檻の中
仕切り直しした結婚式はとっても素敵だった。たくさんの花が舞う晴れた空の下、2人は結婚した。
弟に先こされてちょっと複雑な気分ではあるけど、ロニーのタキシード姿は本当にあのロニー?って疑うレベルで格好良かったし、エリゼさんのドレスも可愛かった。ピンクのふわふわドレス。乙女の夢だ。金髪緑眼の美少女だからこそ似合うっていうか…とにかく夢のあるデザインだった。ちなみに例のナッシュさんとの式で使う用だったドレスではなく、有名なメゾンで突貫工事で作らせたみたい。私のドレスもそこで作らせてもらえるみたいだ。ラングレー家の御用達。良いよね、御用達の響き。
「良い式だったね」
今回はシュー様のご実家であるラングレー家に滞在している。今は着替えて2人でシュー様の部屋だ。遅い夕食の時まであと少し。
「はい。とっても…私はあんまり豪華じゃない式の方が良いかなって思っちゃいましたけど」
貴族の結婚だから両家の繋がりのある家の当主なんかがたくさん来ていて2人は挨拶に追われていた、
「僕は三男だからね、したくても出来ないから大丈夫だよ…リィナは結婚してもアルバイトしたりするの?」
急に変わった話に慌てて答える。
「ええっと…そうですね。シュー様のお給金で十分だとは思うんですが頼まれたりすることもあるかもしれませんし…」
「なるべくならしないで欲しいんだ…こっちの、獣人の常識では僕がお金を稼ぐ能力のない甲斐性無しって思われるからね。もちろん頼まれたり…事情がある時は相談して欲しい」
「…シュー様は結婚したら私が家から出ないほうが良いですか?」
リード様から前に聞いたことがある、獣人は番の雌を他の雄に見せるのをひどく嫌うのだ。
「…そうだね、僕の中にはそうして欲しいって気持ちももちろんあるけど、リィナが嫌がると思うしそんなことは求めないよ」
私は椅子に座っているシュー様の膝に腰掛けると彼の腕を自分の前に回す。
「…リィナ?」
すこし振り返って驚く顔を見つめる。
「なるべく…こうしています。シュー様の腕の中でずっと居ます。…私のために自分の本能を抑えて、我慢してくれてるシュー様に何か返したいから」
「リィナ」
後ろからギュッと抱きしめられた。
どこよりも安心する腕の檻の中。私はずっとこの時が続けば良いってそう思った。




