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ショートショート8月〜4回目

木のおさじ

作者: たかさば
掲載日:2024/08/16

私のお気に入りは、木のおさじ。


茶色くて、ぼてっとしてて、ほのかな温かみを感じるおさじ。

すくえる量は少なめなのに、カレースプーンくらいの大きさがある。

唇にやさしくフィットする、存在感のある形状。


このおさじで食べると、なんでもおいしく食べられる。


おかゆ、雑炊、スープ、デザート。

甘いの、しょっぱいの、優しいお味。

柔らかいの、具沢山、崩して食べるやつ。


木のおさじですくって口に入れる、それだけで食べ物はおいしくなる。


何となく、幸せな感じがする。

何となく、平和な感じがする。

何となく、自然を感じる。

何となく、ほのぼのする。


……木のおさじは、昔見た絵本を思い出させる。


おいしそうなシチューをすくっていた、クマさん。

おいしそうな雑炊をすくっていた、おばあちゃん。

おいしそうなプリンをすくっていた、おんなのこ。


幸せそうになにかを食べていた登場人物は、みんな木のおさじを使っていた。


温かいものも。

冷たいものも。

常温のものも。

見たことがないものも。


木のおさじにすくわれたら、おいしそうに見えた。


どことなく冷たい、金属製のスプーン。

ガッツリ堅い、金属製のスプーン。

ツンとすました雰囲気の、金属製のスプーン。


金属製のスプーンで、おいしそうな何かを食べていた登場人物もいたはずなのに。


思い出すのは、木のおさじばかり。

思い浮かべるのは、木のおさじですくわれた食べ物。

思い入れがあるのは、木のおさじでおいしいものを食べている人々。


……木のおさじを使って食べたら、何でもおいしくなる。


私は、その事を知っている。


「はい、おばあちゃん、アーン……。」


木の器に入った、程よく冷めた雑炊を、ひとすくい。


「うん、ゆっくりでいいよ……。」


木のおさじで、おいしいご飯を、ふたすくい。


「ね、おいしいでしょ!」


……木のおさじで食べると、何でもおいしくなる。


食が細くなったおばあちゃんだって、木のおさじがあれば…ほら、完食できた。


……木のおさじがあって、よかった。


よかった……。


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― 新着の感想 ―
[一言] ……うん、分かる。そうだね  (´;ω;`)
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