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TS魔法少女イスズ JK6留  作者: サイリウム


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14/21

14:暗躍できない敵


場所は代わり、日本某所。


とある山の地下深くに建設された基地内では、悪の存在たちが集まっていた。



「まさかあの悪魔帝国が一夜にして壊滅するとは……。」


「やはりあのマジカル☆イスズちゃんとやらは侮れぬ。」


「それはそれとして正式名称で呼ぶ必要がないのでは?」



真っ暗闇の中で蝋燭の明かりを頼りに、言葉を交わす者たち。その全員が目元以外を隠した白い被り物をしており、胸に輝く金の装飾から何かしらの宗教集団であることが推察された。


そう、この者たちこそ世界中で勢力を拡大し始めている『邪神教団』の幹部たちである。


イスズちゃんという絶対的な安全がありながらも、やはり魔物や秘密結社に怪獣という脅威は人類の心に闇を落してしまっている。いくら彼女でも永遠にフルタイムで地球を守り続けることは不可能なため、どうしても被害が出てしまうのだ。これらは不安や恐怖という感情は精神の弱体化に繋がり、そこから抜け出すために人は新たな拠り所を探し始めるのだが……。


その弱みに付け込み、自分たちの信じる邪神を信仰させようとする者たちが、彼らだった。



「確かに、もうイスズでよいな。ちゃん付けはちょっとアレだし。」


「然り然り。」


「既に数十万の信者が世界中にいるのだ。悪魔帝国の様にならぬためにも、我らが神には勿論、信者たちの前での振る舞いは強く律しなければならん。……しかし我らだけしかいないこの場では、少し砕けても良かろう。」



彼らが会話に上げる悪魔帝国、イスズちゃんによって秒で消し飛ばされたザコ組織の様に思えるが、実はかなり強力な秘密結社の一つだった。


魔法少女相手に所属怪人が敗戦こそすれど、幹部級の勝率は上々。着々と力を高め各地に数百の基地を生み出しながら、地方ながら政治にも介入するその手腕。悪魔と言うだけあって、人の感情に付け込み操作する術は確かだったのだ。さらに現代科学を軽視せず、外からどんどんと有用な技術を集めていくその姿勢。


『魔法少女の宿命である18を超えてから急激に魔力が減少する』ことから『イスズちゃんも徐々に弱体化しているのでは?』という都合のいい幻想に踊らされていなければ、もうちょっと寿命は延びただろう。


たしかにイスズちゃんがいなければよりその力を高め、日本のみならず世界にとって無視できない脅威となっていたはずだった。しかしまぁ、イスズちゃんの逆鱗ともいえる魔法少女の拉致監禁からの改造手術をやらかしたのだ、消される以外の選択肢は無かったんですけどね。



「だな、やはり怪しまれてはいかん。何でもないただの新興宗教として振舞わねば。」


「我らが神にはより多くの信仰を求めていらっしゃる。確かに今はあの忌々しきイスズに叶わぬかもしれん。」


「しかし完全なる復活を遂げられれば、あの方は真に神になられるのだ。この星を消し飛ばし、広大な宇宙に神の御威光と滅びを届ける。この世が無に染まるまで、辛抱せねばな。」



そう話をしながら、未だ潜伏を続ける方針に同意する幹部たち。


彼らが神として崇める邪神は、所謂信仰力をパワーとするタイプの存在である。それが真に神であるかどうかは不明ではあったが、信者の数が大きく成れば成る程強くなるのだ。彼らとしては、勝ち切る確証が得られるまではことを起こすつもりはなかった。


何せこの不安多き時代では、多くの人が助けを求めている。この日本では推し活という存在からちょっと上手くいっていないが、彼らが信じる邪神を上手く現地の神に置き換え布教する彼らの策は、かなりうまく嵌っていた。なにせ既存の宗教と違い、『目に見える確実な利益』を用意できるのが彼らである。


このまま焦らずゆっくりとことを進めれば、完全復活の日も近いだろうという魂胆であった。



「では自身は、順調とはいえぬが変わらず日本での活動を続けよう。」


「何かあればすぐに頼ってくれ、ヨーロッパ方面では順調なのだ、幾らでも人を出そう。」


「アメリカは少しきな臭くてな、人は出せぬが金はいけるだろう。安心してくれ。」


「じゃあイスズちゃんが新しい神様になるってことを大々的にアピールしてあげるね。」


「うむ、では此度の定期幹部会は以上に……。」



リーダー格の男がそう言いながら場を閉めようとするが、全員が瞬時に抱く違和感。





「「「な、何故貴様がここにッ!?」」」


「およ? バレちゃったか。」



どこからか取り出していたフルーツパフェを口に突っ込みながら、そういうイスズちゃん。実は最初から何食わぬ顔でこの幹部会議に参加していたのだが、結局誰も気が付かなかったので最後にふざけて声を出したのである。


あ、もうこの時点で詰みなので皆さん辞世の句を詠むなら今ですよ?



「え、えぇい! 者ども! であえであえ! 未だ隠れているつもりだったが、見つかってしまったのであれば話が早い! この場で貴様の首を取れば全て丸く収まるというものよッ!」


「あ、外の護衛全員消してるからもういないよ?」


「「「え」」」



ぱっとイスズが指さした方向を見てみれば、この会議室のドアが急に開き、そこに続く廊下が顔を見せる。


そして向こう側から倒れきたのは、全身を雑巾の様に絞られた上に纏められてしまった可哀想な怪人たち。廊下に一切の戦闘の跡がないことから、一切抵抗できずに死んでしまったのだろう。真っ赤な血の海だけが、彼らが少し前まで生きていたことを教えてくれる。



「くッ! ここまでか! だが我らは所詮大いなる神の下僕にすぎぬ! ここで敗れようとも第二第三の我らが神の御威光を示すために……」


「あ、神ってこれ? 珍しかったから生首持ってきたけど。」



「「「か、かみぃいぃぃ!!?!?!?!?!?」」」



ころんと可愛らしく転がされる神の首に、絶叫する幹部たち。


そう。イスズちゃんがこの会議に参加する前に『邪神教団』の構成員たちを皆殺しにし、基地を全て破壊したのだが、その際にたまたま見つけたので刈り取って来た神である。


なお神にしてはあまりにも弱かったので、哀れに思ったイスズちゃんが魔力を流し込んであげたため、『フハハハハ! その行いに後悔すると良い! この過去最大の力をもって貴様を滅ぼしてやろう!』とその邪神は叫んでいたのだが……、頭だけ残して秒も経たずに消し飛ばされている。


ま、邪神如きがイスズちゃんに勝てるわけないよね☆



「はーい、じゃあみんな大人しく死にましょうねぇ。でも可哀想だから死ぬ前に神様にお祈り……、あはァ! その神様私が殺したんだった! あははは!!! おもしろーい!!!!! じゃ、死のっか。」








◇◆◇◆◇







「えーっと、埋め立ての魔法の構築式は……、こうか。ふぃぃ。今日も朝から大変だったよ。後は夜勤の子がやってくれるって話だから仮眠できるけど、そろそろまるっと一日休みたいかも~。」



そんなことを言いながら、ふわふわと空を飛び夜の街並みを眺める。


さっき潰した邪神教団だったけど、ちょっとアメリカちゃんの方で問題になってた組織でね? 日本の方ではあんま気にしなくていいかなぁってレベルだったんだけど『たちゅけてイスズちゃん♡』って言われたら、ねぇ? お上的にも恩を売っておきたかったらしいからパパっと終わらせたわけですよ。



「せっかくメスガキと西とで飲みに行こうとしてたのに。ま、同級生でのサシ飲みの方が旧交を温めるには良いだろうし、文句はないけどさぁ。」



今日予約してたとこ、和食系の良い所でね? 梅水晶と一緒にきゅっとしたかったんだけど……、ま、後輩が楽しく飲めてるならイスズちゃんは一人夜空で缶飲みで十分なんだけどね?


まぁ一応仕事中みたいなもんだから飲まないけど。



「ん~、にしても宗教か。組織は潰したけど、どう対処するのかねぇ。」



他国のことだからまぁあんま気にしなくていいのだが、こういう宗教系の問題はマジで取り扱いが難しい。


普通に国益を損なうような奴は取り締まって捕まえて行けばいい話なんだけど、どこの宗教でも『単に信仰先がそこにいるだけで何の問題も起こしてない』って人が一定するいるのよ。統治側としてはそんな人を捕まえたり取り締まるわけにはいかないし、そういうのに偽装して隠れる悪者がいるから見つけ出さないといけない。


今回の邪神教団は数十万単位ってレベルだから、色々後始末大変そうだよねぇ。



「私達って矢面に立って消し飛ばすのは出来るけど、そういう後始末はマジで無理だからなぁ。ほんと尊敬するよ。……そう言えば昔いたイスズちゃんのアレどうなったんだろ?」



ちょっと思い出す、昔のキツイ記憶。


確か始めて侵略宇宙人を消し飛ばした直後ぐらいだと思うんだけど、あまりにもイスズちゃんが強すぎたせいか私を神として崇めだしたよく解らん宗教が生まれ始めたんだよねぇ。まぁ勝手に祈られるくらいなら居心地悪いけど我慢すれば何とかなったし、放置してたんだけど……。


まぁちょっと問題起こし始めてね? 私のこと応援してるファンに対して信仰を強要したり、変なデモ起こしたり、ビルの上から飛び降りながら私を呼んで助けてもらおうとしたり、まぁ大変だったの。



「イスズちゃん伝家の宝刀『そんなことするなら他国に国籍移す』が聴いたおかげか下火になったって話だけど……。ま、今問題起こしてないならそれでいっか。」



私は私なりに、出来ることをすればいいのだ。


マシロちゃんミズキちゃん育てて、適当にやって来た宇宙人しばいて、他の魔法少女じゃ対処できない敵を倒しながら他の国のお手伝いもする。


ま、大変だけどやりがいは……、およ。電話だ。



「はいまじかるまじかる。イスズちゃんですよ。……ぉお~! 久しぶり! え、どしたんどしたん! 滅多にそっちから電話かけてこない……。あ? またー?」



繋いでみれば聞こえてくる懐かしい声。何年か上だけど調子乗ってたからしばいて舎弟にした先輩の声だ。


懐かしいなぁ、と思いながら話を聞いていたのが、ちょっと内容が内容で声が漏れ出てしまう。



「いや別にあっちのお家芸みたいのもんだからとやかくは言わないけどさぁ。折角最近安定し始めたのよ? なんでまたそんなことしてんのさ。あ? 暴走? またそれー?」



確かにこの日本も前世同様3月末に卒業するから、4月5月は穴になる時期だけどさぁ。そういうのもあってアメリカちゃんとの連携深めて、敵さんたちが変な気を起こさないよう見張っていきましょうねーって話だったじゃん。


いや暴走したから仕方ないって言われても最終的に何とかするの前線の子達でしょ? 確かにイスズちゃんも出るけど、経験値になりそうなら無視するし。そりゃサポートは出来るけど仕事増やすな、っていってんの! そっちも色々大変なのは知ってるけどぉ。



「で? 上はなんて言ってんの。わざわざ田中通さずに直接電話かけて来たってことは部署違うんでしょ? 昔のよしみで様子ぐらいは見といて……、放置ぃ? は? アイツら頭腐ったんか?」



おま、腐敗でもしようものなら全部諸共消し飛ばすし親類縁者同様に地獄に落すってイスズちゃん言ってるんだぞ? いや流石にそこまではしないけどさ、マジでそれぐらい強く『やめてよね♡』って言ってるのにまだそんなこと言ってんの?


本気で国籍移すよ、マジで。



「というか私だけじゃなく日本結婚の奴もいるでしょうが、なんかミスったら即座に心中しようとしてくるの飼ってるのにバカなことしないでよほんと……。で、どうすんの。“掃除”? あーはいはい。お願いだから現場巻き込まないでよね、ほんと。」



あちらの返答を聞きながら、ため息とともに通話を切る。


はぁ~。まーた面倒なことになりそ。



「ん? でもよくよく考えればマシロちゃんやミズキちゃんにいい経験積ませられるんじゃない? 大半は私が受け持つことになるけど、雑魚相手なら十分いけるっしょ。あはー、言い考えかも! ちょっとメスガキにでも相談して見よー。」





〇邪神ワルイノー


秒で死んだ邪神、神話の時代に実在したらしい“外宇宙”からやって来た神。なんか封印されていたが魔法少女の誕生によって少しだけ復活し、秘密結社『邪神教団』に完全復活までのサポートをさせていた。イスズちゃんの魔力を吸収したことで、魔法少女パワー換算で約500,000ほどの強さを得たが、ちょっと本気を出した未変身イスズちゃんに消し飛ばされた。


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