5-1
(=゜ω゜) 「タカネキの町に行ってヒツキさんに手紙を渡すんだよ。そしたら向こうが希望を言ってくるから、お互いどこで折り合いを付けるかは商談だ。
ニンジャは極力口を出さない様にお願いしてるから、君らでできるだけ頑張ってね。
……ほら、武家の八位が居たら相手もやりにくいでしょ。商家同士ならそんな事気にしないんだけど、武家はその辺を重く見る人が多いからね」
イヨウが布袋にデレの作った握り飯を詰ながら、忙しく四人に話し続けていた。
一食や二食ではなくなりそうにない量を詰め終えると「よし」と言って、それぞれに膨れた布袋を渡していった。
(=゜ω゜) 「鎧もしっかり付けるんだよ。急ごしらえでたいしたものじゃないけど無いよりずっといいからね。慣れるまでは邪魔だろうけど、ほらしっかり付けないと」
( ^ω^)「っぐ……。どうもですお」
イヨウが紐を強く絞めるとブーンが短く息を漏らす。
(=゜ω゜) 「何かあったらニンジャの言うことを聞いてね」
|/゜U゜| 「では、行ってまいります」
いつまでも話し続けそうなイヨウを遮る。
ζ(゜ー゜*ζ 「それじゃあ、くれぐれも気をつけてね」
デレもそれを察して続けると、四人もそれぞれに挨拶を済ませ屋敷を出る。
(=゜ω゜) 「おーい、おーい」
門を出てすぐの辺りでイヨウが走り寄って来た。
(=゜ω゜) 「村や町に着いたら文鳥を寄越すんだよ」
|/゜U゜| 「タカネキに着いたら連絡しますよ」
(=゜ω゜) 「いや、道中立ち寄ったところ全部でお願い。そこの作物だったり、その収穫量。あとはどこと取引しているのかが知りたいな。ほかにも色々。まぁ、いつも通りだね。」
|/゜U゜| 「……わかりました」
ニンジャは少し間を置いてから答えた。
(=゜ω゜) 「後はまぁ、端書き程度に近況もね」
言いながらイヨウは屋敷へ向かって歩き出す。
|/゜U゜| 「さぁ、できるだけ早く用事を済ませてしまおう」
イヨウの背を見送りながら三人が頷く。
ζ(゜ー゜*ζ 「心配?」
(=゜ω゜) 「心配」
ζ(゜ー゜*ζ 「すごく?」
(=゜ω゜) 「すごく」
イヨウとデレはしばらく黙り、一行の旅が無事である事を祈った。
(´∀`) 「タカネキは遠いモナ?」
周囲が全て平野になり、危険が無い事を確認すると一行の緊張はすぐに緩んだ。
|/゜U゜| 「そうだな、まぁ、五日位だな」
(´∀`) 「そんなにモナ」
|/゜U゜| 「五日といってもお前達が屋敷に来た時のようなものじゃないぞ。夜はできるだけ宿に泊まるし、歩くのは普通の道だ。真っ暗な中を急ぐわけじゃ無い」
三人がその時の事を思い出そうとすると、多量の返り血に濡れながら少しも表情を変えないニンジャが浮かんだ。
|/゜U゜| 「相手方にはあらかじめ余裕を持って日にちを伝えてある。道中も出来る限り安全を優先させる様にも言われている。多少の金は問題無いともな」
(´∀`) 「太っ腹モナ」
|/゜U゜| 「……悪いところだな」
( ´_ゝ`)「えっ」
オトジャが驚いた様子で答えた。
|/゜U゜| 「イヨウ殿は少し、甘い」
本当はそれが「少し」で収まるとは思っていない口振りだった。
|/゜U゜| 「だが、良いところでもある」
( ´_ゝ`)「そうですね。はい」
オトジャがすぐに答えると、ニンジャは満足そうにうなづいた。
|/゜U゜| 「あぁ、そうだ。一応伝えておくが、お前達が読み書きなんかが出来るから大切に扱っているわけじゃないぞ。あの人はいつも、あぁなんだ。
赤の他人であればまだ商人として、金を優先できる。まぁ実際は適当なところで折り合いを付けるが」
続ける前に一度咳払いをする。
|/゜U゜| 「だが、一度身内になってしまうと自分より周りが大事になる。兵士にも、フタワの村人にも家族同然に振る舞う。器用なのか、不器用なのかよくわからないがあの方はそういう人なんだ」
森で人を斬った時よりもよっぽど感情の感じられる様子で話す。
|/゜U゜| 「万が一に備え、少し距離を置いた方が良いと進言したが、済まなそうに笑うだけだった。もうそれがあの人の性質なんだろう」
ニンジャが小さくため息をつく。
|/゜U゜| 「お前達が来てすぐの頃は、あまりに辛そうで今後は気を付けて欲しいなんてとても言えやしなかった。だからどうか、イヨウ殿を裏切るような、悲しませるような事はしないでくれよ」
小さく言ったニンジャの背中は、森にいた鬼とは似ても似つかないものだった。




