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TS魔法少女イスズ JK6留  作者: サイリウム


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20/21

20:絶望をあげるよ♡



「よ、っと。おぉ、すっごい勝利を確信した顔してる、おもしろ。」



たぶん同じような調整をした結果、全員が似た性格になっているのだろう。300人の私に似たクローンたちが全部同じ顔をしていれば不気味さを超えて面白く成って来るわね。


そんなことを言いながら、変身アイテムのガラケーではなく、いつものスマホを取り出し幾つかメッセージを送っておく。時間を専門とする魔法少女の後輩たちに無断で時止めちゃったからね、事後報告にはなるけど一応言っておかなきゃ。


時間を止めてるから普通の通信は使えないんだけど、魔法でちゃっちゃっといじれば宇宙どころか別空間にでも届くのよ。……お、爆速返信。あいあい、細々とした処理はそっちでしてくれるのね。でもその代わり今度差し入れ大量に持って行かないと目の前で自害する、と。りょ。メモ帳に忘れんようにメモして……。ヨシ!


んじゃ、時の流れを戻しましょうか。



「はぁい、イスズちゃんだぞ♡」



彼女達の眼が喜びから驚愕に変わるよりも早く、300のクローン全ての腹部に、“同時”に拳を叩き込む。知ってた? 本気のイスズちゃんと戦うには最低でも『概念』を引っ張ってこないと勝負にならないって。知らなかったら体で覚えてね♡



「というわけで帰還! いやはや、クローンとはいえ娘みたいなのが一気に300も増えたなんて、あんま笑えないよねぇ。あ、一応手加減したけど生きてる? 生きてるね、よしよし。」


「な、なんで……!?」


「あはー! 面白い事聞くね?」



イスズちゃんはね、負けないんだよ?


どんな敵が現れようとも、どんな存在が行く手を阻もうとも。私の前じゃ全部塵芥。誰かの為に戦って戦って戦って、全部ぶっ飛ばすのが魔法少女のお仕事じゃない。それに私、『最強』の看板ずっと背負ってるのよ? 自分のクローン如きに負けてちゃぁ最強って言えないじゃない!


単にお腹に一発喰らって這い蹲ってる雑魚クローン相手に変身させられたことは認めるけどさ……、この『マジカル☆イスズちゃん』相手に勝ちを拾えるなんて思わないことね。



「あぁでも、何にもできずに倒されちゃっても“違い”なんて分からないよね。あはは! 仕方なーい、気が済むまで好きなだけ攻撃させてあげる。さ、おいで、ベビーちゃんたち。」


「なめ、るなぁぁぁ!!!」

「ころす! ころすぅ!」

「しぃぃねぇぇ!!!!!」



うーん、挑発に弱い。そんなのだったらメスガキと相対した時すぐにやられちゃうぞ♡


そんなことを考えながら、ただ自然体で私のクローンたちの攻撃を受けていく。全力で殴りに来るもの、蹴りに来るもの、魔力を放射してくるもの。色んな子が感情のままに突撃したり、頭使って戦ってみたり、寿命どころかその命を投げ打つような攻撃をして来るが……。一切私は動かない。


なぜって? そんなのダメージ受けるわけがないからに決まってるじゃん。



「う~んそよかぜ。」


「あぁぁぁぁ!!!!!」


「あ、そこの子魔力使い過ぎてない? 死んじゃうよ? しかたにゃいなぁ。ママがプレゼントしてあげる。あははー!」



一人一人の攻撃力が、軽く地球を粉々に吹き飛ばせるレベル。ただ私の前じゃ無意味だし、既に『隔離しきった』この空間じゃ周囲に何の影響も与えることのできないただのそよかぜだ。しかも限界まで使った魔力も、私が補充してあげる素敵空間。プラスして時間も止めてるから、隔離してる空間の外にいる長官とやらがどこかに雲隠れする時間もない。



「そうだ。クローンくんたちの好きピな長官とやらの居場所割り出しとこ。ちょっとしつれーい。」


「あ、がッ!?」



私に張り付いて自爆しようとした子の首を掴み、適当に魔力を流してその脳みその中を調べる。ま、早い話記憶覗き見しようとしてるんだよね。正直こういう繊細な作業を求められる魔法は苦手なんだけど……、あぁやっぱり。私のクローンだからやりやすいや。


はいはい、この記憶ね。座標データはないけど、情景とかを把握できれば十分。……共和国の山奥ね。ほいほい、場所さえわかれば識別完了。戦闘終わったらお邪魔しにいこ。



「は、な、せッ!」


「およよ。ごめんごめん。じゃあ諦めるまで攻撃続けようねぇ。自分たちが失敗作って事実を、『イスズじゃない』ことを理解できるまで頑張ろうねぇ。」


「「「だまれぇぇぇ!!!!!」」」



うーん、反抗期!


そんなことを考えながら、空気を固め空に作った椅子に腰かけながら、彼女達の攻撃を眺めていく。最初は頑張ってペシペシしてくれてたんだけど、単純なものじゃ効かないと判断したのか、自爆覚悟の攻撃が増えて来た。今の子達なんか全員で張り付いて一緒に爆死しようとしてたし。


……自分に張り付かれるのってこんな気持ちだったんだね。うん。なんともシュール。


というかさ。もしかしてアレかな? もっと力の差を理解させないと諦めてくれない感じ? 別にこっちで回復させてあげるからいいんだけどさ、こうも身を顧みない攻撃ばっかだとしんどくなっちゃう。死んでるの私の顔した奴だし。



(うーん、ちょっと“高み”見せてあげた方がいいかなぁ?)



別にいいんだけどね? 恐怖で壊れておかしくなっちゃわないかなぁってのが不安です。一回ちょっと変身後で本気出した時、敵が絶望しすぎておかしくなっちゃって、自分で自分の体ひっくり返しちゃったんだよね。ほら内側と外側をひっくり返すやつ。


消化中の色々を地面にまき散らしながら死ぬから凄い見た目だし、流石に自分のクローンがそんなことになるの見たくないんだけど……。



「諦める雰囲気見えないし、仕方ないか。……じゃあ、おしまい。」



パンと手を叩き、隔離した空間の時間も止める。


しかし停止させるのは彼女たちの肉体だけで、頭部はそのまま。思考は回るし声も出せる。けど攻撃に転じられないように“ロック”を掛けたから、もう出来るのは観客として見て声をあげるだけだ。あぁでも、この状況に対する罵声はノーサンキュー。魔力を全身に叩き込み一瞬だけ崩壊させることで、黙らせてあげる。



「うん、静かになった。」



吹き飛んだ子を再生し元通りなったことを確認した後。空間にまんべんなく魔力を浸すことで張り付いていた子たちをゆっくりと剥がしていき、全員の視線が私に集まるよう空に浮かべてあげる。



「マジカルマジカル。後悔しても、遅いんだからね?」



それまで落としていた魔力を再度循環させていき、より自身を高めていく。折角の機会だ、少し鈍ってしまった自身への戒めの意味を込めて、ちょっと本気を出すべきだろう。流石にこのフォーム以上を使ってしまうとクローンくんたちが可哀想だからしないが……。


これで出せる“最大”でも、見せてあげようか。




「マジカル☆ノヴァ」







◇◆◇◆◇






「……ん? あぁ時間停止ですか。またあの方が……。あぁでも夫への気遣いは忘れていらっしゃらぬようで何より。」



場所は変わり、とある日本の山奥。地下奥深くに作られた極秘隔離施設の中で、一人の女性が“止まったはずの世界”を動いていた。


どうやら先ほどまで茶を嗜んでいたようで、地中でありながら心地よい日差しが流し込むそこ。誰もが思い描くような日本屋敷の中で、彼女はゆっくりと魔法を動かしていた。どうやらあらかじめ“時間停止”に対応した術式を組んでいたようで、一定以上停止した状態が続くと自然と起動する仕組みになっていたようである。



「それにしても……、また複製品。全く他国の方々はどんな頭をしていらっしゃるのやら。こんな倫理に反するものなど存在自体が許せませんし、何より“成功しない”ものを作って何になるのか。」



すでに構築式を組み終わったのだろう。軽くその式を宙に浮かべ、大きな画面を生み出す女性。


まるで巻物のように開かれたそこにはイスズがクローンたちの攻撃を欠伸しながら受けている様子が表示されており、どうやら外部の状況を映像として表す魔法の模様。こちらも時間耐性を得ているようで、停止した世界の中であっても、問題なく稼働していた。



「……あら、思ったより。」



クローン、いや複製品の方を見て少しだけ目を丸くする彼女。


これまでイスズのクローンは何体も生み出されていたが、それでもその完成度は一笑に付す様なレベル。どれだけ出力を上げようとも国を代表する最低レベルの魔法少女にしかならず、星を守る様な戦士は産まれることが無かった。


けれど今回のクローンは、少なくとも“変身前”のイスズと同程度。成功例として記憶しても問題の無いレベルに達していた。



「なるほど、『模倣』により無理矢理出力を上げているのですね。しかしそれでも生身のいすゞさんに何とか歯向かえる程度。まぁ確かに数を合わせれば戦力にはなるのでしょうが……。わざわざ作る必要はないですね。」



模造品の評価を終わらせ、茶を静かに啜る彼女。


狂人でありながら類稀なる頭脳を持つ彼女からすれば、幾つも粗が見える劣悪品。そもそも彼女から見てもイスズという規格外を生み出すのは不可能と断じているが故に、『それを求める』こと自体が愚かでしかない。


というかそもそもイスズは日本の国民、もっと言えば夫の娘にして隣人なので、そのクローンを他国が勝手に作っている時点でもう超ギルティである。



「いすゞさんが処理なさるでしょうから自身がなにかする必要はないでしょうが……。一応専用の解除魔法でも作っておきましょうか。無理な調整で寿命も削られているでしょうし、どうせいすゞさんが頼み込んでくるのは目に見えています。」



そう言いながら手を動かし、宙に浮かせた和紙に何かを書き込んでいく彼女。


知識ある者が見えればそのオーパーツを超えた何かとしか言いようがない絶技に泡を吹くような、途轍もない構築式が刻まれていく。先ほど挙げたクローンたちを日本の新しい民、いや娘とする時に問題となる『過度な洗脳』や『肉体に負荷がかかる調整』、『極限まで削られた寿命問題』などを一気に解決する魔法の構築式。



「……あら。ここまで魔力が。」



隔離し別世界としたはずなのに、遠く離れた“彼女”ですら感じ取れるイスズの魔力。


その規格外さと、自分の生み出した魔法を軽く超えて来たことに対する強い興味。それまで大和撫子然としていた彼女の表情、いや口角が、いびつなほどに上がる。日本の妻を自称する狂人ではあるが、彼女も一人の研究者。改良に改良を重ね生み出したモノがまた追い越された。そこで心折れる者もいるだろうが、彼女はより闘志を燃やすタイプだった。



「ふふ。折角の機会なのです。より詳細な知見を取らせて頂きましょうか。……あぁ、『のゔぁ』をお使いに。可哀想に、碌な死に方は。あぁいや、生かすのでしたね。」



彼女が口にした、マジカル☆ノヴァ。


宇宙の生誕とも呼べるビックバンを引き起こせるその拳を持つ女が、変身してその出力を大幅に上げた後。全身から魔力を放射し全てを焼き払う必殺技。あまりにも高い破壊力なせいで隔離した空間の中で何度も宇宙が創造され、破壊されるものだ。


その地獄を超えたなにかに巻き込まれながら対象者も破壊と創成を何度も繰り返され、同時に滅びゆく宇宙の叫びすらも脳に叩き込まれる。過去、太陽系どころから銀河系すらも滅ぼせるレベルの侵略宇宙人が地球に飛来した際に使用した時、敵がその苦しみから自身の身体をひっくり返しながら自害するという末路を辿った必殺技である。



「一応壊れないよう軽い予防策は張っているようですが……。足りませんね、こちらから追加しておきましょう。」



〇侵略宇宙人 破壊大帝エンドカール


過去イスズちゃんがぶち殺した宇宙人の一人。戦闘力は魔法少女パワー換算で300億程度。イスズちゃんが変身どころか第二フォームを切らされた相手でもある。この銀河系以外の宇宙を幾つか滅ぼした極悪人で大帝の名に恥じぬ強さを持っていたのだが、勿論イスズちゃんの方が強かった。


マジカル☆ノヴァを喰らう直前自身に『不死』の属性を付与してしまったせいで、ノヴァの際に引き起こされる宇宙の創造と崩壊を情報を延々と脳と体に叩き込まれてしまい、発狂。イスズちゃんが『これ耐えきられたら第三フォームも切るかぁ』と思っていた所、自分で自分をひっくり返して自死した。


喉からこう延々と胃が出てきて、肉体がどんどん内側に巻き込まれていく様子は結構なものだったようで、イスズちゃんとしても忘れられない敵になっている。


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