3つの施策――
アリスたち、秘密結社セアロカーの立てた施策は3つあった。
一つは、魔王ラララを通じて空中軽装駆逐艦「矛盾」をダンジョン化させること、そしてもう一つは、アリス・ガーゼット、及び、ロダン・ガーゼットを空中軽装駆逐艦「矛盾」に乗せてコミー軍の大統領と相対させることである。
ダンジョンマスターであるロダンは、ダンジョンから外にでることができない。逆に言えば空中軽装駆逐艦「矛盾」をダンジョン化させれば出現することは可能になるのである。
ガーゼット家のダンジョンとするのであるならば2人は出入り自由となるのだ。
特にダンジョン化をすることについて、エセ大日本帝国政府は当然のように難色を示したが、時間が差し迫っていたこと、ゴーストラリア魔王国からの後押しがあったこと、なによりも彼女ら魔人が2柱ともレベル120という強者であり、万が一主砲が効かない場合の保険としての緊急避難的措置を認めざるを得なかったのである。
そんな二人は機首に立ち、まるで映画タイタニックの一シーンように手を広げ風を気持ちよさそうに受けている。
だが、その身体には大量の、禍々しい魔力が巡回しており、時に青白い稲妻のような淡い光を怪しく、そして鈍く放っていた。
「ワシの名を聞くがよい! ワシは世界最強錬金術師! 青い稲妻の魔人アリス・ガーゼットじゃ! そして見るがよい! 流派! 《錬金》スキルが最終奥義を!」
「るー!」
アリスは持っていたロダンを地面へ落とすと、手を胸の前へと持っていき、指を捻って高速で空気を練り始める。
しゅぱぱぱぱぱぱー---
それにより神冒陽子崩壊実証砲とは異なる悲鳴のような音がその周囲を支配していくのだ――
「その錬金術の到達系――
あまたの錬金術師が目指し、
そして挫折していった
根源が渦を知るということ――
それは誰しもが求める欲望と退廃の理想郷――
流派! 《錬金》スキルが最終奥義!
術式『錬金術』! 発動ぉぉ!」
その至ってシンプルな名前の術式が、「矛盾」の前を青白い稲妻で染め上げるのと、闇炎系最終奥義、熱核爆裂弾が撃ちだされるのは、まさに同時であった。アリス側がタイミングを合わせたのだ。
二つの光が衝突する――
……………………………
………………
……
その男は、愉悦の高笑いを浮かべた。
帝国軍が放つ最大戦力である主砲が完全な物理攻撃であり、物理攻撃無効化によって弾かれたのである。これを笑わずにはいられようか。自身の勝利は目前なのだ。
もちろん攻撃されたのであれば反撃だ。コミーデミュタント連邦が保有する空戦魔戦艦「デミトリ・ドントコイ」の艦橋で、闇炎系最終奥義、熱核爆裂弾を放つべく、豪華な艦長椅子に座り敵の様子をゆっくりと眺めている。ウィンドウシステムは既に操作済だ。後は発射の時間を待つのみである。
「ははは――、いくら科学に優れようと、所詮は物理! ファンタジー世界において魔法を学ばないなど愚の骨頂! 死ぬがよい!」
その男は容赦なく魔法を放つ。
当然にして熱核爆裂弾だ。
彼は死霊であり、MPとなる死体はいくらでも地面に転がっていた。
「な、なにぃ!」
余裕で帝国軍のことを舐めていたその男だが、その顔が驚愕に染まるのはその直後である。
その核攻撃は、「矛盾」の前で青い光に吸い込まれるように消えてしまったのだ――




