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釣りガールの異世界スローライフ ~釣りスキルで村を大きくします~  作者: いかや☆きいろ
第二章 釣りガール、王国を釣る。

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釣りガール、大漁に喜ぶ

 岩場に陸側から辿り着いた。早速餌を出して釣りを始めようとしたらナミエが近付いて来ない。ゴカイか。


「ナミエ、魚餌あるよ」

「本当ですか? さすおねですわっ!」


 また謎の言葉を……この前言ってた奴だけど意味は聞かない。

 さて、私も魚餌を使ってみるか、と、取り出した魔サバを捌いて三枚に下ろして小さく縦に切り短冊をたくさん作る。


「はい、カイル君」

「包丁使うの上手いんだね。凄い……女の子らしいよね!」

「い、いやあ、普通?」


 料理って男女関係ないと思うんだがなあ。昔から板前は男だったし。まあそれはそれ、釣りだ。


「お姉さま相手にフラグを立てるには魚を釣るしかありませんわ……」

「なるほど……」


 なんか二人が仲良さそうだ。これは大漁が見込めるな。やっぱり釣りもチームワークは大事だよね。


「お、早速!」

「フィ~ッシュ!」

「こっちもきましたわー!!」


 三人同時ヒットとは。これはいつもより魚影が濃いのか。

 魚がたくさんいる状態を魚影が濃いと言うのは水面に映る魚の数が増えるからだが、実際には魚影の濃さは魚が釣れあがるスピードや量で計るのが普通だろう。現在の魚影はかなり濃いと思われる。潮目が良かったかちょうど良い潮時だったのか。

 釣れあがった魚はゴブリンオコゼ、コボルトハゼ、マタンゴカサゴだ。カイル君の釣ったゴブリンオコゼに毒針があったので釣具召喚でハサミを出して切っておく。


「ありがとう」

「お姉さま、クーラー出して下さいな」

「はいよ」


 クーラーボックスを出してすぐに私は次を釣りにかかる。クーラーボックスは召喚すると誰でも使えるようになるが、盗られても召喚し直せば戻ってくる。

 さて、すぐに次がかかる。これは大漁だな。


「おっし、こっちも釣れた」

「こっちもですわ!」

「よし、三匹目」

「えっ、速いですわね!」


 スキル一荷釣りで一度に五本以上針を出せるようになった。サビキ仕掛けもスキルで作れるから召喚できなかったようだ。

 さあ、どんどん釣るぞ。


「シズちゃん釣れてる~?」

「あ、マンサ様!」


 マンサ様とニッケル様、お爺ちゃんが私の釣りを見にきたらしい。マンサ様は次々に魔物魚が釣れてくるのを見て目を丸くされている。可愛らしい人だ。

 試しに二人の竿にも針を増やしてみたら出来たので三人で数も分からなくなるほど釣った。


「主催者が賞を総取りとかどうなの?」

「あ、私は辞退しても良いですけど」

「僕も釣りが楽しいから良いです」

「かっこつけマンですわね! 私も賞よりお姉さまに褒められたいですわっ!」


 かっこつけマンって何? いや、今更ナミエの言葉を気にしても仕方がないか。

 その時ニッケル様がカイル君に気付いた。


「君は村の子じゃないね? どこから来たの?」

「エサイルからです」

「エサイル!」


 カイル君の言葉に驚いたのはマンサ様だった。


「そう言えばカイル君は勇者だそうですよ」

「勇者!?」


 また驚かせてしまった。一々マンサ様の反応が可愛いので楽しくなってきた。


「エサイル国は一応同盟国だけどね」

「エサイルまで蒲鉾売りに行ってないんだけどなあ」

「うちの国の商人スキルの人がグラルまで来て買い込んだらしいですよ」


 カイル君の説明にマンサ様は「ああ、あいつか……」と、かなり遠くを見つめながら呟いた。何か因縁があるらしくかなり嫌そうな顔だ。


「またこちらまで買いに来るらしいですよ」

「げえっ」


 マンサ様が可愛い顔に似合わないセリフを呟く。どうやら余程苦手な人のようだ。なるべく触れないでおいてあげよう。


「オナガル伯は元気にしてるの……?」

「あれは殺しても死にそうにないですよ」

「確かにね」


 カイル君もマンサ様も二人とも随分ひどい言い草である。どうやら余程の曲者のようだ。


「どうせお姉さまは釣りを邪魔されなければどうでも良いんでしょ」

「失礼だなー」


 ……事実だが少し悲しくなってきた。釣るが。


「さて、じゃあちょっと早いですけど会場に戻りましょうか」

「そーね」

「あ、じゃあ私たちも帰ります」


 ニッケル様とマンサ様が帰るようなので私たちもそれを送る事にした。ちなみに私たちの記録は参考記録として私たちには別途報償が渡される事になった。

 多分普通に参加したら何人かの心を折ってしまうので仕方がない処置である。

 しかし今日は大漁だった。魚種も色々なので調理したり売りに行ったり、色々と捗るだろう。


「んふふ、やっぱり数釣りも楽しいよね」

「確かにお宝の山と思えばあれだけ手に入ったら浮かれてしまいますね」

「僕も楽しかったよ。色々有り難う」


 今日は本当に楽しかった。たくさんの友達と釣りをするのは実に良いレクリエーションだと思う。ただあんまり釣りを理解してもらえないのは悲しい。海が遠い土地も池や湖や川で釣りができるし、海釣りしかした事が無い人は川の釣りにも憧れる物だし、前世なら釣った魚の写真をネットに乗せたりすればちょっとした自慢にもなる。とても楽しい趣味なのだ。

 ああ、もう次の釣りが楽しみだよ。






 炒め物にコーヒーと醤油を少し足すとすごく美味しいですよ。

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