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魔王様観察日記 設定集  作者: ぺんぎん
魔王様観察日記(原型、日記バージョン)

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エルフ

 〇月×日

 エルフたちに追いかけられた。いつか仕返す。


 今日は森でエルフ達に会った。


 ちょっと話をしたら、いきなり怒り出した。カルシウムが足りないと思う。


 エルフたちは殺る気だった。


 魔王様に、エルフを殴っても良いか聞いたら、ダメだ、ということなので逃げた。


 逃げる最中、エルフが放った矢を躱したら、魔王様に当たった。魔王様は、痛い、と言っていた。


 痛いでは済まない威力だと思うが、さすが魔王様、頑丈だ。


 やり返せば良いのに、と思ったが、なにかお考えがあるのだろう。


 そんなことよりも、今日は素晴らしい出会いがあった。


 赤い果物との出会いだ。


 魔王様に聞いたところ、これはリンゴと言うらしい。


 これまで食べたなかで一番おいしい。具体的にいうと超うまい。


 毎日でも食べたいので、できるだけリンゴをとってきた。


 これが食べられるならずっと遭難していても良い。


 ――――――――――


「リンゴというのは、エルフの森にある果物ですわよね?」


「そうですね。エルフの森で許可なく採ってしまったのでしょう」


「この筆者は、おっさんと同じことしているな。リンゴを採ったから追いかけられたのか」


「親近感が湧くな。一緒に冒険したい」


「リンゴなら、エルフの森にいったとき食べました。おいしかったです」


 アリアはその時のことを思い出して、顔がとろんとしている。


「わたくしは残念ながら食べられませんでしたわ」


 ナキアは、アリアとは反対にちょっと悔しそうだ。


「迷宮都市なら、エルフがリンゴを売ってくれますよ」


「へぇ。あいつらが森から売りに来るなんて珍しいな」


 基本的にエルフは森から出ない。冒険者をしているエルフ等もいることはいるが、少数派だ。また、森にあるものだけで生活できるため、交易も必要ないのだ。


「なんでも、昔からの約束らしいですよ。どんな約束か聞いたのですけどね、暗い顔になって、聞かないでくれ、と言われました」


「……ほう、エルフの約束が今も守られているのか。これは興味深い。なぜならエルフというのは――」


 皆が黙った。エルミカは不思議そうに聞いた。


「……続けて良いのか?」


「どうぞ」


「……うむ。内容にもよるが、エルフは、約束をする場合、特殊な契約が結ばれる。そして、相手が約束を破棄する、もしくは、相手が亡くなれば、契約が無効になるのだ。エルフは長寿なので、そういう取り決めらしい。現在も約束が続いているとなれば、約束した相手が生きていることになる。スタロ殿、リンゴの販売はいつごろから始まっているのかね?」


「詳しくはわかりませんが、かなり昔ですね。少なくとも100年以上前です」


「……ふむ。ということは約束した相手は100歳以上だ。しかし、エルフ以外でそんな長寿の種族はいないな。これは調査せねばなるまい。スタロ殿、あとでその行商のエルフを紹介してほしいのだが」


「はい、分かりました」


「もういいか? エルフのトリビアはもうお腹いっぱいだよ」


「……む、これはすまん。どうも不思議なことがあると、饒舌になってしまう。それは私が――」


「魔女の俺としては、エルフの魔法を食らって『痛い』で済んでる魔王に興味があるんだけど」


「俺と同じで防御系スキルを持っているからじゃないか?」


 フェレスはダメなスキルも多いが、有用なスキルも多く所持している。その大半は身を守るためのスキルが多い。


「フェレスさんは、防御系スキルを持っているのですか?」


 リアは、興味津々といった感じでフェレスに尋ねた。


「おう、『鉄壁』とか『耐熱』とか、他にも色々な」


 フェレスはポージングしながら答える。巨体であるフェレスにアリアはちょっと怯え気味だ。


「フェレス様、そんな近くでポーズをとったら、リア様が怖がりますよ」


「む? これはすまん」


 フェレスは素直に謝り、ポーズをやめて、小さく見えるように猫背で椅子に座った。


「いえ! 大丈夫です! でも、スキルを色々もっているのはすごいですね!」


「チビスケ、そのおっさん、本気で守りに入ったらかなりしぶといぞ。俺の魔法が、熱い、程度なんて、すげぇムカツク」


 ムカツクとは言いながら、ルゼはちょっとうれしそうにしている。本気の魔法を使って死なない相手はルゼにとって貴重なのだ。


「ふえー。冒険王の名は伊達じゃないですね! あ、チビじゃないですー」


「フェレス様! 是非、お手合わせを!」


 ナキアが聖剣の柄に手をかけつつ、立ち上がった。


「いやだ。聖剣で切られたらどんな防御スキルでも死ぬ。大体、それ、人に使っちゃだめだろ」


「チッ」


「ナキア様、淑女が舌打ちしてはいけませんよ」


「あら、わたくしとしたことが」


 口元に手を添えて、おほほほ、と笑いながら椅子に座った。


「勇者の嬢ちゃんは聖剣を使いたくて仕方がない感じじゃのう。平和な時代では、聖剣を抜く機会もほとんどないからの。最後に聖剣使ったのはいつじゃ?」


「この間の古くなった屋敷を解体するのに聖剣を使いましたわね。一撃でしたわ」


 なんとなく聖剣が泣いている気がして、ナキア以外は悲しい気持ちになった。


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