逆襲 番外編 生きる意味2 生き残る覚悟
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
フリーダム諸島近海で第2統合任務隊の護衛艦3隻は巡航速度で走っていた。
「教練、対空戦闘用意」
[ながと]艦橋の司令席で、水島は演習の開始を告げた。
「教練、対空戦闘用意」
三枝が復唱し、艦内に対空戦闘を知らせるブザー音が鳴り響く。
「教練、対空戦闘用意」
[はつせ]の艦内でも対空戦闘を知らせるブザー音が鳴り響く。
「対空レーダー目標探知。対空目標40機」
レーダー員の報告にCICで指揮をとる艦長の大津は立ち上がった。
「SM-2、ESSM、スタンバイ」
「SM-2、ESSM、スタンバイ」
砲雷長が復唱し、担当員たちがデータを入力する。
「目標の先行集団にSM-2、撃ち方、始め!」
「撃ぇぇぇ」
「一斉発射!」
ピー、という発射音を知らせる警告音と共に、レーダー画面から、10の光点が新たに出現し、40機の敵性目標に向かった。
光点が重なると、その光点は消えた。
撃墜したのである。
「敵先行集団撃墜!」
「敵機、散開して、こちらに向かってきます」
レーダー員、担当員から報告が入る。
「迎撃優先目標に対し、ESSMで迎撃始め」
大津の命令で、艦隊に近づく、目標にESSMを発射する。
光点が次々と重なり、消えていく。
演習であるから、当然ミサイルは発射されていない。あくまでもシュミレーション上の戦闘である。
何も知らない無責任な人間が見れば、まるで、テレビゲームのようだ、とつぶやくだろうが、これはテレビゲームではない。実戦になれば光点が消えるという事は最低1名の命が消える事になる。
「・・・・・・」
水島は艦橋の司令席で三枝から、訓練報告を受けていた。
「以上が、今日の訓練報告です」
三枝の報告を受けると、水島はオブザーバーとして乗艦している佐藤に振り向いた。
「佐藤2佐。どう思う?」
「悪くはないと思います」
「そうか」
水島はうなずいた。
「・・・・・・」
しかし、水島の表情は複雑だった。
「何か、気がかりな事でも?」
「・・・いや、悪くはないと思うが・・・むしろ、編成に手一杯でロクに演習も出来なかった事を考えれば上出来と言っていい。しかし、Su-27[フランカー]を相手にしたらどうなのか・・・と思っただけだ」
「キスカで確認されたのは、6機でしたね・・・、6機なら十分対応可能ですが、それ以上の数で、波状攻撃を受ければ、難しいかと」
三枝の言葉に、水島は航空幕僚を振り返った。
「パイロットに死ねと?」
「まだ、何も言っとらんだろうが!」
「ついでに言えば、F/A-18Jでも荷が重いでしょう、笠谷隊だったからこそ2機撃墜できた・・・というべきでしょう」
航空幕僚の言葉に水島は、眉をひそめる。
「・・・Su-27はF-15に対抗するために、作られた機体・・・性能にパイロットの技量が加われば侮れない。しかし、こちらに空戦で対抗する手段が今のところない・・・という事だな。それに、ラペルリ、キスカの戦闘で空戦の主力だった竜騎士団は、大打撃を受けている・・・3度目の正直なんてアホな事を考える奴は、まずいないだろう・・・使い方次第だが」
「と、なると次は戦闘機を中心とした、航空攻撃と考えておくべきですね」
「[はつせ]にかなり負担を強いる事になるな・・・」
佐藤は、ふと思いついて水島にたずねる。
「[はつせ]は[あさひ]型の2番艦、なら新・防空システムをモード化して搭載しているのでは?」
「残念だが、[はつせ]にはアマテラスは搭載されてない、いわゆる予算の都合というやつでな・・・3番艦の[みかさ]なら新BMDモードも搭載されているはずだがな・・・あれは本土防衛の要に回されている。まあ、無い物ねだりをしても仕方のないことだ、三枝、明日までにSu-27及び、他の航空機対策の作戦立案をしておいてくれ、対空防衛戦闘の演習項目に追加する」
「ハイハイ」
「あと、相手が2次大戦のドイツ軍と考えれば、Uボートも保有していると考えておくべきかと・・・あの[群狼作戦]をネチネチやられては厄介ですね」
別の幕僚が意見を言う。
「対潜戦闘は、高上艦長の十八番だろう。言っとくが私は金魚すくいは苦手だ」
なぜ、金魚?と佐藤は思う。
「司令、ここは素直に対潜戦闘は苦手、と言わないとわからない人もいますよ」
三枝の言葉に、佐藤は納得した。が・・・Uボートと金魚をいっしょにする水島の感性は理解を越えている。
「・・・リムパックで原潜を、血祭りにした周の戦術を使うというのもアリか」
「「「やりすぎです!!!」」」
幕僚全員に却下された。
「・・・・・・・」
第1統合任務艦隊の幕僚と比べると、第2統合任務隊の幕僚は司令に対して積極的に意見を言う。
それはいいのだが・・・いいのだが・・・何か違うだろうと佐藤は思う。
そんな佐藤の心中を察したのか、水島はにやりと笑った。
「佐藤2佐、利口な奴らは退艦した、今ここに残っているのは私を含めてロクでもないバカばかりだ、我々は覚悟を決めたのさ、どんな事をしても生き残る覚悟をな」
「・・・・・・」
三枝や、他の幕僚たちも同様に不敵な表情で笑っている。
もちろん、それがどれだけ厳しく困難な事かは、彼らは理解した上で選んだのだ。
逆襲番外編をお読みいただき、ありがとうございます。
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