未来編「因果は巡る糸車8」
金曜日の夕食時にへしょげているルルにロイがふとこう口にした。
「自分達はもう知っていますけど、ティエン君に気になるから家などが分かったら教えて下さいと伝えてあるけど何も報告がないです」
「そうですね……」
ルルは不貞腐れ気味。いざって時に役に立たない顔とか、手紙の内容が悪かったのかもとか、朝からブツブツ言ったりため息が多い。気持ちは分かる。
「火曜も木曜もネビーさんは稽古に来なかったです。土曜に今週は日勤だって言うていたのに。また残業が悪化したのかな」
「日曜日は何も言うていませんでした。木曜日にウィオラさんから手紙を渡されるかもと思ったのに何もです」
水曜の夜までにネビーが手紙を受け取っていたら昨日の木曜にウィオラ経由でルルに届く。でも何もなし。
木曜の仕事終わりにネビーが屯所の事務所で手紙を受け取ったら……ネビーならルルの為に我が家へ来そうな気がする。
「そもそも兄ちゃんなら事務所で返事を受け取ったら持ってきそうです」
「そうですね。ルルさんが返事を待っているって分かっているから届けにきそうな気がするんですけど何もなし。ルルさんへの返事は内容に悩んでも自分宛は……別々も気まずいか。悩みか疲れですかね。返事は必ずありますから」
「必ずある……。そうでした。そういう約束です。約束を守らない人はしょうもないです。家族もいなくて一人は大変だから疲れですね。多忙疑惑の兄ちゃんにハ組に行ってきてとは言いにくいです」
「知らない土地に新しい職場。大丈夫かな。ネビーさんの友人と自分も少し知り合いです。行ったことはないけど行けます。ハ組に顔を出してみるか悩むな」
ロイの発言にルルは思いっきり背筋を伸ばした。
「ハ組なら私も行けます!」
とても嬉しそうな顔。
「ルルさん。ハ組でそれなりの人気ぶりを見た彼に気後れされたら風向きが悪くなりますよ」
「……ハッ。そうですテルルさん! 美人や人気者は近寄り辛いです。見た目詐欺やキツめの顔で悪女そうとか役立たずな顔です。ごちそうさまでした」
役立たずな顔って……。お膳を持ってルル撤収。私は義母と顔を見合わせた。
「姉妹揃って似ています。リルさんも喋らないだけであのような感じでしたよ」
「えっ? 私もですか?」
「喋らない分時々感情が読めませんでしたけどね。不機嫌なのかと思えば具合が悪いとか」
「両親にも兄ちゃんにも喋ろと言われる訳です」
両親、特に母にガミガミ言われた私は面倒くさいし疲れると更に無口化。今思えば困った娘である。ちょこちょこ私似のレイスにあまりガミガミ言わないようにしよう。
ロイと共にユリアとレイスに食べさせながら食事を終えて後片付け。台所でルルが足踏みをしていた。
「もしかしてうどんを作ってくれてる?」
「落ち着かないから。明日の朝ごはんはうどんね。そう決めた」
プクイカを眺めながらうどん踏みをするルルの近くで洗い物を開始。
「明日実家に帰ってええ?」
「いつも言ってるけど頼んだ日以外ならいつでも何日でもええよ」
休むとルルへのお礼代が減るだけ。ルルはずっと居る訳ではないから居なくなっても困らないように気をつけて生活している。
ユリアが女学校を卒業してお嫁に行くまでの練習にもなる。我が家と実家の経済状況ならルルもユリアもお嫁に行かなくても良い。
義母が沢山動ける訳ではないので家事育児の人手がいるのは助かる。働いて欲しければ仕事も探せる。昔とは大違いだ。
「うん。面白いよね。ルーベル家に帰る。実家に帰る。私には家が二つあるんだよ」
「……三つになるかもね」
「別荘にしなよ。旅行だ旅行。宿代がかからないから旅行回数が増やせる。ガイさんは数年内に隠居するからテルルさんと長く滞在しないかな。沢山観光するの」
義父の提案と同じ考えをルルも抱いたんだ。義父はティエンの調査内容を特に言わない。まだまだ調べ中なのだろう。
私達はいざという時にルルを上南地区に留める計画を考えるので上南地区内同士ならどのように交流出来るのか今から色々考え中。
ティエンと縁が無くても次の縁談が似ているかもしれないから。
人生は何があるか分からないという事を色々知っているのにルルが居るのは当たり前とかルルは遠くに行かないと思い込んでいた。
「いいねそれ。お義父さんは味に拘りがあるから毎日外食は嫌で長期外泊はしないけどルルがいるなら別だ。お義母さんの体もルルがいると安心」
「でしょう? 兄ちゃんとウィオラさんは今のところ2ヶ月に1回は東地区へ行くから寄ればええ。宿にもなる」
「それをええって言うてくれる人なら泊まれる部屋のある家を借りたり買う時に家族が少し支援するかもしれないね」
「うん。貯金があるから飛脚に急いで頼んだら兄ちゃんが飛んで来てくれる。兄ちゃんには近い距離だから。なにせ馬を使えるからね。お母さんとかお父さんを乗せてきてくれるよ」
ルルは困り笑いを浮かべながらうどんを踏み続けている。北地区でも平気、はどういう安心感があるんだろう。
私はまだ北5区と南3区みたいに遠い場所との交流方法は思いつかない。ティエン家族としていたたまに文通程度しか思いついていない。
「そうだね。兄ちゃんは大至急の時は駆けつけてくれるよ」
「でもさ。出張とか勤務によっては無理だよね。それでも距離は遠くない。半日あれば帰れる。そんな事ばっかり考えてるの。上手くいった時の事。待った挙句に建前を並べて文通しませんって返事だと悲しくなるじゃん」
ルルはうどん踏みをやめた。悲しくなるってもう泣きそうになっている。私は懐から小さい手拭いを出してルルに差し出した。
「グルグル考えていたら気がついたの」
「何に気がついたの?」
「昔さ。俺が大豪邸を建てるからルルは皇女様みたいになれるって言うてた。小さい頃から聞いてた。いつも俺は成り上がるとか家が大きくなるからなって」
「そうだね。言ってたし家を建てるは今も言うね」
養子になってからは成り上がるとは言わなくなった。大豪邸とも言わないで大家族で住める家を建てると言う。
励めば出世可能で、中官になって卿家跡取り認定を取得して両親やルカ達の貯金と自分の貯金を合わせれば昔から夢の家族で広めの家を建てられるからだ。
過去のネビーは目標を口にして自分を鼓舞していたのではないかと今ならそう思う。それで目標は現実に出来ない夢だと思っていたかもしれない。
「大きな家のお嫁さんはお嬢さんだな。俺のお嫁さんはお嬢さん。それは気がついたら始まった。どこから出てきたの? お嬢さんとどこかで知り合ったからそう思ったの?」
「えっ? ああ。言われてみたらそうだね。私が小さい頃は言うてなかったよ。歩いている女学生と比べたら分かる。かわゆいってたまに言うてなかった?」
「勘だけど見て比較しただけじゃない気がする。そもそも成り上がったらお嬢さんって何。今なら分かる。兄ちゃんの性格とド真面目でバリバリ働ける感じなら恋仲からちょっとした商家のお嬢さんに婿入りくらいなら難しくない。成り上がらなくても狙えるよ」
つまりどういう意味?
ネビーがお嬢さんと恋仲から商家の婿。貧乏家族の最大の貧乏原因はネビーと過剰な貯金だったから我が家は貧乏から少し脱出?
「えー、兄ちゃんは気がつかなかったとか? 出会わなかったとか惚れなかったのもあるよね」
「私が小さい頃って別に兄ちゃんは女に潔癖ではなかった。見た事がある」
「……えっ⁈ そうなの⁈」
「なんか腕を組まれて人のいない方に連れて行かれたなとか。難癖恋人や難癖結婚に怯えるようになったけどどんどん冷え冷えになったけど過程があるよね」
「過程ってお父さん達の教育だよね。まさかお嬢さんを見たの⁈」
これは私としてはかなり衝撃的な話。貞操観念の高い両親がガミガミ言って育てたネビーは花街嫌悪で色系に潔癖。
「日曜にこれ関係についてふと頭に浮かんだの。妹には言わなそうだからジン兄ちゃんを脅して聞いた。ルカ姉ちゃんと結婚した頃にイオさん達と兄ちゃんが話してた事があるって」
「あー、そうなんだ」
潔癖ではなかったってこと。
「子どもさえ出来なきゃええって頃もあったみたい。本人に興味はなくても他は別的な。難癖結婚が怖いからもうしない的な。少しみたいだけどって。少しかな。怪しいけど噂話は聞いたことない。派手派手ではないイオさん達に隠れるくらいかな。派手じゃなさそう」
衝撃的だけどこの方が健全。
私は何の話を聞かされているんだろう。この話をルルがウィオラにしませんように。破局はなくても喧嘩になったりするかもしれない。
せっかく全然喧嘩しない仲良しなのに。あとジンを脅したって何。
「なんか嫌だけど若い男としてはこの方が安心。男はそう。気持ちがなくても触るとか遊ぶとか口説くとか出来る。しょうもない生き物だよ。女でもいるけどさぁ」
「まあ、しょうもないよね」
ティエン話からネビー話に逸れてこの話はどこに続いていくんだろう。生粋火消しはやっぱり嫌って話かな。
「イオさん達とつるんでいるから当たり前。今までそれに気がつかなかった。難癖結婚はヤアドさんだよ。その頃は知らなかったけど兄ちゃんが専門高等校に通っていた頃」
「へえ。兄ちゃんが稀に言ってた難癖結婚ってあのヤアドさんなんだ」
「生粋火消しは火遊び上等だけど人による。でもあのイオさん達の仲間で別に女嫌いじゃない若い男が何もしない訳がない。兄ちゃんは地味顔平凡でもあの性格でイオさん達といたらあの頃でもそこそこモテる。っていうかそうだった」
「つまりティエン君も生粋火消しだから心配って事?」
これ。ネビーはとばっちりなんじゃないかな。この話をウィオラにしたらだけど。私はそうだったんだなぁで終わり。
「それもあるけど兄ちゃんのこと。お嬢さんは中々触れないって触ろうとしたんじゃないの? なんか言うた事がある。中々触れないって触ってるじゃん!」
言葉尻とか昔の事を良く覚えているな。私はそのような台詞を聞いた記憶がない。
「そんな言い方した事あるっけ」
「ある。稀に何度か聞いてる」
「ルルは記憶力がええね」
「忘れるし気がつかないけど想像したからなんか思い出した。あの言い方とかこの時はこうとかイオさん達とかなんか色々ピピピッて」
恋するルルは兄バカ続行なの?
なぜルルはわざわざネビーについてこんなに考えているの?
「あそこの専門高等校近くってそれなりの女学校があるよ。兄ちゃんの好みってそこらで見られる区立女学校くらいのお嬢さんじゃないじゃん。ウィオラさんは好みの更に上をいったけど卿家がわりと通う国立女学校とかそこら辺が元々好み」
「えー。その頃に兄ちゃんと恋仲になったお嬢さんがいたって妄想をしたの?」
「そうだよ。なんかピンってきた。私達や幼馴染の生活圏内じゃないから知らないんだよ。そうだとしたらあの貧乏時代だと諦めたか袖にされたよね」
「何もないかもよ。ティエン君はそうやって考察して私と旦那様は幼馴染だから昔から恋仲で私の元服を待ってついに結婚って推測した。大外れ」
義父母が愉快そうに笑ってロイも「尊敬されているようなので真実は言えません」である。
そもそもネビーは俺に恋人がいた事はないって言っている。
「いやあ。お嬢さんってかわゆいな。バカだし貧乏だからすぐに振られた。触れねぇしって言う。兄ちゃんなら袖にされたらペラペラ言うよ。誰も知らないってことは逆。諦めたんだよ。私達のせいで。家族のせいで。そういう理由なら絶対に誰にも言わない」
「絶対に言わないなら推測が真実かどうかも分からないね。この話は何に繋がるの?」
本当なら胸が痛いかもしれない。身分格差で諦めた恋。小さなロメルとジュリーだ。
確かにネビーは悲恋ものは嫌いとか苦手って言うな。紅葉草子も「お嫁さんになるお嬢さんの為に一応読んだけど苦手」だし。
あれ? 嫌いな理由や苦手な理由は過去があるから?
「兄ちゃんも諦めたって事。学生の頃だろうから働いて一緒になってとか家業をして欲しいとか頼まれたりして。結婚させられるとか言われてさ。でも学生だし今後凖官になれても最低3年は安月給でクビもある」
どんどんルルの想像が広がっている。
「俺は成り上がって大黒柱になる。家族全員を養って今よりも更に幸せになるって言うてた頃だよ。正官でも1人増えるのは厳しいし、家族を無視して家業どうこうなんて兄ちゃんには絶対無理。大家族を養える家ではないんだろうな。2人が恋仲って発見されたら相手の親は嫌がるね」
「ルルの頭の中は宇宙だね。宇宙って空のことなんだって。想像つかないけど空よりも広いらしい」
これはセレヌに聞いた話。昔々はうんと大きくて凄い望遠鏡があってその宇宙を見られたそうだ。それで見たら太陽は燃えているらしい。
「家族も将来も捨ててって言われて拒否して袖にされた。それか気配を感じた親が引き離した。これってさ。別に相手が貧乏大家族と長屋暮らしで耐えたり兄ちゃんを信じて成り上がるのを待ってもええ話だよね?」
「ルルの創造の中の2人はお互いに捨てられないから背中を向けて去ったってことね」
「兄ちゃんはお父さん達やデオン先生達の期待に応えたいから他の道には進まない。その先に大黒柱の道もあるから。貧乏の原因の1つは自分なのは知らなかったしね。婿入りなんて発想はない。だからそこらのお嬢さんを捕まえようって思わなかった」
「それで?」
「そこらのお嬢さんは好みではないから地元では惚れなかった。イオさん達とつるんで触るくらいの女遊び。その後学生時代にお嬢さんにうっかりした。自分の好みが分かったってこと」
「どうやって見張られ気味のお嬢さんに近寄るの」
「女学生は見張られているからウィオラさんにしたような怒涛の口説きは無理。その頃は雅でもない。助けた結果文通お申し込みされたとかが怪しい。ロイさんと知人程度だったみたいにあの頃の兄ちゃんは身分差にビビる」
証拠は何もないのにこの想像力。当たる訳でもないしなんだか疲れそう。
「過去の兄ちゃんをロメルとジュリーもどきにしてどうしたいの」
「兄ちゃんに家族を捨てろって1番言ったらいけない台詞だよ。バカだねその人。信じて我慢したら総官候補も夢じゃない卿家兵官の妻だったのに。おまけに自分は相手に捨てろって言うんだよ。バカだよバカ」
ルルの中ではネビーには過去にお嬢さん恋人がいたと決定しているみたい。ティエンといい理路整然としているから信じたくなる。でもこういう推測って当たらない時は当たらない。
当たる時もあるけど嘘をついていない私とロイの結婚話の真相に辿り着いた人がいないように。
誤解が愉快だったり都合が良いから詳しく言わないのもあるけど。
「これがあれこれグルグル考えていたら出てきた新発見。誇大妄想。水曜にお母さんに聞いたらやたら落ち込んでいた時期と一致するからそうかも。なんかあったと思うから当たりかもねって」
……そうなの?
「そんな時期あった⁈ お母さんって私達の事をなんだかんだよく見てるね」
「お父さんもびっくりしてそう言ってた。おかげで今の縁談がある。ほじくり返す意味がないから言わないし本人にも言うな。探るなって。だから調べるのはやめた」
「母は偉大ってこういうところかな」
「後から気がついたから先に気がついてやれば良かったなって。違うかもしれないし終わった事なら言わない。勘が当たりなら次はそうならないようにする。そう思って育てたって。なのに兄ちゃんは年々家族にひっつき虫。上手くいかなかったって」
「そうなんだ。この話はお母さんに聞きたい。教育勉強として」
「私の妄想が真実に近かったら兄ちゃんも一緒に貧乏大家族に飛び込んでくれない、信じてくれないなら要らないって捨てたんだろうって。相手がバカならネビーもバカだねって。他にも道があったかもしれないのにって」
ルルの想像の世界のネビーとお嬢さんは譲り合えなくて背中を向けてお別れってこと。
「兄ちゃんといたらすぐに分かるはずの禁句を口にしたなら大した仲じゃない。信じてもらえない程度の仲でもある。相手が待たなかったのもそう。家族を捨てられないのもそう。縁なしってそういう事だって」
義母といい母といい考察力というか洞察力が凄い。ルルはこれを受け継いでいる。
ティエンもこんな感じで頭の中で沢山考える人みたいだから気が合うと思うのに文通すら始まらないのは何故なのか。
前向きそうでルルに興味ありそうだったからロイと少しばかりつついたのに。余計なお世話だったのかな。それなら反省。
「兄ちゃんはヤアドさんの難癖結婚にビビって潔癖化。お嬢さんが好みって分かったけど成り上がって大黒柱にならないとまた同じ事になる。養子で夢は確実と思っていたら女運が悪い。過剰な女避け開始。難癖結婚や金のむしり取りは嫌だって今の冷え冷え潔癖兄ちゃんの完成」
ルルが最初に口にした過程があるってこういうこと。
「中官が先だけど裏切る気持ちが出るかもって言うてたのにここまできたよね。女運は悪い。定期的に怖い人に絡まれてたもんね」
裁判になったのが1番大きな原因な気がする。鍵を壊して家に上がり込んで恋人気取りもいた。
自分はネビーの恋人で結婚すると周りに言いふらして包囲しようとした人もいたし、付き合いはゼロなのに恋人になれないなら死ぬもいた。
多分私の知らない小さい話は他にもあると思う。なのに不思議。最近はとんと聞かない。
「年に1回はお見合い。兄ちゃんに秘密のコソコソ簡易お見合いもたまに。精神年齢が高くなった苦労人で所詮下街男なので好みの箱入りお嬢さんと話が合わなくてつまらない。頭の中は仕事やまとわりつき妹達や中官試験でいっぱい」
「まあそうだね。お見合い話は知らなくても他の事はお母さんやお義母さんが言うてたから知ってる」
「縁談は全て家族親戚最優先。情け容赦ない。お母さん達は義務感だと思っていたけど単にそのままの意味。家族親戚と一緒が幸せだから邪魔されるのは嫌って事」
母が心配したのもあって義母は断りにくい縁談をネビーにお願いした事が何度かあったことを結納後に知った。
私も読んだけど情け容赦ない家族親戚最優先の条件だった。我が家と実家の関係性からしてそうなるのは分かる。
悪条件でもお見合いするんだ、と思うと地位金家柄目的みたいに思えて苦痛だったらしい。
付き添いは全て義母だけど仕事で接待みたいな感じのお出掛けだったそうだ。それはきっとつまらない。なのでニ度目はなし。
「なのにその兄ちゃんがこの人の為ならって半分譲った。ずっとずっとずーっと譲らなかった人だよ。なのにたった1週間で譲った。いや6日か。結納日の前日だから」
話が戻った。
ルルの妄想したネビーの過去はともかくネビーはそこらの人よりも頑固で優劣がはっきりしている。27年かけて築いた絶対に優先事項を6日で変更ってこと。
同じ日数でルルとティエンはなにも始まっていない。ついつい比較したくもなるか。




