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60 半世紀にわたって世界と戦い続けた男(飯塚昭三)

 2月15日、飯塚昭三さんが亡くなりました。

 鷹羽にとっては、安藤三男さん、天本英世さんと並んで、悪の三巨頭とでも言うべき方です。

 でも、ネットのニュースでは、「機動戦士ガンダム」のリュウ・ホセイ役と紹介されていました。

 はて? と思って考えて。


 なるほど、普通の人にパッとわかる代表的な役がないんですね。

 特撮好きにとっては「超人バロム・1」の魔人ドルゲ、「人造人間キカイダー」のハカイダー、「秘密戦隊ゴレンジャー」の将軍達と、枚挙に暇がないのですが、いずれも一般的な知名度は低いものばかり。

 実際、息子に

 「『天装戦隊ゴセイジャー』でモンス・ドレイクやってた人」

と言っても「覚えてない」の一言で終わり、「『ガンダム』のリュウ」と言うとすぐ通じました。

 まぁね、実際に画面を見ればともかく、年齢一桁の頃の番組のキャラの声とか、覚えてる人って珍しいですよね。

 自分がその珍しい部類なので、ついつい忘れてしまいます。

 それを言ったら、天本さんは「仮面ライダー」の死神博士があるからいいですが、安藤さんも「キカイダー」のプロフェッサー・ギル、「イナズマンF」のガイゼル総統、「宇宙刑事シャリバン」のレイダーとか言っても知ってる人少ないですよね。

 「ゴレンジャー」の黒十字総統も、名前はともかく顔や声を覚えているかといえば、難しいと思います。

 飯塚さんの場合、アニメにもそこそこ出演されていますが、あまりメジャーな役はないんですよねぇ。

 やっぱり特撮メインなんで。


 「ミスター味っ子」の丸井シェフなんて、番組の知名度からして低いですし。

 個人的には、「機甲戦記ドラグナー」序盤に出てきたチェホフ中尉が印象深いです。

 敵方の叩き上げの軍人で、主人公のケーン達を気に入って戦術の手ほどきをしてくれた人です。

 味方のはずのプラクティーズ(序盤のライバル)の癇癪で撃ち殺されて退場しましたが、死に際にケーン達に「(プラクティーズは鼻持ちならないエリート意識で)それに比べてお前達の可愛い可愛い…」と、まっすぐ(というか単純)なケーン達を脱出させてくれるんですよね。

 なんというか、飯塚さんが演じるキャラは悪ボス系を除くと悪者含めて人間味があります。




 ちなみに、特撮での首領・幹部系を挙げると


「超人バロム・1」     魔人ドルゲ

「秘密戦隊ゴレンジャー」  鉄人仮面テムジン将軍、()(やま)仮面マグマン将軍

「小さなスーパーマン ガンバロン」  ドワルキン

「太陽戦隊サンバルカン」  ヘルサターン総統

「宇宙刑事ギャバン」    ドン・ホラー(序盤のみ)

「宇宙刑事シャリバン」   魔王サイコ

「宇宙刑事シャイダー」   大帝王クビライ

「巨獣特捜ジャスピオン」  サタンゴース

「時空戦士スピルバン」   デスゼロウ将軍

「世界忍者戦ジライヤ」   鬼忍毒斉

「仮面ライダーBlack RX」 海兵隊長ボスガン

「起動刑事ジバン」     ドクターギバ

「天装戦隊ゴセイジャー」  惑星のモンス・ドレイク


という感じです。


 「ゴレンジャー」では、二代目幹部:鉄人仮面テムジン将軍が斃れた後、直ちに三代目幹部:火の山仮面マグマン将軍を演じています。

 「電子戦隊デンジマン」では、毎回登場する怪人(ベーダー怪物)の声をほぼ全て演じていました。

 飯塚さんは、重くて怖いキャラも上手いのですが、コメディタッチもなかなかすごいです。

 「スピルバン」のデスゼロウ将軍は、女王パンドラから「スピルバン坊やをペンペンしなさい!」と言われて「ペンペンします!」と言って出撃します。

 パンドラを演じた“日本一の魔女”曽我町子さんならではの「殺せ」でなく「ペンペンしなさい」を「ペンペンします!」で受けるのが、ねぇ。


 「ゴレンジャー」のマグマン将軍なんて、シリアスで怖いキャラなんですが、死に方がとってもマヌケです。

 ゴレンジャーの後期必殺技であるゴレンジャーハリケーンは、ラグビーボール型の爆弾を4人で蹴ったり投げたりして、最後にアカレンジャーが「エンドボール!」と蹴ることで、敵の弱点に変化して飛んでいくという技です。

 マグマン将軍の時は、タマゴに変化しました。

 マグマン将軍は、飛んできたタマゴを受け止め、


  「おお、ワシはタマゴが大好きなのよ。おっと、生では食えん」


と、頭部の火山に入れて噴火させてゆで卵にし、更に殻を剥いてパクッとかじったところで爆発します。

 まず、ゴレンジャーハリケーンなのをわかった上で食べようとするところがマヌケですね。

 次に、タマゴを火山の噴火でゆで卵にできるわけがありませんよね。

 その上、噴火させても殻を剥いても爆発しないくせに、一口かじると爆発するという…。

 本放送で見た時のインパクトは、とんでもなかったですね。




 あと、「デンジマン」で、ナゾラーという怪人の時。

 デンジマン5人の首に輪っかを付けて、ナゾナゾに正解すると輪が外れ、不正解だと輪が締まるという攻撃をします。

 レッド、イエロー、グリーン、ピンクが「虫が驚いた、なんと言った?」「アリ!?」などとそれぞれ正解した後、ブルーは


 「馬と豚がケンカした、どっちが勝った?」


 「トンカツだから、豚!」


 「ハズレ。トンカツ食って美味(ウマ)|かった♪」


と、不正解でした。

 この「ウマかった♪」の言い方が、すっごく楽しそうなのです。

 40年以上経つのに忘れられないくらい好きです。

 トンカツ見るたびに思い出します。




 飯塚さんは、「ギャバン」の序盤で、声が出なくなって降板したそうで、「シャリバン」のサイコで復帰した時は、まだ声が出にくくて機械で声を変えていたそうです。

 鷹羽は、その辺の事情を知らず、「シャリバン」も最終回で初めて見たのですが、機械でエフェクトのかかった声は好きでしたね。




 「キカイダー The animation」では、ハカイダーの声を演じたのは別の方で、飯塚さんは光明寺博士を演じていました。

 ほうほう、と思っていたら、光明寺の意思がハカイダーを支配している時は、ハカイダーの声が飯塚さんになっていたのです!

 これは嬉しいサプライズでした。

 粋なキャスティングです。




 かつて、飯塚さんがムックのインタビューを受けた際、編集者から“30年間地球と戦い続けた男”の称号をもらったそうです。

 「バロム・1」から、もう50年。

 ここ2~3年は、新たな悪の首領は演じておられませんが、ほぼ半世紀にわたって地球と戦い続けてきた偉大な悪の戦士です。

 きっと、この記録が破られることはないでしょう。




 魔王サイコのセリフに


 「ワシは不死身だ。命をふたつに分けて持っておる」


というのがありました。

 魔王サイコと戦士サイコラー、どちらかが生きていればもう片方も復活するというシステムでした。

 「ハリー・ポッター」シリーズのヴォルデモートの分霊箱みたいなものです。


 飯塚さんの魂はきっと、作品の中に、見て育った鷹羽達の中に、生きています。

 誰かが生きている限り、作品を見るたびに、きっとまた復活する。

 決して滅びることなく永遠に地球と戦い続ける悪の王に、大いなる感謝と正義の一撃を。

 飯塚さんのご冥福をお祈りします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お見事な追悼文でした。 サブタイトルがかっこいいです! ガンダムのリュウさんの声って、飯塚さんだったのですね。 飯塚さんの印象は、とにかく特撮の声の出演に必ず名前が載ってる人、だったですか…
[一言] 御冥福を 今話に限らず、分かるネタに関しては大いに同意なのですが 時間の流れは平等に無情と言いますか、何というかシリーズにおける追悼話の割合がじわじわ増え続けていて、仕方ないとは思いつつも物…
[一言] 僕の場合は『特撮系以外の飯塚さんの声』で真っ先に思い浮かぶのは、『忍たま乱太郎』の『稗田八方斎』ですね。 「はーはっはっはっは!」と高笑いしたら後頭部から倒れて、部下に「起こせー起こせー」と…
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