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僻地の彼方、エセブルーフォレスト




 さらば首都エドよ。旅立つ船は空中軽装駆逐艦「矛盾(ホコタテ)


 僻地(へきち)の彼方エセブルーフレストへ

 帝国人類の運命を背負い、今、飛び立つ。


 任務に失敗すれば帰ってくることのない戦いだ。


 そもそも、航空威信艦(フラッグシップ)がやられれば国としての存続すら覚束ないのである。

 したがって「矛盾(ホコタテ)」が沈められてしまえば防備を失った帝国は首都エドですら、エセ北海道のように核の大地にされてしまうだろう――





 ――エセブルーフレスト上空――





 空中軽装駆逐艦「矛盾(ホコタテ)」では、兵員たちが慌ただしい会話を続けていた。


「敵、航空威信艦(フラッグシップ)、空戦魔戦艦「デミトリ・ドントコイ」との距離12,000! 接近します!」


「敵の動きはどうだ?」


「ゆっくりと前進中です」


「くそ舐められているな――、コミ―軍が誇るその物理攻撃無効化とやらが、どの程度のものか、見せてもらうではないか――」


「主砲の有効射程距離まで残り1,500切りました、敵艦の動きは継続してありません!」


 彼らは空中軽装駆逐艦「矛盾(ホコタテ)」の主砲である神冒陽子崩壊実証砲(レールガン)を撃ち放とうとしているのだ。


「いかに物理攻撃無効化が強力であろうとも、我が国物理の最高峰――神冒陽子崩壊実証砲(レールガン)であれば倒せないはずがない! その攻撃力(ATK)は1億を越えるのだ! コミー軍め。油断したな」


 そんな中、観測官からの悲鳴に似た声があがる。


「敵艦から高熱源反応! これは――熱核爆裂弾(ニュークリアバレット)です!」


「ばかな! あの攻撃は空対地だけでなく、空対空の攻撃もできるというのか! 技術班! 主砲の発射用意急げ!」


「既にやっています!」


 強力な電磁場の中で加速した陽子が、シェルアンドチューブ満液式蒸発機構によって真鍮円形である主砲の銃口の中をぐるぐる回転することでさらに加速していく――


 きゅぃぃぃ―――ん


 徐々に強烈になっていく不思議な音が周囲に響き渡る。

 その音が徐々に大きくなっていき、光速をも越えた青白い光が艦全体を包んでいく――



「距離1,000! 主砲の有効射程圏内です」


「主砲! 直ちに発射せよ! コミー軍よ! 我ら最大の防御は我ら最強の(ほこ)であると知れ!」


「全員耐震! 対閃光防御! 主砲! 発射ぁぁぁ!」


「主砲:神冒陽子崩壊実証砲(レールガン)、発射します!」


 轟音と共に光が煌めき。

 主砲の大砲音が空へと響いた。





 Zap! Zap! Zap!






 響き渡る攻撃は、しかし空戦魔戦艦「デミトリ・ドントコイ」の手前で障壁にぶつかったように拡散する。物理攻撃無効化だ。


 黒板に爪を立てて掻きむしるような嫌な音が響く。

 青白い光は赤く変色しながら円形に拡散し。

 そして消え去った。


「敵艦にダメージ表示ありません!」


「あれが――、物理攻撃無効化の力――」


 しかし、あれだけの攻撃を受けながら、空戦魔戦艦「デミトリ・ドントコイ」はまったくの無傷であったのである。


「そんなバカな! 我が国最大の物理攻撃だというのに! ATKは推定1億! 1億を越えるのだぞ!」


「敵、魔法詠唱止まりません!」


システム「繰り返します。闇炎系(ミドルセカンド)最終奥義、熱核爆裂弾(ニュークリアバレット)が承認されています。」


システム「速やかに退避してください」


システム「この地域の生きとし生けるものすべてが死滅します。」


 システムメッセージは途切れることなく進行している。

 それはまるで、死を告げる悼辞の言葉のようだ。


 しかし――














「ほほぅ。つまりワシの番というわけじゃな――」


 主砲を発射したその甲板機首に、風に揺れるピンク色のドレスを身に纏ったアリス・ガーゼットと、彼女が抱くルーミートと呼ばれるモンスター、ロダン・ガーゼットの姿があった――



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