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魔界本紀 下剋上のゴーラン  作者: もぎ すず
最終章 魔界はいつでも世紀末(ヒャッハー)編
331/359

331

 アタラスシアたちヴァンパイア族が戦っていた相手は、魔王ギドマンの軍だった。

 ちょっと驚いた。


 さてこの戦い。

 俺たちが横から参戦してかっ攫ってしまったが、よかったのだろうか。


 もしかするとアタラスシア軍だけでも退けられたかもしれない。

 互角に戦っていたので、少しだけ気になった。


 しかしこの国に攻め込んでくるとは、無茶なことをする。


 ギドマンの国は、メルヴィスの国からかなり離れているのに、御苦労なことだ。

 よく攻め込んできたと思う。


 逆を考えれば、そうする理由があったのだろう。

 頭の中で魔界の地図を思い浮かべてみた。


 たしかギドマンの国の真南に、モニンやユヌスなどの小魔王国群があった。

 本来ならばそこへ進攻して、力を蓄えるべきだ。


 近くの小魔王たちを喰らった方が効率がいいに決まっている。

 だがその小魔王国群は、トラルザードの国の西にあたる。


 俺もその近くまで行ったから分かるが、西の小魔王国群はつい最近までトラルザードも警戒していた。

 ワイルドハントがかき回したからだ。


 そんな場所へギドマンの軍が攻め込めば、トラルザードも黙っていない。

 いきなり決戦になると思ったのだろう。


「魔王ギドマンは、単独でトラルザードと戦いたくないと考えたのでしょうか」

 アタラスシアに聞いてみた。


 なにしろギドマンは、ジャニウスと連携してトラルザード領の北東から攻め込んできた。

 ちょうどその東に、この国がある。


 だからと言って、なんて浅はかな奴なのだろう。


「それだけトラルザードを恐れているのだと思う」

 アタラスシアの言葉に、俺も頷いた。


 同じ考えだが、その攻め込んだ先は、そのトラルザードが震える相手なんだが。


 逆にトラルザードの方がしょっちゅうプルプル震えている老婆のイメージしかない。

 あれで最強魔王と目されているのだから不思議だ。


 まあ内包する魔素が膨大なので、トラルザードはだれと戦っても勝ちそうな気がする。

 すると魔王の中でもやはり最強なのか。あれが……うーむ。


「それで、この後はどうするのです?」

 トラルザードのことはいい。問題はこの国だ。


「私は将軍と合流するまで待機するつもりだ。その後は、指揮権を移譲する」

「なるほど」


 アタラスシアは、あくまでファルネーゼ将軍が到着するまでの「つなぎ」らしい。

 俺もそうしようかな。


 メルヴィスが城にいないことが分かったいま、急いで帰る必要もなくなった。

 だったら、国境の防衛に参加してもいいかもしれない。


 個人的にはメルヴィスに人界のことと、そこにできた異界の話をしたい。

 そしてできれば魂になって向こうに行ってもらいたい。


 向こうでヤマトをなんとかして欲しいというのが本音だ。

 俺はいまでもヤマトの考えに賛同していない。


 できれば力ずくで計画をぶっ潰したい……が、それは無理。

 戦って分かった。あれには勝てない。


 かといって、このままではヤマトを掣肘できる者は皆無。


 メルヴィスを送り込んで、計画を阻止もしくは変更させたいのだ。

 話の持って行き方次第では可能だと思っている。


 どうせ結界があるから、肉体を持ったまま人界に行くことはできないのだ。

 そのへんをつついてやろうと思っている。


 ヤマトもまさかメルヴィスが一日千秋の思いで行方を捜しているとは思うまい。

「クッククク……」


 声に出したらアタラスシアから「不気味だ」と引かれた。

 うん、反省。


 俺の計画は、秘めねばならないのだ。

 悟られると拙い……拙くはないかもしれないが、この国はメルヴィス配下の者しかいない。


 もしメルヴィスが国を捨てて、一時的にでも人界に行ってしまうと分かったら、それを潰そうとする連中がでないとも限らない。


 そういうわけで、俺の計画を他の者に聞かれるわけにはいかないのだ。

「秘密裏にことを運んでこそ、至上」


「何がだ?」

 また口に出ていたらしい。アタラスシアが怪訝な顔を向けてくる。


「いえ、敵を排除する算段を立てておりました」

 冷や汗が背中を伝う。


「そうか……そういえばあの奇襲、見事だった」

「ありがとうございます」


 うまくごまかせたらしい。

 これからはあまり人前で「あのこと」を考えるのは止そう。


「それでは、部下たちの様子を見てきます」

 戦後処理が進む戦場に目をやり、俺はそっとその場を離れた。




 翌朝早くにはもう、ファルネーゼ将軍が飛んできた。

 文字通り、飛行してきた。


 将軍自ら先遣隊になったらしい。

 このあと、第二、第三の部隊もやってくるとか。


 アタラスシアが戦線を持ちこたえていれば、ここで一気に蹴散らすつもりだったようだ。


 そして将軍は、俺の姿を見つけて驚いていた。

 俺が「驚かせることができた」と悦に浸っていたら、反対に驚かされた。というのも……。


「天界から大侵攻があって、メルヴィス様が大暴れてしている」


「えええっ~!?」

 という具合だ。



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