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魔界本紀 下剋上のゴーラン  作者: もぎ すず
第4章 嗚呼無情編
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 メラルダが待つ天幕に入ると、見知らぬ顔がいくつか見えた。


「久し振りじゃな、ゴーラン」

「お久しぶりです、メラルダ様」


 この天幕での会議。

 初めてネヒョルの天幕に行ったときのことを思い出した。

 あとのきは俺の椅子がなくて、困ったものだ。


 もちろん今回は俺の椅子はある。というより、席が余っていた。


「紹介しよう、彼がオーガ族のゴーランじゃ。小魔王メルヴィスの国からわざわざやってきてくれた」


「ゴーランです」

 俺は軽く頭を下げた。礼儀正しいオーガ族を見せてやった。

 うん、俺だってやればできるのだ。


「ここのメンバーを紹介しよう。座ってくれ、ゴーラン」

「はい」


 空いている席のひとつに腰を下ろす。


「ダイルは知っているな」

「道中よくしてもらいました」


「そうか、それは良かった。ダイルの隣にいるのがオーケじゃ」

「クリスタルアイ族ですか?」


「よく分かったの。そう、オーケはクリスタルアイ族で、森の魔法の達人と言えば分かるかな」


 全身半透明の男。おそらく男だろう。

 それが小さく頷いたので、俺も「よろしく」とだけ小声で伝えた。


 小魔王メルヴィスの国には、クリスタルアイ族はひとりも住んでいない。

 彼らは水晶の精霊と呼ばれる存在で、基本、森の中から出てこない。


 俺も見たのは初めてだし、まさか本物にお目にかかれるとは思わなかった。

 特徴的な外見なので、名前だけは知っていたが。


「その隣がバルタサール。グランガチ族じゃ。オーケとともに軍団長をしている」

「よろしく」

「……ふん」


 どうやらこのわに男、俺のことはお気に召さなかったらしい。


 グランガチ族は、リザードマン族の上位種族となる。

 リザードマン族が進化するとハイリザードマン族になり、その上のエクスリザードマン族など、リザードマン族には進化先が多い。


 グランガチ族は、リザードマン族から進化の途中で鰐に似た進化を遂げた種族だと聞いている。

 およそリザードマン族の二つ先の進化か、三つ先と同等と思えばいい。


 オーガ族と同じく魔法は使えず、肉体派が多いと聞いている。

 魔法耐性はオーガ族よりもあり、殴り合いの強さだけでも、かなりのものになる。


「あとは我の副官で、ミニシュじゃ」

「ミニシュどのにはいつも世話になっております」


「いまここにいないが、ラクテとボーグという者がおる。両方とも武に秀でた竜の一族じゃ」


 武に優れた竜の一族……つまり、ラクテとボーグは武官なのだろう。

 ミニシュとハルムが文官ならば、ちょうど数が合う。


 ちなみにみな尋常でない魔素量なので、俺には優劣はつかないが。


「ここにいない軍団長のラルフとスヴェンだが、ハルムやボーグとともに、いまここに向かっている最中じゃ」


 第三陣のことを言っているのだろう。

 これでメラルダから紹介された重要人物は九名。メラルダを入れて十名となった。


 文官のミニシュとハルム。武官のラクテとボーグ。これらは竜族なので、通常は人型。戦いがあれば、竜に変身するのだろう。四人ともメラルダの副官だ。


 そして軍団長が五人。

 俺のよく知るダイルだけでなく、オーケとバルタサール。それにいま向かってきているラルフとスヴェンがいるらしい。


 これが将軍一人の戦力というのだから、参ってしまう。

 小魔王国ひとつくらい、この戦力だけで絶対に落とせる。


「それと俺の国に向かった部隊か」

 どんな部隊が派遣されたのか知らないが、かなり希望が持てそうだ。


「それで早速じゃが、ゴーラン隊の配置を換えることにしたい」

「配置換えですか。……こちらは構いませんけど、どうなるのでしょうか」


「うむ。もともとお主らは、我とともに本陣にいてもらう予定であった。じゃが、陣容を考えた場合、おぬしたちにはこの場所にいた方がよいと思ってな」


 メラルダが指したのは本陣の先だった。


「俺は別段構いませんよ」


「そうか。ダイルもここに配属するので、この地で訓練をするとよい。後からくるラルフとスヴェンの隊には前線にいってもらうつもりであったので、これで陣が完成するな」


 メラルダの作戦図には、三つ叉の矛のように部隊を配置している図が描かれていた。


 前線には三部隊。オーケとラルフとスヴェンの名が記されている。

 矛で言うならば、三つ叉の先の部分だ。


 俺やダイルがいるのは、柄と矛がひとつに合わさった場所だ。


 そして本陣は、持ち手の部分だろうか。

 ここにはメラルダの他に、バルタサールの名がある。これが軍団長五人の配置だ。


 俺はダイルから基礎訓練を受けることになっているので、そこに配置されたのだろうと思っている。


 本陣だろうが、そのひとつ前だろうが、あまり関係ない。


「すでにオーケは前線に向かう準備を終えておってな、後から来るラルフとスヴェンもそのつもりで、訓練してからこっちに向かってきておる。色々考えた結果、ゴーランたちには、ここに行ってもらうことになったのじゃ」


 説明はいいから「ここへ行け」と言われれば向かうのに吝かでない。

 わざわざ確認をとったのは、やはり俺たちは客分だからだろうか。


 そういう気を遣わねばならない部隊があると、大変だろう。

 たとえば、メラルダの部下とか不満を持つのではなかろうか。


「まったく、話を真に受けて、本当にやってくるのだから、始末に困る」

 突然、バルタサールが吐き捨てるように呟いた。


「……ん?」




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