回るんだよね」


( ´_ゝ`)「はい、後学のために色々見て回りたいと思ってます」


オトジャがほとんど間を置かずに答えると、ビイグルは優しく笑う。


▼・ェ・▼「うん、この街はきっと勉強になるね。……だけど気をつけてね」


細くした目を大きく開き、ビイグルが声をひそめてゆっくり語り出す。


▼・ェ・▼「日が沈む少し前に大きな鐘が九つ鳴る。全部が鳴り終わる前に必ず屋敷に戻ってこれる様にして。これは絶対ね」


( ^ω^)「……わかりましたお」


首をかしげながら答える。


(´∀`)「でもどうしてモナ」


答えようとしたニンジャを片手で制止し、ビイグルが口を開いた。


▼・ェ・▼「君達は一番近くの下総門から来たんだよね」


|/゜U゜|「……そうです」


三人が顔を見合せて首をかしげている様子を見てニンジャが答えた。


▼・ェ・▼「ツダはね、三つの区画に分かれているんだ」


ビイグルが空中に指で円を描くと、それを三等分に切っていく。


▼・ェ・▼「ここは三つの国の旧国境が交わる上に造られた街でさ、そのせいなのか総でも一番民族意識が色濃く残ってるところなんだよ。そりゃあ、なんかあったらすぐ揉めて大変だったらしいんだ。

まぁ、戦でやりあった相手と急に同じ国の民になるって言われてもそう簡単にはいかないんだろうけどさ。その辺話すと長くなっちゃうから簡単に言うと、とにかくツダの住人は他民族と最高に仲が悪い」


( ´_ゝ`)「はぁ」


▼・ェ・▼「だから、もともとは一つの大きな街だったツダを三つに区切っちゃったってわけ」


ビイグルの指が前に描いた円を何度もなぞる。


▼・ェ・▼「それぞれに安房、下総、上総の民が分かれて住んでいる。自分の出自と違う区画に住んでいる人を知らないね、少なくとも僕は。で、夜になると別の区画と出入りできなくなる。鉄の格子が降ろされちゃうからね」


( ^ω^)「……どうしてですお」


▼・ェ・▼「治安のためかな、一応は戦争も終わって一つの国になったからね。表だって事を起こすのは難しいから、よからぬ事をするには夜が良さそうだし」


首をかしげるブーンにビイグルが「うーん」と考えてから付け加える。


▼・ェ・▼「ほら、事が公になったら他の二つに攻められる理由を与えちゃうでしょ。一方的にやられたら堪らないだろうからさ」


(´∀`)「鉄格子が降りるのを知らせるのが鐘の音なのかモナ」


モナーが合点がいったようで深く頷く。


▼・ェ・▼「そうそう、そういう事。ただ、一つ目の鐘が聞こえたところですぐに屋敷に向かっても、一番離れた所からだとギリギリだからくれぐれも気をつけてね」


( ^ω^)「はいですお」


( ´_ゝ`)「九つ目の時点で下総の区画にいれば良いんですよね」


▼・ェ・▼「うーん。あまり良くないかな。もしそうなったらすぐ近くの家なり店に飛び込んで、鐘が鳴ったから泊めてくれって言ったほうがいいなぁ。ツダはね。いや、今は王都もなんだけど、夜の外出が禁止されてるんだよ。そんなわけだから、時間だけはくれぐれも気をつけてね」


( ^ω^)「了解ですお」


▼・ェ・▼「明日は誰かを付けられるように手配しておくから、今日はとりあえず観光をしてくると良いよ」


( ´_ゝ`)「ありがとうございます」






▼・ェ・▼「おや、随分早かったね」


商品を持ち込だ男と商談中だったのか、ビイグルは難しい顔をして男と見慣れない道具を交互に見比べていた。


( ´_ゝ`)「……えぇ」


オトジャが軽く頭を下げると商人風の男はより深く頭を下げた。


(´∀`)「あわやボコボコにされるところだたモナ」


▼・ェ・▼「……あぁー、答えちゃったのか」


(´∀`)「鐘の音がどうのって気にするまでもなく帰らざるを得なかったモナ」


ビイグルは少し笑っていた。


(´∀`)「笑い事じゃないモナ」


( ^ω^)「これはもう、外で歩けないかもしれないお」


▼・ェ・▼「大丈夫だよ。この街の商人なんて一日に何人もの人と会うんだ。一人や二人変な人がいても明日には忘れてるからさ。さすがに今日はもう外に出ないほうが良いだろうけどね。明日は一人付けてあげるから、この街がどんなところか良く見ておいてよ。

僕はもうここで暮らして随分になるからさ、余所じゃ普通じゃないことも当たり前だと思っちゃってたみたいだ」


ビイグルが頭をかいてすまなそうに笑う。商人風の男は所在無げに話が終わるのを待っていた。


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