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忠志との思い出を手繰り寄せるように、恵美は一人部屋の隅でアルバムに見入っていた。その一枚一枚が忠志の記憶を蘇らせ、胸をしめつけていた。
忠志が涼子と付き合っている頃から、ずっと恵美は忠志を見つめ続けてきた。
社員旅行の時も、そして会社の同僚たちで遊びに行った時も。いつも忠志の隣には涼子の姿があった。
涼子は大切な親友ではあったが、忠志を思うとき彼女は恋敵だった。
いつも涼子が忠志の隣で笑顔を見せている事は、親友としては喜ばしいことだったが、女としては辛いものだった。そして、やっと忠志の隣に立つことが出来るようになったというのに、それはほんの数ヶ月で終わりを告げた。
忠志は最後まで、心のなかでは涼子のことを愛し続けていたのかもしれない。忠志が自分と一緒になったのは、自分が強引に近づいたからだ。そして、忠志の家の事情から、忠志は自分と一緒になったに過ぎないことを恵美は知っていた。
(もし忠志さんが何か問題を抱えていたとしたら……)
それを話すとしたら、自分よりも涼子だったかもしれない。
悔しいことだが、その思いを否定することが出来ない。
(訊いてみたい)
恵美はふらりと立ち上がった。




