未成年の子供と親権者との利益相反
「な、なんで、バレたんだ?」
湊は明らかに同様していた。
「どうやら税理士の方が喋ってしまったみたいで」
「税理士――守秘義務とかあるだろうに……」
「他に信頼できる税理士さんの知り合いとかいなかったから……」
確かにスノーの年齢ではぽんぽんと税理士の知り合いなどいないだろう。
そこに、親の税理をしている税理士がいたら相談するのも分かる話だ。
多くのヒトからはネットで調べれば簡単だという指摘を受けるかもしれないが、ネットで見つけた税理士をそう簡単に信用できるものだろうか? 普通の案件であればそれでも良いのだろうが、今回は秘密が多い案件である。
「でもお母さまには扶養控除がなくなる件の話はしないといけないでしょう? そうなったら税理士さん関係なく、親権として通帳を見るでしょう?」
「なるほどするとじゃな。なぜか娘の通帳に怪しげな多額の金銭が――となるわけじゃ。そりゃうちの娘は何やっているのだ! となるわけじゃ」
「そもそもその税理士さんも、まさか母子間で情報共有してないとは思っていなかったと」
「そのようです」
「起きてしまったのは仕方がないのじゃ。この後はどう対処するかじゃな。我々で大人にどう対処するか? それが懸案じゃ」
「親御さんだったら――、『こんなアホなことしていないで彼らとは離れなさい』とか言いだしかねないね」
湊の言葉にアリスは頷いた。
おそらくは――そうなるだろう。
「うーむ。そうなったらスノーは手放すことになるじゃろうな。残念じゃが。すまんが、スノーに振り込まれた金はカオルくんに振り込んで貰ってじゃな」
ここで一人脱落してもスノーの代わりは――、残念なことにいた。
《神聖魔法》スキルの使い手であればまだキャロル・ルイーズがいる。
会社設立にしても渋谷カオルがいれば十分であった。
「そんな……。私は嫌です」
「ではスノーの親御さん。ここにいるメンバーで説得できるか? できるわけがないじゃろ? なにせワシら悪の秘密結社セヤロカーじゃぞ?」
スノーは今までやってきたことを思い出す。
(配信でプロパガンダを行い、経験点を市中にばらまいて混乱させて、ジュエルを巻き上げお金に替えるような謎の集団……。そしてその幹部であるわたくし……)
どこにも親を説得できる要素がなかった。
「反対だ! そんなことになったら……」
「そんなことになったら、なんなのじゃ?」
「僕の面白味が何もなくなるじゃないか!」
「おぃ! なのじゃ」
「だいたい、アリスさんだって、この前『秘密結社セヤロカーちゃんねる』で言ったじゃないか! 秘密結社の目的の2つ目、『世界を混乱に陥れるため、幹部すらバットエンドに墜として構成員の一人とくっつけるのじゃ』って――」
「それは――確かに言いはしたのじゃが……。ネタじゃろ?」
「そんなことをいったら、この異世界全てがネタだろうが! こんなクソなろう小説みたいなのがネタでなかったら何だというのだよ! ネタには全力で取り組むべき! そうだろう?」
「お、おう……」
「僕は僕の都合で、幹部:スノー・サウスフィールドをバットエンドに墜としてやるよ。スノーさん! 僕と付き合ってくれ! そして彼氏づらして母親にあってやるよ。肩を組んでパリピみたいに『いぇーい』とかいって笑ってビビらせてやる。絶対に逃がさない!」
「ちょっと、湊さん、あなた本気なの?」
「これは僕が異世界転生して、いや人生で初めて起きたイベントで、アリスさんに逢って、運営Aさんに逢って、スノーさんに逢って――、いろんな人に出会って、本当に楽しかったんだ。楽しかったんだよ! あのスライムプールだって。。。それが、それがこんな形でいきなり終わるだなんて、異世界として、イベントとしてダメに決まっているじゃないか! もしもなろう小説でこんな終わり方したら炎上してブックマークが全部外されて、そのうえ下にある★マークが全部1になるレベルだよ! だから――反対だ!」
湊は泣いていた。それは大泣きだった。
「わ、私だって……。私だって湊さんと――、みんなと離れたくない! だけど、どうすれば良いって言うのよ!」
「うむ。そうじゃなぁ。いっそ全てを話して――
――スライムプールに沈めるのじゃぁぁぁ」
「アリスは落ち着け」




