41/55
落下
「ナッシュのこともあるからな、婚約解消しても家の関係は円満ですって思わせなきゃいけないし、俺は気にしてないよ」
しかし、言葉とは裏腹にリード様はなんとも言えない表情だ。
今日は式当日で、私達は会場入りしたところ。シュー様とリード様の3人で、入口の長い階段を登り終えたところだ。2人とも騎士の正装が格好良すぎて鼻血出そう。
「…リード」
鈴の鳴るような声が聞こえた。
「…イライザ、久しぶりだな」
例のお姫様!私は目を見開いた。いきなり向こうから接触してくるなんて予想外だ。
「会いたかった」
可憐な容姿のイライザ様はリード様しか見ていない。
これまずいよね?なんと言っても相手は既婚者で番のいる人だ。リード様はどう答えるんだろう。
私は背中にすうっと嫌な予感が走った。
「もう、何も言わないでくれ。迷惑だ」
リード様は冷たく言った。綺麗な顔が強張っている。
イライザ様はふるふると唇を震わせるとこちらを見た。
そしていきなり私を突き飛ばした。
え?
どこかでだいすきなこえがきこえたきがした。




