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死神といっしょ!  作者: 是音
113/116

第113話 死神と放課後

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


(※本編の前にお読みくださいませ♪)


是音:【皆様、いつも『死神といっしょ!』を御愛読頂き、有難うございます】


ラビット:【ホホホホ、有難うございます♪】


是音:【少し長めの前書きになりますので、このようなスペースをとらせて頂きました】


ラビット:【恐縮でございます♪】


是音:【小説家になろうで、評価についての注意事項が少し変わりました!】


ラビット:【既にお知りの方もおられると思いますが♪】


是音:【二重評価について、小説家になろうでは禁止であるという事が近日、管理人様より明記されました。(小説評価基準Q&Aより)】


ラビット:【これは不正得点操作と誤認されるのを避ける為でございますね♪】


是音:【はい♪】


ラビット:【しかしどうして当作品で改めて報告したのですか?】


是音:【本作品でも一年間に何度かあった事ですので】


ラビット:【念を入れて、という事ですね♪】


是音:【はい。今までは曖昧でしたが、今後は規定違反扱いとなってしまい、何度も続く場合は管理人様へ報告しなければなりません】


ラビット:【た、大変ではないですか! ご注意下さいませ!】


是音:【大切な読者様ですから――】


ラビット:【我々も必死でございます♪】


是音:【さて、やっぱり長くなってしまいましたね(汗)】


ラビット:【そろそろ里原様をお呼びしましょう♪】


是音:【はい♪】


ラビット:【では本編へどうぞ♪】


是音:【………。(あ。準くん、学校で寝てる……)】




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「ふわぁ……」


 ん……。


 んぁ!?


 寝てない! 寝てないぞオレは!


 なんだか前書きでちょっと固い話があったみたいだ。うん、やっぱり楽しんでもらいたいからねっ。

 作者が優しく注意すっから(!?)そう重く考えず気楽に変わらず読んでもらえたら嬉しいな♪

 にしししっ。


 オレはボーッとそんなことを考えながら、頬杖をついて教室の時計と睨み合った。


 むむむ……。


〈キーンコーンカーンコーン〉


 よしっ、本日の授業終了っ。

 オレはいつものように素早く教科書類を片付け、帰り支度をする。


 それから机いっぱいに書かれたラクガキを消す。

 全部死神が一日で書いたものだ。


 それから三笠の席へ行って頭いっぱいに書かれたラクガキを消す。

 全部死神が一日で書いたものだ。


 それから爆睡する美香の席へ行って顔いっぱいに書かれたラクガキを少しだけ消す。

 全部死神が一日で書いたものだ。


 それから美香の机で一緒に爆睡する死神を起こした。


「死神、美香も。ホームルーム終わったぞ」


「………うう」

「………うぐぐ」


 無呼吸!?


「死ぬぞお前ら! 起きろー!」


「……!」

「……!」


「ぷはぁ〜っ」

「ぷはぁ〜っ」


「苦しかった〜」

「苦しかった〜」


 当たり前だ。

 その歳で無呼吸睡眠すんな。

 死神と美香は寝呆けながら、お互いの顔を見合った。


「まさか夢の中で美香ちゃんに首を絞められるとは思わなかったよ〜。ぐすん」


「え〜っ。私は死神ちゃんに首を絞められたわよ〜。ぐすん」


 どういう関係だ。

 ともかく、起きた黒ローブを机から下ろして帰ろう。


「あっ、ごめんね死神ちゃん! 私と由良ちゃん、ちょっと用事があるの」


「うん、わかったぜー!」


 用事を思い出した美香は跳ねるように椅子から立ち上がり、オレ達に手を振りながら教室を出ていった。

 さて、帰ろ。


「ダメだよ準くん!」


「へ?」


 死神が人差し指をピッと立ててオレを見上げる。


「今日の放課後は早苗ちゃんのトコへ行くんだよっ」


「ん、ああ。そうだったな」


 たしか、けったいなネーミングの映画を保健室で一緒に観るとかなんとか言ってたのを思い出した。


「あ、そうだ準くん」


「ん?」


「顔のラクガキすっごいね♪」


 ………。


「オレもかぁぁぁぁ!!」


――――――――


―――――


―――


「うぬー、やめてよ準くんー」


「やかましい。お前の所為だ」


 洗面所で顔いっぱいに書かれたラクガキを洗い落としたオレは、死神をちょうど良い高さまで浮かび上がらせ、ローブで顔を拭きながら廊下を歩いていた。


「もうっ、しょうがない子ねぇ。準くんは」


「なに母親っぽい雰囲気出してんだよ」


 どうでも良い話をしながらリノリウムの廊下を歩き、保健室に到着。


 死神は嬉しそうな顔で扉を開き、中へと入った。オレも後に続く。


「ただいま早苗ちゃーん!」


 貴様の自宅は保健室か。

 案の定、保健室の中ではこの部屋の主である高坂早苗先生が椅子に座っていた。


「おー! おかえり」


 だから自宅じゃねぇだろ。

 ひらひらと手を振る金髪保健教師。


 ………。


 ………。


「ただいま早苗♪ オレは先にご飯にしてく――」


〈スカカカァン!〉


 ………。


 三本の注射器がオレの頬をかすめ、背後の扉に突き刺さった。

 どうやら家じゃなかったみたいね。


 ………。


 ………。


「母さん、オレやっぱり先に風呂――」


〈スカカカカカァン!〉


 ………。


 背後の扉に刺さった注射器の数が、八本に増えた。

 次は十本飛ばすかも。

 穴だらけだぜ。


 高坂先生の目は超怖かった。


「私が、いつ、お前の、母親に、なった? ええ坊や?」


「ごめんなさい」


 そろそろやめないと、死ぬぜオレ。

 そして全く空気を読んでいない死神が、先生に飛び付いた。


「早苗お母さんだぜー!」


「おー、よしよし。せめてお姉さんにしてくれよな」


 ………。


 ………。


「……ケッ」


〈スカカカカカカカカカカカカカカカカカァン!!〉


「笑うトコかな? 里原くん♪」


 死ぬ!

 やっべぇ死ぬ!

 調子こきすぎた!


 命知らずな行動に自省したオレは両手を上げたままカニ歩きで壁沿いに移動し、真っ白なベッドに腰を下ろした。


 まったく、とか言いながら高坂先生はデスクの引き出しをごそごそと漁っている。

 オレの隣に座った死神も足をパタパタさせてそれを見ていた。


「どうしたの早苗ちゃん?」


「む、いやぁ。DVDとTVを接続するケーブルをなくしちゃったみたいだ」


「えー!」


「どうしようか。そうだ、死神は他の先生達には見えないんだよな?」


「そうだよー!」


「じゃあ職員室へ行ってパクッてきてくれないか」


 おい公務員。


「いいよー!」


 おいガキ。


 そして死神はオレが止める間もなくドヒュンという効果音と共に保健室を飛び出して行ってしまった。

 ちなみに死神はちゃんと職員室の場所を知っている。オレが奴のイタズラの所為で何度も呼び出しをくらっているからだ。

 結構笑い事じゃないよね。


 死神が出ていった後、保健室の中はオレと高坂先生だけになる。


「なぁ里原?」


 呼ばれて先生の方を向く。

 目は怖くて合わせられねぇ。


「お前、進路どうすんだ」


「へ?」


 ま、まさかこの人物から教師らしい事を言われるとは!


「え、あ。進路……ですか」


「うん。だってお前、もう卒業だろ?」

「オレは卒業したら働きますよ」


「そうなのか?」


 ん、と目を大きくする先生。驚いているらしい。


「この学校は大学付属だぞ。なのに働くのか?」


「はい」


 それは知ってる。だからここの生徒は特に受験シーズンでピリピリした様子は無かった。

 そしてオレは大学へ進学するつもりは無かった。


 そもそも高校だって義理の両親に学費を払ってもらっているのだ。大学へ行くくらいなら働いて負担を軽くしたい。

 というのはちょっと違うか。あの両親は金持ちだし。

 オレが嫌なだけだ。


「そかそか。里原は働くのか。そういえば両親は義理の親だと言っていたな。私も似たような境遇だったからわからんでもない」


「しかも食費がすげぇですから」


 言って、違いないと二人で笑った。


「ははははっ。うん、お前は私の好きなタイプだ♪」


「オレはヤです」


「なんだとテメー!」


 高坂先生はオレを殴ろうとして、その手を止めた。


「ん? お前、頬から少し血が出てるじゃないか」


 マジか。

 さっきの注射器か。

 冗談キツいぞ公務員。


「どれ……」


 先生はガラッ、と薬品棚を開けて薬箱を探しはじめた。

 薬品棚からはプンと消毒液の臭いが漂ってくる。


 ………。


 消毒液の臭い。


 ………。


 独特の――臭い。


 ………。


――――――――


 病院の――。


 オレの――。


 嫌いな――。


 なにかが、フラッシュバックしてくる。

 白い。なにか。


 ………。


 あと、黒い、なにか。


 ………。


 ………。


 黒い、ローブ?


 死……神?


 なんの関係が――


――――――――


「おーい里原?」


「どわっ!」


 先生の顔が間近にある事に気付いたオレはおもわず声をあげてしまった。


「どうしたんだよ。ぼーっとして。ほら、絆創膏貼り終えたぞ」


「え、あ、どうも」


 なに考えてたんだっけ?

 んー。


 まぁいいや。


 一人で難しい顔をしながら首を傾げていると、勢い良く保健室の扉が開いた。


「パクッてきたぜー!」


 早っ。

 部屋に飛び込んできた死神の手にはぶらりとコードが垂れ下がっていた。

 マジでパクッてきたらしい。


「おー! ナイスだ!」


 高坂先生は早速ケーブルを接続し、DVDを取り出す。

 死神は映画鑑賞in保健室では定位置にしている場所へ座った。

 高坂先生の足の上に。


「なにを見るんだったか?」


 そう問い掛けたオレに、高坂先生はニヤリと笑ってパッケージをオレの方へ投げてよこした。


 キャッチしてタイトルに目を落とす。


 ………。


《エイリアン VS ハムスター》


 ………。


 ………。


「エイリアンの勝ちだろぉぉ!!」


「おい里原、ハムスターなめんなよ!」

「そうだぞー!」


 しかも二時間の映画。

 この戦力差で二時間も争えるのか?


「始まるよ早苗ちゃん!」

「うむ!」


 食い入るように集中してるし。

 仕方なくオレも遠目で映画を鑑賞することにした。


『――時は20XX年。人類を恐怖に陥れたハムスターの反乱から四年。地球政府はあの大事件の経験を元に人工のエイリアン開発に力を注いでいた――』


――――――――


―――――


―――


 帰り道。

 オレは死神と二人で歩きながら、興奮さめやらぬ目を輝かせていた。


「………」

「………」


 《エイリアン VS ハムスター》。


 め、名作だった。

 タイトルで作品の価値を決めてしまっていたオレは、自分の愚かさを知った。


「う〜っ、すごかったねー」


 死神は拳を胸の前で握り締め、うんうんと頷く。


「高坂先生も感動してたな」


「うんっ。争っていたエイリアンとハムスターが人間の赤ちゃんを守るために列車を止めるシーンだよね」


 うむ。

 摩擦で燃えながら列車を正面から受け止めるシーンは涙を誘ったぜ。


――――――――


『結局、ハムスターは非情にはなれなかったか……!』


『キシャァァァァ!』


『所詮は人間の思念から生まれた………生命体……』


『………』


――――――――


 受け止めながらの会話シーンを思い出すと涙腺がゆるむ。

 ちなみに映画に出てきたハムスターは人間の悪の思念が集合して生まれたという、よくわからん存在でした。


「私、お腹すいたよー」


「映画の感動はどうした」


「エイリアンとハムスターは食べられないでしょ!」


 なにそれ。


「食べられないでしょ!」


「食べたら怖ぇよ」


「でしょ!」


 なにが〈でしょ!〉なんだ。


「お腹すいたー!」


「もうすぐマンションに着く」


「すいたー! すいたー!」


 ……うっせぇ。

 なんか別の事でも考えてろ。

 そう言おうとしたその時、オレ達の横を女の人が通り過ぎていった。


 死神はわめくのをやめて、その女の人をじっと目で追う。


「ね、ねぇ! 準くん、準くん!」


「あん?」


「今の女の人、あまり見かけない服を着てたねっ!」


 確かに。今の女性は黒い生地にフリルがついたドレスみたいな服を着て、なんだかフランス人形のような格好をしていた。


 えっと、あれはなんて言うんだっけ。テレビで聞いた事が……。


「んー。ゴスロリ……だったか」


「《ボスゴリ》!?」


 そりゃ強そうなガキ大将だな。

 死神はなぜか自分のローブの裾をつまんだり、背中のフードをぱたぱたさせたり、自分の金髪をいじったりしている。


「なにしてんだ?」


「んー? じゃあ私の格好って、なんて言うんだろーなー。って思って」


「《変質者スタイル》じゃねぇの?」


「……ぶっ飛ばすよ準くん」


 ケラケラ笑いながら言うオレに、死神は殺気をぶつけてきた。

 死神の格好はどう見たって死神スタイルだろ。

 一番最初なんて、ドクロの仮面付けてたし。

 大鎌とか頻繁に出してたし。


「んじゃあやっぱり《死神スタイル》なんじゃね? お前の両親も似たような格好してたし」


「もっと可愛い呼び名がいい!」


 無茶言うな!


「《ろしゅロリ》ファッションで決定!」


「ぶはぁ!」


 勝手に名前を付けやがった。

 黒ローブと金髪は《ろしゅロリ》……。


 ………。


 誰もやらねぇだろ!


「それでねぇ〜、ニット帽とホッペのペイントで《めあロリ》!」


 なんかどんどん考え始めてる……。

 オレの背中に乗って。


 ………。


 降りろよ。


「おっと!」


 何もないところで躓いちまった。


「大丈夫? 準くん」


「お、おう」


 んー?

 体力の低下かー?

 オレも歳だなぁ……。


 それとも、死神が重くなったのかねぇ。


「……準くん」


 ぞくっ。


「今、失礼な事考えてたでしょ」


「考えてません」


「早く帰ってごはんー!」


 ………。


 太るぞ。


「……準くん♪」


 ぞくっ。

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