61 アニメになった仮面ライダー(風都探偵)
特撮番組だった「仮面ライダーW」が15年の時を経てアニメ「風都探偵」として復活しました。
「仮面ライダー」シリーズがアニメ化されるのは初めてだそうです。
続編が公式に作られるというのも初めてのはずです。
番外編などがノベライズされたりはしているようですし、「風都探偵」自体も元々はコミカライズ作品だったわけですが。
「仮面ライダーW」は、ライダーシリーズ初の“2人で1人の仮面ライダー”です。
左半身を司る左翔太郎の身体に、右半身を司るフィリップの精神が入り込み、それぞれが3形態ずつチェンジするので、初期状態で9形態という、かなり豪華なライダーでした。
正確には、「仮面ライダー電王」では、ベースである野上良太郎の身体にモモタロスら4体のイマジンが憑依することで、ソードフォームなど4つの基本形態に変身するということをやっています。
ただ、電王の場合は、あくまで良太郎の身体をイマジンが使っているだけで、基本フォームでは良太郎の意思は介在しません。憑依を拒否できる程度でした。
その点、Wでは、フィリップと翔太郎の意思が同居し、それぞれ半身ずつ動かします。
Wの決めポーズである「さあ、お前の罪を数えろ」が左手を前に出しているのは、それが理由です。
当然というか、フィリップの身体をベースとするファングジョーカーでは、右手を出すことになります。
「W」では、上記の理由から、基本形態だけで9種類のスーツが用意されました。
また、9形態はマフラー、棍、銃の有無はあるもののシルエットは同じで、モノクロにするとほとんど見分けが付きません。
「W」の商品展開は、ハーフチェンジとガイアメモリがテーマで、Wの左右分割変身はもとより、バイクも前後で分割され、後ろに付くユニットによって、ハードボイルダー(バイク)、ハードタービュラー(飛行メカ)、ハードスプラッシャー(水上メカ)に変化します。
それと、USBメモリを大型化させたようなガイアメモリがメインアイテムになっており、敵も味方もガイアメモリで変身します。
ガイアメモリのスイッチを押すと、立木ボイスでメモリ名が読まれ、それをスロットに挿入することで変身するのです。
玩具的には、ベルト:Wドライバーには音声ギミックはなく、ガイアメモリのスイッチと隠しスイッチ2個の組み合わせで3種類の音(メモリ名、変身音、マキシマムドライブ)が出るようになっています。
ベルトの玩具では、バックルの「W」型の部分を開くことで隠しスイッチ1が押されて変身音が流れます。この音の流れるタイミングが左右で異なるため、「サイクロンの変身音、ジョーカーの変身音」のような順で変身音が鳴るわけです。
また、ベルト右腰のマキシマムスロットにガイアメモリを入れると、隠しスイッチ2が押され、その状態でスイッチを押すことで「サイクロン! マキシマムドライブ!」と流れます。
玩具では、ベルトには右半身の3本(サイクロン、ヒート、ルナ)と、左半身のジョーカーの計4本が付属していました。
左用の残り2本は、メタルはメタルロッド、トリガーはトリガーマグナムに付属していました。
この2本は、「マキシマムドライブ!」の声の後に必殺技音も流れるようになっており、玩具で遊ぶ際に必殺技ごっこができるようになっていました。
こうした商品展開の都合から、Wの変身は、ベルトの付属メモリだけで遊べるよう、常に左半身はジョーカーから始まります。
放映当時は、劇場版も含めて左半身がジョーカー以外から変身したことはありませんでした。
設定上は、翔太郎がジョーカーメモリに深い愛着を持っているからとされ、そこから、“適性の高いメモリと使用者は惹かれ合う”という設定が派生しました。
この流れを受けて、強化変身後の武器であるプリズムビッカーの4つのスロットに挿すメモリは、ベルトのセットの4本になっています。例外的に、一度だけサイクロンの代わりにメタルを挿していますが、実際に玩具でやるとヒートメタルの必殺技メタルブランディングの効果音まで流れてしまうのです。
小物についてもメモリで統一されていました。
メモリガジェットと呼ばれる小道具達は、ギジメモリというメモリを挿すことで生物型に変形します。
スタッグフォン…携帯電話→クワガタ
スパイダーショック…腕時計→蜘蛛
バットショット…カメラ→蝙蝠
といった具合です。
過去にも、「仮面ライダー555」のように、日常的な小道具から武器に変形するシリーズや、「仮面ライダー響鬼」のディスクアニマルのように、CD型から動物型に変形するアイテムはありました。
「W」の次作「仮面ライダーOOO」でも、缶ジュース型から生物型に変形するアイテムはありました。
ですが、変形前の形態で活躍しているアイテムは、ほぼありません。
例えば、パンチ用のナックルであるファイズショットは、普段はカメラという設定ですが、カメラとして使っているシーンはありません。
その点、「W」では、翔太郎が探偵であるため、小物達が七つ道具として活躍するのです。
むしろ、道具として活躍しているシーンの方が多かったような気がします。
2人揃わないと変身できない(遠隔は可能ですが)という事情もあいまって、咄嗟にスタッグフォンが怪人に体当たりして気勢を削ぐといった使い方も多かったです。
ああ、あと、ガジェットを棍や銃に合体させるといった使い方もしていましたね。
「W」は、玩具売上も好調で視聴率もよく、物語も好評という、なかなか優等生な番組でした。
これは、シリーズ構成の三条陸さんの力によるのかな、と思います。
三条さんは、「ダイの大冒険」の原作を担当した方で、物語を盛り上げつつ、矛盾をあまり抱えないという上手な方です。
「仮面ライダードライブ」でもシリーズ構成されてましたね。
「W」では、翔太郎が外でヒントを探してきて、それをキーワードにフィリップが検索して真相を究明するという“2人で1人の探偵”としてのスタンスが一貫されていました。
ほとんど無敵のフィリップの検索も、キーワードとなる情報がなければどうにもならず、そこを翔太郎の情報網と勘が補うわけです。
2人で事件を追い、戦う時も2人。
通常、特撮ヒーローものでは、裏方になるサポートキャラは目立てないことが多いのですが、“2人で変身”するから、フィリップはバリバリ表に出るのです。
この“探偵として捜査し、ライダーとして解決する”という独自の作風は、後年「仮面ライダードライブ」に“刑事として捜査し、ライダーとして解決する”という形で受け継がれました。
特撮番組としての「W」は、予定どおり1年で終了しました。
終了した年の12月には、次作「OOO」とのコラボ映画で、後日談──鳴海亜樹子と照井竜の結婚が描かれます。
その後もWはライダー映画に何度かゲスト出演しました。
そして、正当な続編が描かれるに至ったのです。
漫画という媒体ではありましたが、三条陸監修による正当な続編です。
敵組織亡き後も、ドーパント犯罪は続いていた、というTV最終回の流れを受けた物語。
その物語は、更にアニメ化されました。
仮面ライダーシリーズ初のアニメ作品です。
アニメ化ということで、当然のごとく声はオリジナルの俳優ではなく声優が演じましたが、割と雰囲気は似ていたと思います。
ガイアメモリの声は、特撮版と同じく立木文彦さんで、変身音も同じと、原典を大事にしてくれていました。
物語としても、風都に残ったガイアメモリを持つ者が相手となっており、財団Xの名前まで出てくる親切設計。
第3話、初のドーパントとの決戦の際に、特撮版OP「W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜」と同じ曲調の「W-G-X 〜W Goes Next〜」が流れた時の感動ときたら!
後で、フルコーラスを確認したんですが、2番の歌詞に「強くなきゃ生きられない 優しくなきゃ資格がない」ってのあって、ちょっと嬉しくなりました。
ハードボイルドの神髄じゃないですか!
ピシッとかっこよく決めたいのに、甘さから“ハーフボイルド”な翔太郎はアニメ版でも健在で、でもその甘さが優しさであり翔太郎の良さでもある。それが「W」という作品の持ち味ですから。
データから冷徹に詰めていくフィリップと、直感で真理に近付く翔太郎。
真逆であるが故に“2人で1人”の有能な探偵になれる、というのが貫かれていて、本当に楽しかった。
まぁ、アニメで動かすと、Wもアクセルもイマイチな感じになるのは若干悲しいところではありますが。
新キャラである“ときめ”の謎は、結局アニメでは解き明かされないままでしたが、漫画版が終わってない以上仕方ないところでしょう。
鷹羽的には、未だに自分の妻を「所長」と呼んでいる照井とか、亜樹子がときめに書いた人物説明に「私のダンナはバイクになります」とあって、ときめが「バイクに乗ります」の書き間違いと思い、目の前でアクセルがバイクフォームに変形するのを見て「書き間違いじゃなかった!」と白目になってたのが楽しかったです。
ちなみに、コミックスの方では、商品化の軛から外れたことで、ファングメタルという新形態が登場したようです。アニメはそこまでいってませんが。




