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釣りガールの異世界スローライフ ~釣りスキルで村を大きくします~  作者: いかや☆きいろ
最終章 釣りガール、異世界を釣る。

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釣りガール、デートでもやはり釣りをする

 カイル君が拠点を置く宿屋にナミエのブックマークで飛ぶ。

 ナミエは久し振りの休暇に私とデート出来ると喜んでいるが、カイル君もいるしたぶん釣りに行くのでいつも通りだ。

 たまたま迷宮探索から帰還していたカイル君は私たちが宿を訪れてすぐに出てきた。

 そして一直線に私に飛びかかってきてキツく抱き締めてきた。


「会いたかった……」

「しばらく旅してたから……。ごめん」


 うん、幸せだあ。

 ナミエもいつもと違いニコニコしている。カイル君が私を離すとすかさず私を引き寄せ抱き締め、一言。


「私もお姉さまと婚約しましたわ!」

「えっ」


 カイル君はそれを聞いて呆然としている。当たり前か。

 私からも説明しよう。


「ごめんね、順序が逆になっちゃったけど、ナミエには物凄く苦労をかけてるから何か労れる方法が無いかと考えた結果なんだよ。カイル君との婚約を破棄するとかの話ではないからね」

「そ、そう。確かにナミエちゃんは凄く働いてるよね」


 しばらく噛みしめるように唸って考えをまとめたのか、カイル君は私たちの婚約も認めてくれた。

 念願のハーレムですわね、とナミエに言われるが別に念願ではないしハーレムのつもりも無い。カイリちゃんには振られたしね。


 久し振りにカイル君とナミエと遊べるのでゆっくり湖で釣りをすることに決めた。

 シャイニングトラウトの良い釣り場らしく、エサイルの首都にも近いので釣り場テレポートの拠点に据える。


 爽やかに晴れた空、地平線を作る草原、ざわざわと風に揺れる林、そして美しく空を映す湖はどこまでも透明だ。

 素晴らしい自然。


「ああ~っ、たまには日の光を浴びないとね」

「私も久々のお日様ですわ」


 二人もこの場所が気に入ったようだ。改めて三人で婚約の確認をした。

 その後釣りもするのだが。


 今回はトラウト狙いと言うことで餌はスプーンと言うルアーにする。

 これが可愛らしいルアーでピンクやイエローの物があるし、大きさも他のルアーより小さい。女の子が釣りを始めるならニジマス釣りはお勧めだ。

 一番お勧めな釣りは……難易度が比較的に低いしどこでも海があれば釣れるアジのルアー釣り、アジングだろうか。

 一番簡単となるとポイントによる。釣れやすいポイントで適当に釣れるパターンで釣りをすれば簡単だ。

 野池でブルーギルを釣るのは簡単だが食べるならやっぱりアジだし。


 さて、トラウト釣りを始めよう。

 ニジマス釣りで有名なのはニジマスやブラウントラウトなどを養殖している池でお金を払って釣る管理釣り場の釣りだろう。

 この世界には管理釣り場は無いので私が経営してみても良いかも知れない。

 管理釣り場なら一瞬で釣れてくるニジマスも、野池ではポイントを探るところから始めないといけない。

 まあポイントを探りながら歩きつつ大自然を満喫するのが釣りの一つの魅力だ。広大な湖の周りをゆっくり三人で散歩する。


「はあ~、落ち着く」

「のんびり出来ますわね」

「釣りは釣れなくても自然を楽しめるから良いんだよね」

「お姉さまは釣りを選ばないばかりか釣れなくても良いんですか」


 そもそもの釣りの目的、魅力は自然を感じることなんだと思う。綺麗な湖畔の森を歩いたり海で潮風を感じるだけでも素晴らしい。


「これが、これこそが私の憧れる形のスローライフなんだよ」


 そう私が言うと、ナミエは「そうですか」と言って嬉しそうに笑った。

 私が夢を叶えたことに協力出来たことが嬉しくて笑ったのか、その憧れの時間を共有出来ていることが嬉しくて笑ったのかは分からない。

 ふと隣を見ると、カイル君も優しく微笑んでいた。

 なんだか嬉しくなってくるな。


 今回の人生がまたもや短く終わるとしても、この人生が幸せだったとだけは自信を持って言えるだろう。


 のんびり湖畔の林を歩き、木漏れ日を浴びながらまた湖に出る。

 インレットと呼ばれる湖に水が注ぎ込むポイントの川へ辿り着く。


「ここがS級ポイントかな」

「釣れるかな?」

「釣りますわ!」

「釣ろう!」


 再び私たちは釣りを始める。

 すぐに私の竿にアタリが出た。

 心が踊る瞬間だ。


「キマシタワーッ!」

「私のセリフですわ~っ!」

「大物だね!」


 竿をしならせるトラウトの強い引き。今回は身体強化もそこそこにあらゆるスキルを切って普通の釣りをしている。

 だいたい四十センチくらいだろうか、強い引きを楽しむ。

 しばらく格闘して魚を引き寄せ、魚が水を割った水飛沫に声を上げる。


「久し振りのタモさんの出番ですわね!」

「お願い~」

「おお~、良い形だね」


 釣れ上がった魚を三人で見る。

 パクパクと鰓を動かし口を開き、時々バタバタ跳ねる魚は確かに生きている。

 このままにしておくのもなんなのでクーラーに仕舞った。

 さて、もう少し釣ろうかな。





 三人ともが何匹か釣り上げたところで町に帰ることにした。

 その後は夜まで買い物をして回り、三人で自宅にテレポートしてカイリちゃんが作ったご馳走を食べた。


 今日は本当に楽しかったな。






 釣りデートも私は悪くないと思うんですが。

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