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TS魔法少女イスズ JK6留  作者: サイリウム


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16/21

16:模擬戦たのちいね!



「作戦会議は終わったかなぁ♡ ワタシ、と~っても優しいからぁ、そっちが攻撃するまでぇ、動かないであ・げ・る♡」


「ミズキ、いやルミナちゃん!」


「言われずともッ!」



息をするように煽るメスガキだが、やっぱり二人にはあまり効かず淡々と準備し始める彼女達。


ミズキちゃんことルミナフィルが腕のバックルからカードを引き抜いて行使し、マシロちゃんことローゼブロッサムが呼吸を整えながら全身に魔力を送り込んでいく。


最近の魔法少女たちはルミナちゃんのカードみたいなアイテムに紐づけて魔法を使ったりする子が多いんだけど、ローゼちゃんは私みたいな『イメージで固める』旧タイプみたいで、呼吸に合わせて魔力を巡らすよう指導させて貰った。ちょっと慣れるのに手間はかかるけど、変にアイテムに頼らないからイスズちゃんとしてはこっちの方が強く成れると思うんだよね~。



(絶対に必要な呼吸をルーティンにして身体強化、うんうん。教えたことちゃんと出来てる。)



まだ荒は見えるし、変身というバフを掛けてからじゃないと出来ないようだが、それでも1年目と考えれば十分だ。要求レベルはまだまだ先だが、ちょっと前まで身体強化の“し”すら知らなかったことを考えると上出来だと言えるだろう。


対して対戦相手のメスガキ。自然体で腰を軽く振るダンスをしながら、楽しそうに後輩たちの様子を眺めている。まぁアイツの場合、工程を省略ですっ飛ばして結果でだけ手に入れられるから準備もクソもないんだけど……。すごく気に障る踊りだなアレ。流石メスガキ、煽るために文字通り命を張ってるだけある。


後で消し飛ばしてあげないと……!



「行きます!」



そうこうしている間に。二人の準備が終了。礼代わりの声をあげながら、ルミナちゃんが行動を始める。


魔力の効率化と、構築式に少し手を出したおかげかかなり向上した速度でメスガキに近づいて行くが……。



「ざ~こ♡ 当たるわけないじゃん♡ はいお返し♡」


「ッ!」



即座に回避を『省略』し、ルミナちゃんの後ろに回り込むメスガキ。そしてその首に向かって叩き込まれようとする手刀。


けれど即座にルミナちゃんの身体が光に包まれ、幻影と化すことで回避する。あの大幹部戦でも見せた彼女の魔法の十八番だ。しかし……、その回避した先にも『省略』したメスガキが出現する。


メスガキにとって『それが可能なことであれば』全て途中の過程を省略することが可能。確かに値が大きければ大きいほど消費魔力は増えるが、視界の範囲内での移動など今の彼女にとっても負荷ですらない。つまりどこにでも瞬間移動が可能ってわけだ。


だが彼女達2人にとっても、『省略』の効果は、想定済み。



「ローゼッ!」



彼女が叫んだ瞬間、ルミナフィルが隠し持っていた種が一気に発芽しメスガキとの間に出現する大木。


即座にメスガキによって両断されるが、その稼いだ一瞬によって『準備』が完了する。瞬きの後にメスガキを中心とした半径10mの地面が一斉に隆起し、突如として生成される雑木林。


たぶんメスガキも気づいてて見逃したのだろうが、突撃を敢行したルミナちゃん。移動中にしっかり種をポイポイしてたんだよねぇ。うんうん、良く出来ました。撒き方がちょっと歪で均等に木が生えているわけじゃないけど、その辺りはローゼちゃんが操作可能。開けた校庭が一気に障害物が多い立地に早変わりだ。


そしてそんな場所、木々という足場が大量にある場は、スピードとテクニックに長けたルミナちゃんの独壇場。



「むふ~♡ スッカスカの頭でよく考えたんだねぇ♡ えらいえら~い♡ でも有利な戦場はぁ、書き換えるのが常道なんだよぉ♡」



即座に両手に火を生み出し、ぽんぽんと投げ込んでいくメスガキ。


この前二人が敗戦した、あのマとかいう大幹部戦のことを考えての属性選択だろう。私の知る彼女ならばこんな木程度視界を遮る障害物にすらならないし、やろうと思えば瞬きの間に全消滅も可能だ。うんうん、やっぱこいつ育成者として優秀だな。メスガキだから煽らないと死ぬけど、それさえ除けば魔法少女の教官やっててもおかしくないよねぇ。


っと。前回はただ燃やされるだけで終わったけど、どう対処するかな?



「よい、しょぉ!!!」



気合を入れるためか、大きな声で叫びながら木々を操作するローゼちゃん。おそらくルミナちゃんに持たせた気の種は、火に強い樫系のものだったのだろう。以前よりも燃え尽きる時間が遅くなっており、その時間を使って周囲の木々が延焼部分を囲い、一気に無酸素状態に落とし込んでいる。そうそう、火は酸素がないと燃えないからねぇ。


魔法的な火は対象がある限り燃え続けるとか、幾ら走り回って攻撃が飛んでこないようにしてると言っても声出しちゃったら居場所丸わかりじゃんという突っ込みどころこそあれ、十分に評価できる成長だろうね。


どうやらメスガキも同じ意見なのか、ちょっと口角が優しい感じに上がってるし。



「……うん、いいね。でもぉ♡ 燃やす方が早いよぉ♡」



一瞬だけ素を出しながらも、止まらず火を放ち続ける彼女。確かにローゼだけなら一瞬にして焼野原だろうが……、この場にはまだもう一人いる。向上した速度をもって校庭中を走り回り、今後の為の布石を打ち終わった彼女が、メスガキの真後ろで、カードを引く。



「あはぁ、バレバレ♡ ざーこざ……。へぇ。」



真後ろに現れたルミナちゃんに結構な威力の廻し蹴りを叩き込むメスガキだったが、チリっという何か掠った後を最後に、すべてが幻影へと移り変わる。そして次の瞬間メスガキの周囲に現れる、無数のルミナちゃん。そのすべての動きが同期しているが故に分裂させた幻影であることは解るが、相手の一瞬の隙を産むのには悪く無い手。


そしてその隙を逃さぬよう、ローゼが動く。


瞬時に成長する木々たち、一気にメスガキを木々が覆い囲み、地面には大量の蔦系の植物が。相方であるからこそルミナを信じたローゼが、二人を木の檻の中に閉じ込める。しかも随時成長させた木々で外縁を埋め続けているあたり、内側から破壊されようが何が何でも閉じ込める、という強い意志を感じられるね。



(視点移動の魔法は教えたから、おそらくローゼちゃんの視界はあの檻の中に。そのおかげで完全にルミナちゃん有利な地形を作り出せるってわけか。……出来たらローゼちゃんも一緒に入り込んで2対1の接近戦をしてほしかったんだけど、それはまた今度の課題かな?)



そう考えながら私も木の檻の中を見通すと、既に始まっている2人の戦闘。いつも通り大量に煽りながら遊んでいるメスガキと、メスガキに比べれば確かに私なんて雑魚ですと理解しているからこそ一切動じていないルミナちゃん。魔法の効率化により幻影の数を増やせるようになったからこそ、それを回避や陽動に吹かっているのだが……



「これってぇ♡ ワンパターンしかないのぉ♡ 単純すぎてぇ、すぐ見分けられるって解んないの~♡」


「わかって、ますっ!」



そう言いながら、ローゼの足場の補助を受けて攻撃を続ける彼女。


ルミナちゃんとしても、今の自分では単一の行動しか出来ない幻影に思うところはあるのだろう。もうちょっと構築に時間かけるか、練習して無理矢理できるようにするか、まぁ時間をかけないとどうしようもない部分だから仕方ないんだけど、私達が彼女たちに求めてるのって基本上だからねぇ。



「あ、あとぉ♡ ……お外でボーっとしてたら、すぐに狩るよ?」


「おふぁッ!?」



一瞬だけ『省略』して木の檻を破壊することで、一気にローゼちゃんの眼の前に移動するメスガキ。彼女にしてはかなり軽く弱めの蹴りをお見舞いするが、避けきれず腹部に直撃を貰うローゼ。視界を檻の中に飛ばしていたからこそ反応が遅れた、って感じかな?


そんなことを考えていると、軽く指を振るメスガキ。すると瞬時に木の檻どころかローゼちゃんがせっせと育てていた木々すべてが刈り取られ、私の後ろに積み上げられている。これで一気に戦場は元通り、ってことだろう。……それはそれとしてこの木、いいな。見てるだけだとちょっとヒマだし、これでログハウスでも作るか?



「うんうんザコにしてはとぉ~っても頑張ってる♡ 足りない頭でよく考えたんだねぇ♡ でもでも~、イビルちゃんと戦うには色々足りないよねぇ~♡ もう合格あげてもいいけど、最後にもうちょ~っとだけ、頑張れるかなぁ~♡」



ん? あぁ必殺技のぶつけ合いするの? いいねいいね!


でもあと3秒だけ待ってくれない? もうちょっとでログハウス出来る……、出来た! もういいよ~!







 ◇◆◇◆◇







場所は変わり、イスズたちがいる日本とはまた別の国。


自分たちが模擬戦している間に急に家が建ち、何故か『もう少しで建て終わるから待って』という謎の中断をイスズから受けたローゼとルミナが混乱していたころ。


イスズ対策の為か、何重にも科学的、魔法的防諜対策が取られた部屋に何人かの者たちが集まっていた。



「して、調整体はどうなっている?」


「少々不安定ではありますが、十分“戦闘”には耐えうるかと。こちらをご覧ください、長官。」



白衣を着た女がそう言いながら男に資料を手渡すと、何度か紙が捲られる音が響き、感心したような声が響く。


添付された写真には巨大なタンクに浮かぶ人型が一つ。よくよくのぞき込んでみれば、何処かイスズに似通った顔を持つ少女が、その中に浮かんでいた。



「我々はかの存在のDNAデータを入手することに成功しましたが、『第二のイスズ』を生み出すことには失敗し続けています。確かに遺伝子だけを見れば全く同一の存在を生み出すことには成功しましたが……『一般的な魔法少女』程度の実力しか伴いませんでした。」



淡々と説明を続けていく白衣の女。


以前本人が考えていたように、秘密裏にではあるが世界中で『第二のイスズ』を生み出そうとする実験が行われていた。なにせこの世界における新たな秩序であり、日本を一気に国際社会のトップまで伸し上げた危険存在である。ちょっと頭がアレで暴走する時もあるが、『飼い熟せる前提』で作れば、何の問題もなかった。


まぁイスズ本人からすれば知らないところで自分のクローン作られるとか気味が悪いし、普通に倫理的にアウトなので9割以上が研究員諸共消し飛ばされたり、地形を書き換えられたり、国家丸ごと一月ひっくり返されたりとそれ相応の“修正”が為されていた。


しかし人の悪意と『最強を手中に収める』という耐えがたい欲望は未だ人を動かし続けていたのだ。この場にいる彼らもその一つであり、国家に所属しながらもその指図を受けず、隠れて研究を続けている。



「多くの者たちはここで折れるか、もしくは粛清されましたが、我々は違います。非科学的ではありますが、そもそも魔法はまだ完全に究明されたとは言い難い存在。故に……」


「魂、か?」


「その通りです長官。」



同じ肉体を幾つ用意しても同様の存在を生み出せないのであれば、非科学的であっても“魂”の存在を信じるしかない。つまり第二のイスズを作るには本人から魂を抜き出して新しい体に貼り付けるか、未だ欠片も理解できていない魂について研究し、イスズのそれをコピーする必要があると、彼らは結論付けたのだ。


まぁ本人から魂を抜き出そうとすれば即座にバレるし、即座に消し飛ばされる。かといって魂について研究しようにもあまりにも非科学的で、研究のしようがない。



「そのため、とある魔法。我ら共和国に所属していた一人の魔法少女が得意とする魔法、『コピー』に着目致しました。どれだけ未知であろうとも、切り分け解る範囲から解き明かしていけばいいのです。」



犠牲はその分出ましたが、と付け加えながらも、一切表情を変えずに言葉を続けていく女。


やろうとしたことは簡単で、イスズのDNAデータに『コピー』持ちの魔法少女のDNAを混ぜ合わせ、良い感じのクローンとして作り直す、というものである。


イスズのクローニングにより『個体ごとに得意魔法が違う』という研究結果が出ていたため、当初はコピー持ちの魔法少女にイスズの細胞を埋め込むという改造手術によって強化する方針だったのだが……。培養したイスズの細胞が強すぎたのか、データ上ただの人間でしかないソレが、何故か彼女の肉体を浸食。水爆十数発分の魔力が一気に彼女の体の中に生成され、暴発。研究所どころか周囲一帯に巨大なクレーターを生み出している。



「多少事故はありましたが、そのおかげで幾つかの知見を得られました。まだ完全とは言いませんが、後天的に得意魔法を指定することが可能になり……。本体の能力をコピーできる存在。『第二のイスズ』が完成したのです。」


「ふむ……。ここの自我がある、と書かれているが?」


「ご安心ください。国家、いえ長官への深い忠心を植え込んであります。お望みでしたら恋愛感情なども可能ですが。」


「いらん。だが、これが量産されれば……。」


「えぇ。この中華のみならず、世界が長官のものに成るでしょう。そう遠くないうちに、です。」



深い笑みを浮かべる男に、何でもないように淡々と事実を口にする女。


確かにまだ不安定な精神の改善、無理な遺伝子操作による寿命の問題、そもそもの作成成功率の低さから沸騰するコストなどの問題があるが、既に成功例が存在し、改善点が見えている。今回の実用試験で更に問題点を洗い出せば、少なくとも数年以内により完璧な存在を生み出すことが出来るだろうと、彼女は考えていた。



「世界、か。……まぁよい。期日は追って知らせる。それまでに万全の状態に整えておくがいい。」


「畏まりました。」


「せっかくだ。盛大な場を整えてやろう、かの者たちに通信を繋げ。」



ゆっくりとだが確実に。


全てを屠らんとする魔の手が、脈動し始めていた。







〇ログハウス


メスガキとしては戦闘の邪魔と言うか、消し飛ばれたという前提が解りやすいようイスズの後ろに纏めておいたのだが、量が量だったのでふざけたイスズにより結構大き目のログハウスが秒で建築された。内装も無駄に凝った木の優しいお家。必殺技の打ち合いの後に無事合格を貰った2人と、何故か消し飛ばされて復活中のメスガキと一緒に反省会を行った模様。


なお校庭の真ん中に立てた普通の違法建築物なので田中に怒られ、撤去された。



〇イスズちゃんクローン


実は数十人レベルで本体に保護され、名前と顔を変えて日本に住んだりしている。お薬で成長を促されたせいか個体によってはイスズちゃんよりも年上な見た目の奴がいるが、大体10歳未満。


存在自体が厄ネタだし、色んな国家を吹き飛ばせるヤバい存在なのだが「そんなのイスズちゃん一人で出来るよ? 物理で!」という存在がいるため日本によって国家ぐるみで保護&秘匿中。たまにイスズが様子を見に行ったりしているが、遺伝子的に同一である以外はあまり関係はない。


ただクローンたちからすれば「本人嫌がるだろうけど、イスズちゃんの細胞から生まれたのなら実質私達娘だよね」という感じらしく、たまにママ呼びしてキレられている。色々と大変だが何かと楽しく過ごしており、この前本体に『彼氏できました!』と幸せそうに報告して来た子がいたそうな。勿論イスズは発狂しかけた。シ、シアワセソウデナニヨリ……!



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