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《勝利》の古具使い  作者: 桃姫
龍神編
42/103

42話:四方院

 龍神は、生徒会の面々を見回す。すると、「ほぉ」と声を洩らし、「自己紹介をしてくれんか?」と自己紹介を促した。それにより、紫苑が会長として最初に自己紹介をする。


「七峰紫苑、生徒会長です。《古具》は《神装の魔剣キルシュ・オートクレール》。真の姿は《神双の蒼剣(アロンダイト)》」


 七峰、と言う名に、龍神は感慨深そうだった。そして、次に王司が自己紹介をし始める。本当のところ、王司に関しては、自己紹介の必要がないのではないか、と思ったが、一応自己紹介しただけだ。


「青葉王司。《古具》は《古神の大剣エンシェント・ブレード》。真の姿は、《勝利の大剣(フラガラッハ)》」


 そして、王司の自己紹介の後に、真希が、真琴のことに関しても少し触れようか触れまいか迷ってから、紫苑たちの自己紹介と同じ形で良いや、と自己紹介をする。


「篠宮真希。《古具》は《翼蛇の炎砲ケリュケイオン・フレア》」


 その真希の自己紹介に龍神が「ふむ、篠宮の真琴のところの娘か」と唸った。そして、ルラが自己紹介をする。


「南方院ルラ。《古具》は《古神の大鑓(エンシェント・スピア)》。真の姿は、《必貫の大鑓(ブリューナク)》」


 そう、そして、ルラの自己紹介を聞いた途端、龍神の顔が渋くなる。いや、龍なのでその辺はよく分からないのだが。王司達は、渋くなったような気がした。


「南方院……?!まさか、【四方院(しほういん)】の【東方院(とうほういん)】、【西方院(せいほういん)】、【北方院(ほくほういん)】、【南方院(なんぽういん)】。その中の一家。【王印】の一族がこのようなところに来ることになろうとは……。いや、【王印】は既に西野家に回収されたのであったか」


 そんな風に言う。四方……即ち東西南北のことである。そのそれぞれを司る「院」をつけた家が【四方院】と呼ばれる。【王印】と呼ばれる力を継承する一族。【王印】は、【冥王印(みょうおういん)】、【沁王印(しんおういん)】、【破王印(はおういん)】、【宝王印(ほうおういん)】の四つである。そして、【東方院(とうほういん)】、【西方院(せいほういん)】、【北方院(ほくほういん)】、【南方院(なんぽういん)】にそれぞれ【冥王印】、【沁王印】、【破王印】、【宝王印】の順で対応している。それらの【王印】は、篠宮の分家である【西野(にしの)】家に全て集約しており、もう既に【王印】は存在しないと言われている。


「ん?」


 龍神の言葉に一番よく分かっていないのがルラ自身だ。龍神の言葉に、きょとんとして、何のことか分からず、王司に視線で助けを求めている。


「その、【王印】の一族とやらだと何かあるのか?」


 王司が龍神に疑問を投げかける。しかし、龍神は答えない。暫しの間沈黙の時が流れ、そして、ようやく龍神が口を開いた。


「ふむ、今となっては、おそらく【王印】と【南方院】は無関係になっているはずだ。【王印】を継いだものが【西野】や【東雲(しののめ)】の家に嫁ぎ、何の因果か、最終的に【王印】は全て【西野】の家に集まっているからな。だが、もし【王印】を持っているのだとしたら【宝王印】の力を使えるはずだ。まあ、【破王印】や【冥王印】でないだけ良かったと言うことか」


 そんな風に言う龍神。【冥王印】とは【明王】であり【命王】であり【冥王】でもある力。【沁王印】とは【心王】であり【神王】であり【沁王】でもある力。【破王印】とは【覇王】であり【刃王】であり【破王】でもある力。【宝王印】とは【鳳凰】であり【法王】であり【宝王】でもある力。


「西野?何かやけに普通の名前ね」


 真希の台詞。その言葉に王司は、「不思議な力を持っているから特殊な名前と言うわけではないだろ」と思った。


「ふむ?【西野】は篠宮の分家だったはずだが?」


 その言葉に、真希が「え?!」と声を上げる。驚いているようだ。その様子からして知らなかったのだろう。


「う、うちの分家?そもそも、うちって分家とかあったの?!」


 そう言ってあたふたする真希。その様子に、龍神が呆れたように、していた。その様子をしばらく見てから、秋世が口を開いた。


「篠宮の分家が【西野】と【東雲】よ。元々篠宮は【死宮(しのみや)】と言う字を書いていて、【二死之(にしの)】と【死之女(しののめ)】と言う分家が生まれの。そして、それがいつしか、字を変えて【篠宮】と【西野】と【東雲】に変わっていった。それが今ある家のことね」


 そう言って、秋世が真希に微笑んだ。ちなみに、篠宮のことに秋世が詳しいのは、真琴から教わったからである。


「まあ、【蒼刃】【篠宮】【朱野宮】の三家、三神の家系は、《古具》使いになりやすいみたいだし」


 さらに秋世は、そう付け加えた。もっと言えば、《古具》使いだけでなく、その他不思議な力に好かれやすい傾向にある。もしくは潜在的に秘めている。それは血脈に脈々と受け継がれるものなのだろう。


「三神……っ。第七の……」


 王司の頭の中でサルディアがそうつぶやいた気がした。しかし、王司は突っ込まない。あまり深いことを聞くのも野暮であるし、それに、聞かない方がためになることも多いのだ。特に、王司の相棒関連に関しては。王司はそれを長年の勘で理解していたし、それを感じ取った紫苑も、深いことを聞かないことにした。

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