世界の真実 序章 海上警備
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です
逆襲篇をお読みいただき、ありがとうございます。
新章です。お楽しみください。
海上保安庁巡視船[しきしま]はフリーダム諸島のシーレーンの警備活動についていた。
「青1色の海か・・・私たちの世界でもお目にかかれますが、この世界の海は違う気がしますね」
海保(海上保安庁)の紺色の作業服を着た航海長が異世界の海上を双眼鏡で見ながらつぶやいた。
「そうだな・・・」
[しきしま]船長の松野幸太郎2等海上保安監は苦笑しながら、つぶやいた。
平行世界に飛ばされた、という異常事態に[しきしま]、[やしま]の乗組員たちは自衛官たちと同様に2通りに別れた。すんなり、受け入れる者と受け入れられない者である。
幸太郎は受け入れられない方に入るが、現実を突き付けられれば、信じるしかないのも確かだ。
「だが、改装が完了してからの初任務が異世界のシーレーン警備とは、なんとも言えんな」
幸太郎は船橋の窓から船首を見下ろした。
改装をする前は35ミリ連装機銃が装備されていたが、改装後は62口径76ミリ速射砲が装備された。
これは近年の海賊が旧式のミサイル艇や水雷艇、さらに武装ヘリまで装備するまでになったからだ。
このため、これまでの海保の武装では太刀打ちできなくなったのだ。
国会は、これについて激しく議論し、米国の沿岸警備隊と同様に准軍事組織に格上げし、1部の大型巡視船を護衛艦に相当するぐらいの武装をほどこした。
[しきしま]型巡視船2隻と[みずほ]型巡視船2隻が改装され、速射砲、CIWS、近距離対空ミサイルまで装備された。
「船長」
作業服を着た若い女性海保がコーヒーカップを持って、船橋に上がってきた。
「ありがとう。麻矢」
幸太郎はカップを受け取った。
コーヒーを持ってきたのは航海士の松野麻耶3等海上保安正だ。
彼の娘の1人で、海上自衛隊空母[やまと]の乗組員である松野彩海士長の姉である。
少女の幼さがある彩とは違い厳しそうな顔つきをしている。
「水上レーダーに感あり!左舷前方です!」
コーヒーを一口すすった時、レーダー員が報告した。
「数は?」
「1隻です!」
幸太郎たちの表情が変わった。
フリーダム諸島に物資を運ぶ船舶は護衛の都合上船団を組む事になっている。海自(海上自衛隊)の護衛艦や米艦であれば向こうが先に発見し、通信してくる。原潜はフリーダム諸島近海で浮上する事になっているから、恐らく違う。
「通信してみろ」
幸太郎の指示で通信士が交信を試みた。
「こちらは日本国海上保安庁巡視船[しきしま]。国際共通チャンネルで交信中、貴船の国籍と航行目的を知らされたし」
通信士が英語、日本語という順で通信するが、まったく応答がない。
「総員配置」
船内に総員配置を知らせる警報ブザーが鳴り響く。
「針路変更!」
幸太郎は、操舵員に命じた。
「針路変更!」
操舵員が復唱する。幸太郎は、船速を上げるのとヘリを発信させる指示を出した。
[しきしま]は2機のAS332L1ヘリコプターを搭載している。
船長の指示で1機のAS332L1がエンジンを始動させた。
AS332L1に海保の特殊部隊である特殊警備隊(SST)が乗り込んだ。
ヘリが発艦し、しばらくすると、ヘリから報告が入った。
「不審船を発見!商船ではない。海賊旗を確認!指示を乞う」
「船長だ。海賊船の監視を行え、何かあったら報告せよ」
「了解」
パイロットから返事を聞くと、船速を最大にするよう指示を出した。
「視認可能圏内に入ります!」
レーダー員が報告する。
幸太郎が双眼鏡を覗く。
黒一色に塗装された海賊船が1隻、ゆっくりと航行していた。
海賊たちも驚いているようで、甲板に出てこちらを見ている。
[しきしま]は海上保安庁が保有する巡視船の中では全長150メートルと駆逐艦並の大きさである。
「海賊船より、降伏旗が上がりました!」
見張り員が報告する。
「よし、特警隊(特別警備隊)に出動命令」
幸太郎は双眼鏡で海賊船を睨みながら、命じた。
海保の特警隊は海自の特警隊(SBU)とは大きく異なる。わかりやすく説明するのなら、警察の機動隊と銃器対策部隊に相当する。
「これで5隻目ですね・・・」
航海長がつぶやく。
世界の真実序章をお読みいただき、ありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投稿は今月の6日までを予定しています。




