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ブーンが兵士になるようです  作者: カジ
五話
24/50

5-2

|/゜U゜| 「荷物を置いたら簡単に周って来るか。調べものもあるしな」


( ´_ゝ`)「この村についてですか? イヨウさんに頼まれた」


|/゜U゜| 「そうなんだが……まだフタワから一日程度の場所だ。イヨウ殿はわざわざ調べなくてもミサキについて知ってるだろうな」


( ´_ゝ`)「なら、どうして村や町での調査を頼まれたんでしょう」


オトジャが首を傾げた。


|/゜U゜| 「過保護だからな」


( ´_ゝ`)「は?」


オトジャの顔がさらに傾く。


|/゜U゜| 「言っていただろう。状況を逐一教えて欲しいと」


( ´_ゝ`)「あぁ。でも、あれは端書きで良いと」


|/゜U゜| 「あれは嘘だ」


オトジャが言い終わるより先にニンジャが話し出す。


|/゜U゜| 「商売より部下が心配なんて言えないからな」


ニンジャの口角がわずかに上がった。


( ´_ゝ`)「……はぁ」


|/゜U゜| 「さぁ、そろそろ行くか。お前達はミサキの村は初めてか?」


(´∀`) 「初めてだモナ」


部屋から外を眺めていたモナーが素早く振り返る。


|/゜U゜| 「そうか。なら三人でゆっくり見て回って来るといい。私は店をいくつか回って手紙を書かないといけないからな。お前達は食事の支度が終わるまでに戻って来れば良い」


(´∀`) 「調べものは手伝わなくて大丈夫モナ」


|/゜U゜| 「あぁ、調べるといっても顔なじみの商人に最近の景気を聞くだけだからな。好きにしていて構わんさ」


(´∀`) 「好きにさせてもらうモナ」


( ´_ゝ`)「辺りの人を見る限り、裕福な村とは言えないみたいですね」


外ですれ違う村人の身なりは、あまり質の良いものとは言えないものだった。


( ´_ゝ`)「比べて、イヨウさんから頂いたこれはやっぱり良いものみたいです」


(´∀`) 「オトジャはこれまで色んな村や町を見てきたモナ?」


三人で外に出て小さな村を見て回る。商店を覗いたり、路上に商品を並べている商人に話しかけたり、なんて事の無い民家を眺めたりしていた。

その途中、モナーが思い出した様に言った。


( ´_ゝ`)「えぇ、まぁ。ツダやツド、あと王都の様な出入りに厳しいところは行ってませんが」


( ^ω^)「じゃあ…ここは、ミサキはどのくらいだお?」


オトジャが不思議そうな顔をして「豊かさが、ですか?」と聞くと二人が黙って頷く。

ブーンの声はいつになく真剣だった。モナーも無言で二人を見つめ、一気に周囲が緊張感に包まれる。

オトジャもそれを感じたのか、慎重にゆっくりと口を開く。


( ´_ゝ`)「私も十前後の村しか見てきていませんが」


二人がそれを聞いても興味を失わずに、自分を見ている事を確認すると続ける。


( ´_ゝ`)「恐らくその中でも一番下かと。この村の領主である公家の騎士は他にいくつかの村と一つの町を持っているので、この村にはたいして力を入れて居ないのでしょう。

近くには他の騎士が直接治めているところもありますから、旨味が少ない。だから最低限、税を取れるくらいの整備もしてないんでしょうね」


話す前の様子と打って変わり、二人の興味はどこかへ消えてしまったようにみえる。


( ´_ゝ`)「あの、どうかしましたか」


( ^ω^)「ブーン達の村は……この村より貧しかったお」


オトジャは「しまった」と苦い顔をする。二人の村にいたのはほんの数刻だったので、すっかり計算に入れるのを忘れていた。


(´∀`) 「あぁ。しかも、あそこは騎士が直接治めてるモナ。屋敷は離れた所に建てて、村に来るのは税の徴収と募兵くらいだけど……」


オトジャが驚いた様に二人の顔を見る。とても冗談を言っている様では無い。


( ´_ゝ`)「……そうですか」


騎士の領地は一つに限られてはいない。有力な騎士になればいくつも町や村を治めている。

そうなると当然、騎士が不在の領地もでてくる。

ほとんどの場合、騎士は領地で一番豊かな所を本拠とし、その他の領地は自分の部下か領地ごとに代表を選出し、代理として治めさせる。

単純に領主としての能力の他に、騎士としての格を見る上で本拠が重要とされるので、面子のためにも大きな差が出る。

本拠でありながら貧しい。オトジャは信じられないと思ったが、二人の様子を見るとそれを口には出す事はできなかった。


(´∀`) 「まぁ、いかに無能な騎士の下で暮らしてたかって知りたかったモナ」


モナーがオトジャの肩を軽く叩く。


(´∀`) 「自分の村がどこよりも貧しかったのはつらいモナ。でも、もう下が無いならそれも悪くないモナ」


( ^ω^)「二人で一番にするお」


二人が頷きあう。


( ´_ゝ`)「私も……私にもできる事があれば手伝わせて下さい」


悲しそうな目で辺りを見回す二人にオトジャは力強く言う。


( ´_ゝ`)「何ができるかわかりませんが、領主を持たずに栄えている村を私はいくつも知っています。きっと今より豊かにする手は沢山ありますよ」


( ^ω^)「おっおっ」


二人が笑うと、オトジャもそれに笑顔答えた。


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