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お見合い結婚しました【本編完結済】  作者: あやぺん
日常編

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未来編「兄ちゃんの祝言」

外伝を作った結果ちょろちょろ未来が決まったので作者の自己満足外伝完結記念で3話です。

 私とロイが出会った春に私達が挙式した神社で本日ネビーが挙式する。月末で28歳になるのでようやくと言ったところ。

 家族親戚と卿家跡取り認定取得が優先で結婚は後、というのは本音だったようだけどこの女性と決めたら早かった。

 集会所を借りてご近所さん達に手伝ってもらってルーベル家とレオ家のお着替え終了。

 主役である新郎のネビーはロイの黒五つ紋付き羽織袴姿。同じ服装なのは義父と父。父の衣装は私の時とは異なり義父の弟に借りた。

 義母と祖母と母は黒留袖で母の衣装はやはり義父の弟の妻に借りたもの。青鬼灯(あおほおずき)で統一だ。


 私の服装は義母の五つ紋色留袖でロイは義父の色紋付。レイスとユリアはジオと共に町内会共同のお祝いに相応しい着物を借りた。

 ルカとジンの衣装も親戚に借りて私とロイと同じなので既婚組も両親達と同じく青鬼灯(あおほおずき)で統一。

 ルル、レイ、ロカは全員振袖。ルルは義母に「ルルさんは我が家の振袖」と言われたので義母が自分の元服や結納時に着た振袖。

 義母は我が家の振袖と言ったけどロイの祖母の振袖は親戚の家へ贈られて存在しないしそれより前の振袖も「柄が気に入らない」と祖母が売ったのでない。多分ロイの祖母も嫁姑問題。私は義母の振袖を売らないしユリアに着せる。


 レイとロカは貸してくれると言ってくれた私の嫁友達の振袖の中から選び放題という贅沢(ぜいたく)さ。

 私はこの時に思った。私は振袖を着ない人生を歩んでいて死ぬまで振袖を着ることがないと。

 クララにふと話したら「別に着たらええので振袖で旦那様とデートをして下さい」と言ってくれたので秋にロイと振袖デートをした。

 ネビーの祝言に関係ないことを思い出してしまった。


 支度が済んだので後は挙式をするフェリキタス神社へカゴに乗る祖母以外は歩いていく。

 3は神聖な数なので3人ずつ歩く。先頭は義父母の間に主役のネビー。その後ろはロイを間にして両親。

 ロイの後ろは次女だけどレオ家は常にルーベル家優先だからと私。レイスとユリアと私の後ろにルカとジンとジオが並ぶ。

 その後ろにルル、ロカ、レイで列の最後は祖母の乗ったカゴとなる。

 そのはずが挨拶後に歩き出したネビーは集会所の塀に向かっていって激突した。


「あはは。ネビーさん手足が一緒に出ていましたよ」

「おいネビー。しっかりしろ。ロイさんを思い出して見習え」

「いやジン君、ロイも酷かった。なあ母さん」

「ええ。ロイもちょこちょこ手足が一緒に出ていましたね」


 そうなんだ。私は頭が真っ白だったので記憶が全然ない。

 長屋からフェリキタス神社は遠くて支度する場所問題もあったので私達家族はかめ屋で支度をして神社へ行ってロイ達と合流した。それは覚えているけどわりと曖昧。

 やいやい言われてもネビーは無言。喋らないネビーなんて珍事件なので明日は雨かもしれない。

 ネビーと義父母と両親は明日のお昼前に東地区へ出発して新婦ウィオラの実家に泊まって宴席に参加。その後はエドゥアール温泉街へ新婚旅行兼親孝行旅行。なので雨は降らないで欲しい。

 そうして私達は歩き出した。ユリアとレイスと手を繋いで2人の様子を見つつ進む。

 

「あのね、ユリアはこうじさまになったの」

「ユリア。こうじょさま」

「こうじょさま」

「それならぼくはおうじさまです」

「ちがうのよ。あかいとだからジオがおじいさまです」


 ん? とロイが振り返った。顔をしかめている。


「ユリア。赤い糸だからジオ君が皇子様ってなんですか?」

「おとさん。ユリアはおよめさになるのよ。ジオとむすぶます」


 後ろを向きながら歩くロイが頬を引きつらせた。ネビーが結納後から家族親戚内で結婚関係の会話が増えてユリアは結婚や夫婦やお嫁さんみたいな知識を得た。

 ここのところユリアは「ユリアはジオくんのおよめさんですね」と言う。

 年明けくらいからそうだったけどロイはまだ聞いてなかったのか。


「ユリア。こうじょさまとおうじさまはきょうだいですよ」

「ちがうますよレイス。こうじさまとおうじさまはけっこんします」


 これはどっちも合っている。


「お父さん! ユリアちゃんはぼくのおよめさんになります!」


 後ろを見たらジオがジンに向かって満面の笑みを浮かべていた。前を向いたら後ろ向きに歩くロイがジオを睨んでいた。


「旦那様。子どもの話にめくじらを立ててそのようなお顔をしないで下さい」

「聞こえたけどええ気がするな。ユリアが半元服した時に2人ともそうなら軽い結納をするか。条件はジオ君が順調に跡取り認定を取得したら。いや他の仕事でもええか。でも跡取りがええ。レイスもそうなってくれたら2人だからお家安泰だ!」


 先頭にいる義父が振り返って大笑い。ジオは現在義父の養子。それで今年小等校に無料で入れた。あとは毎年学業成績や態度などによる査定を受け続けてロイのように卿家跡取り認定の道。

 職人が良さそうなら学業を続けながら職人。ネビーに憧れがあるようなのでデオン剣術道場に通いながらその道も模索とジオには色々な未来が用意されている。

 レイスも同じくネビーがルーベル家の次男なので地区兵官を若干贔屓(ひいき)ありで目指せる。レイスを卿家兵官にするのが義父の野望。でも既に無理そう。レイスは運動が苦手な傾向があるから。


 レイスが職人を目指すならお金を払って半見習いだけど父は我が家からお金を取る気はないので8歳から半見習い可能。

 そのようにジオ同様にレイスにも他の家の子よりも職業に選択肢がある。この国は職業選択肢に制限があって制限から逸れるにはかなりの才能と努力とお金が必要なので結婚は家と家との結びつきとはこういうことだと実感中。

 お金のない平家だけが不自由なのではなくてお金持ちのお坊ちゃんを受け入れて訴えられたら嫌なのでお金を積まれても半見習いは却下や雇用すらしないなども結構ある。


「父上! ユリアは嫁に出しません! それに叔父と姪は結婚出来ません!」

「嫁に出さないから婿だろう。孫みたいなジオ君が婿は気楽だ。まあそこまで生きているか知らないが。血筋はいとこなんだからそこは誰かに頼んで戸籍移動するから問題ない。何人かと契約済みだ」


 義父が親しくしてきたから、だけではなくて義母が義父の友人達をもてなしたりその家としっかり付き合いをしてきたから頼める話。

 私が目指す大黒柱妻は家族親戚の未来も背負っているのだと年々身が引き締まる。


「ユリアはお互いらぶゆな相手なら誰と結婚してもええですからね」

「リルさん! ユリアの婿は自分が探します! 誰となんてあり得ません! 徹底的に調べます!」

「どうせ探さないだろう。そもそも探すよりも育てたらええ。お前はどうせ誰も気に入らないんだから。レオさんの前でよくそんな事が言えるな」


 ユリアとジオが並んで手を繋いで歩き出してレイスもユリアと手を繋ぐと言うので3人を前に歩かせて私とルカとジンで並んだ。

 義父と父が話を始めて義母と母もなにやら話している。私が結婚当初は身分差に気後れしていた両親は本来は人見知りをしない気さくな人種なので親戚付き合いを始めたら義父母と打ち解けるのは早かった。

 義父なんて「レオさんは弟みたいなもの」と言うし父も「ガイさん、友人が新作のお酒を作って試飲を頼まれたので飲みましょう!」と友人みたいになっている。

 ジオとレイスとユリアは桜吹雪(おうふぶき)を歌い始めた。ロイはちらちら後ろを向いては子ども達を見て不貞腐れ顔。


「なにがユリアは嫁に出しません。自分は私達からリル姉ちゃんを(さら)っておいて。兄ちゃんなんて必要が出てくるまで東地区と南地区に半年ずつとか1年ずつ暮らしますって言うたのに」

「ロカ。ロイさんに聞こえるって。あと兄ちゃんは南地区から引っ越し禁止になっていたから結局一緒だよ」

「心構えや気遣いが正反対って話。別に聞こえたってええよ。それにしても兄ちゃんを東地区に取られなくて良かった」

「それは私も同意」


 コソコソ話だけどレイとロカの会話が聞こえてきた。去年知ったけどロカはロイが少し嫌いみたい。

 最初は懐いているなと思っていたけどロイと私が結婚したから私が実家から去ったと理解していったロカはロイに懐かなくなっていった。

 好き嫌いは誰にでもあるし母親代わりみたいになっていた私に対する気持ちからだから仕方ない。いつもは猫被りしているのに今日はロイに聞こえそうなところで喋るんだ。


「ロカ。いつも大人の態度をしてるんだからご本人の近くでそういうことを言わないで内に秘めていなさい」

「はい。ルカお姉さん。そろそろ謝られたいな的な。でも聞こえない振りか無視か本当に気がついていないなら今日はもう猫だにゃん!」


 小さな声を出して猫の手をして笑顔。ロカは年々エリーのようになっていく。


「ったく。私はあんたが姉妹で1番怖いわ。リルみたいに無害そうで大人しく見えるのにルルみたいに小賢しいとか色々。そのくせたまに本気でとぼけ気味とか」

「ルカ姉ちゃん。私もそう思う。ロカって兄妹それぞれの長所をもぎ取っていった感じがあるよね。それでルルはなんでずっと照れ照れしてるの?」

「えっ? レイはお子様だからわからない話。だって挙式後の披露宴前の時間に……へへっ」


 少し覗いてルルの表情を見たら頬を染めた照れ笑いだった。ルルは本縁談を8回もすぐ袖振りして簡易お見合いも1回会ったら袖振りしてきた。

 文通お申し込みもすぐ辞めたり最初から拒否。理想が高すぎる高飛車見合い破壊魔人だったのにいきなりこれ。恋って不思議。

 義父、父、ネビー、ロイ、ジンの長所があってその欠点は無い人みたいに言うから何度もそのような男性は存在しないという話をした。

 酔っ払うとあーだこーだ言って最終的に「兄ちゃんと結婚したい。兄ちゃんとキスとか気持ち悪いから顔と声を変えてど忘れをしない兄ちゃんと結婚する。そういう人は格上狙いで溌剌オババの私を相手にしない」と泣き上戸。

 ルルの悪いところは頭が良くてあれこれ分析出来たり察する事が出来る分見切りや決めつけをするところ。

 半年くらい交流してみたらと言っても「もうどういう人か分かったのに時間の無駄」と言い返してくる。

 母や義母がお説教をしても論破。人生を豊かにと知識を与えたら弊害も起こったの図。


「これからモテる人が年増オババに惚れる訳ないじゃん」

「私は少し年上なだけ」

「兄ちゃんと同じく選り好み出来るし美人は3日で飽きるよ。それに兄ちゃんはこれまで女運が悪くて潔癖なまでに女性を無視してきたけど普通は遊ぶ。兵官や火消しはわりと遊び人って話だもん」


 ロカの言う通りネビーの女性運は悪かった。いや恋人にした事で何かあった訳ではないから女性運が悪いと呼ぶのか分からない。

 モテる分怖い女性も現れて裁判や住居不法侵入に付きまといなどの被害に遭った。怖い話。

 恋狂いにお金目当てもいるから大変そうだったというか今後もなにかありそう。本人がかなり気をつけている。


「ロカ、私は選ばれるように励む」


 いつも溌剌元気なルルは相変わらずぽやんとしている。3月からずっとこの調子。


「えー。ルル、ロカ、なんの話? ルカ姉ちゃんでもええけど」

「えっ。知らないのレイ。ルルのお見合い……あれはお見合いなの? 違うよね。結婚して下さいっていきなり土下座。相手は困ったけどこの顔だから反応は悪くなくてとりあえず文通してくれるって」

「ルカ姉ちゃんなにそれ。ルルはいきなり土下座したの⁈」


 あれは私も驚いた。かめ屋の旦那みたいに海に憧れて南地区で働きたいとやってきたティエンが我が家へ引っ越しのご挨拶をしにきてくれた。

 ロイの立ち振る舞いに憧れて文武両道を目指すことになった事は手紙で話を聞いていたけど本当に立派に育ったと褒めたり盛り上がっていたらいきなりそれ。

 その前にティエンがトイング家のルックを助けてくれたのを見ていたルルが一目惚れだ。


「ルカ。気になるからルルに聞いて。今日ティエン君が来るの?」

「聞かなくても着替え中に勝手に喋るルルから聞いた。ネビーはちょこちょこ火消し6番隊に出入りしてるしイオ君もいるから有志が今日華添えに来てくれるけどそれは知ってる?」


 今日の挙式に華添え宴会をしてくれる人は多い。兵官6番隊有志、火消し6番隊有志、剣術道場関係有志、漁師達、ひくらし、大工達、酒屋達。さすが顔の広いネビーだ。両親関係も含まれているから多分大人数。


「ああ、そうか。それに参加してくれるの」

「ロイさんの弟さんを祝いたいですって」

「それでルルと会ってくれるんだ」

「いや単に火消し6番隊有志が私達家族に挨拶に来てくれるだろうから会えるってだけ」

「私の取り柄の1つは見た目だから晴れ着を見てもらえる」


 ルルは手を顔の前で振りながら照れ笑い。これはかわゆいルルが違うかわゆさのルルになっている。

 ルルの縁談は面倒くさかったから上手くいってもいかなくてもしばらく義母が助かる。

 私はルルに迷惑を掛けられても良いけどルルの相手は私が見定める! とずっと張り切ってきたけど義母は見合い破壊魔人ルルに少々疲れていた。

 義母の負担を減らそうと書類作成や調査や根回しなどで私も疲れ気味。しばらく「縁談中」の一言で断れるから小休憩。


「冷え冷えネビーにつれなく振られた女達みたいにルルも有象無象かもね。まあ私はジンに付きまとって結婚したから迷惑をかけない範囲で付きまといしな。諦めたら何も起こらないから」

「……そうなの? ルカとジン兄ちゃんってそうなの?」


 私が知っているルカとジンの馴れ初めはお見合いして気が合ったから何回か続けて結納……同じ作業場の同僚とお見合いっておかしい。

 2人が結婚当初から嫁いだ後もしばらく知らなかったけど今は2人はずっと同じ作業場だったと知っている。点と点が結びついていなかった。

 いや結納時に聞いた話と違うけど。今度ルカにその理由を尋ねてみよう。


「リルちゃん。俺はルカさんに恋人がいると思って遠巻きにしたけどいや奪うぞと必死になった。その恋人は恋人じゃなくてネビーだった。俺の勘違い」

「そうなの?」

「見た目が悪くなくて背も低くなくて子どもに親切なうんと優しそうなムキムキ男にビビって逃げて転んで通りかかった友人に慰められた」

「……そうなの?」


 私が先程告げた台詞を今度はルカが口にした。


「ルカさんがうんと親しげに甘えるように笑っている上にネビーあるあるを見せつけられて勝てないと思って逃亡。でも諦めたくなくて横取りしようと思ってルカさんにまとわりついた。だからルルさんも戦うしかないな」

「でも負ける時は負けるよね。ネビーに突撃して散っていった女達みたいに」

「あいつ、断って避けても寄ってくる女はこっちの居た堪れなさや面倒を無視する性悪。面倒。嫌いになるって結構裏で酷いからな。酷いというか疲れだなあれは。恨まれないように気を遣う疲労。まあ犯罪系も混じっているから仕方ないけど。難しいよな」

「へえそうなんだ。まあ変な女とか勝ち気なのに絡まれがちだしね。落ち込んだところに誰かが入るからええよ。ロクデナシからは私達が守るとしてさ。良さそうな人がいたら失恋したルルに近づけるの」

「自分に寄ってくる女性を他の男へ回してきたネビーの手口だな」

「私は戦う。ルカ姉ちゃんとリル姉ちゃんとウィオラさんに男性の落とし方を学ぶ」


 その後にルルは「リル姉ちゃんは生活していただけか」と「ウィオラさんも仕事をしていただけだ」と口にした。全くもってその通り。

 私もウィオラも相手が突撃してきただけだ。義兄弟なのに2人揃って1週間で結納。今月頭にあった花見の席で剣術道場の人達が桃兄弟は年々似ていくと笑っている。

 ルルがジンに尋ねたら「ルカさんも主に働いていただけだな」と口にした。


「はあ。私も生活しているだけでお申し込みされるのに本命は違うって困る」

「ルルはこれまで男の純情を踏み躙ってきたからバチ当たりだね」

「ロカはルカ姉ちゃんみたいなその皮肉屋を直しな。全く。踏み躙ってないよ。丁寧にお断りしていただけ。兄ちゃんと同じで気をつけないと怖い目に遭うから疲れる。この顔は得だけど嫌だ」

「丁寧にってルルは結構辛辣じゃん。相手を見てみたいだけどさ。私はわりと美人だけど平和だよ」

「ルルってなんか魔性だよね。兄ちゃんはお金目当てとか仕事振りやお人好しさに惚れられるけどルルは完全に見た目だもんね。歩いていただけで付きまとい開始とか」


 そこからルルの防犯対策やネビーに習っている護身の話になってユリアやいつか生まれる私達の娘達にも色々教えないといけないという話に逸れた。

 そんな風に話していたけど神社が近くなって来ると緊張してきて誰も喋らなくなった。

 ずっと歌っていたユリア、レイス、ジオも大人達の様子と人の多さにもじもじし始めて3人とも親にひっつきむし。

 私達は先に到着して花嫁さん達は少し後から来る。神社の鳥居前で決めてある並びになって参進の儀だ。


 向かい側から徐々に近寄ってくるムーシクス家の先頭は花嫁ウィオラで白無垢姿。家宝らしい純白衣装のうち飾り布だけを髪飾りとして使用している。

 この間見たけど絢爛豪華だったし今ここからみても銀刺繍がキラキラ光っている。

 ムーシクス家の祖先は旅人だったそうで秋に蔵を掃除していたら異国の純白衣装を見つけたらしい。

 斎女(いつきめ)が肢の長い朱色の傘をウィオラに傾けている。綺麗。

 私も数年前にあのように白無垢姿でこの神社へ来てロイと挙式をしたのか。感慨深い。


 神社の敷地内で咲く桜の花びらが風でひらひら、ひらひら、ひらりと舞う中で両家は会釈をしてから近寄った。

 ネビーがウィオラの手を取る。なんだか自分の時のようにドキドキしてくる。


 階段を登り始めた瞬間ネビーは転びかけた。

 ……大丈夫かな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 返信来たことに感動して追記です。 正確に言うと登場時ではなくて、ランさん視点でティエンくんかしこを感じたときに思ったんでした。 これはだいぶネビーっぽくね?と。 さすがに作者様より先に思いつ…
[良い点] いつも楽しく読んでます。常々更新されてないか確認してしまうくらいははまってます。 普通こんなに書いてくれないってくらい外伝、番外編を書いてくれてとても嬉しいです! [一言] ティエンくんの…
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