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【書籍化、コミカライズ】転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~  作者: 鳥助
第四章 新しい手と豊かな生活

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110.冬のはじまり(4)

 家に帰ってきた私がまずやるべきことは、家畜を小屋に戻すこと。運動スペースに向かうと、牛のモモはのんびり歩いていて、鶏たちものんびりと歩いていた。


「モモ、ただいま。さぁ、小屋に戻るよ」

「モー」


 モモに近づいて首を撫でると気持ちよさそうにしてくれる。それから体を牛舎の方向に押すと分かってくれたのか、ゆっくりと牛舎に向かって歩いてくれた。そのまま体に手を添えながら、モモを牛舎の中に入れる。


 定位置のスペースの遮っている閂を取り、中にモモを入れる。モモはいつものことなので、慣れたようにそのスペースの中へと入っていった。モモが入ると、閂をして終わりだ。


「じゃあね、モモ。ゆっくりおやすみ」

「モー」


 モモに言葉をかけると、牛舎を出て扉を閉める。モモが終われば、次は鶏たちだ。鶏たちの運動スペースに入ると、散らばったみんなを捕まえに歩く。


 一羽を捕まえると、小脇に挟む。もう一羽を捕まえると、反対側の小脇に挟む。残った鶏は挟めないので、後ろから追い立てて鶏小屋の中へと入れる。そうやって全ての鶏を鶏小屋に入れることが出来た。


「コッコッコッ」

「今日も沢山動いたね。じゃあ、ゆっくりおやすみ」


 声をかけて鶏小屋を離れた。その頃になると、すでに辺りが薄暗くなり始めている。冬は日が出ている時間が短いから、活動時間も限られていて大変だ。良く考えて行動しないと、時間が足りなくなってしまう。


 家畜を小屋に戻した後は夕食の準備に取り掛かる。でも、その前に家の中を温めるのが先決だ。家の中に入り、コートをクローゼットにかけると、今度は暖炉へと向かう。


 暖炉には昨日消したままの炭や薪の残りがある。暖炉の横に置いておいた、チリトリと箒を使って炭と薪の残りを片づける。それらは外にある穴の中に入れておいて、後日火魔法で燃やしつくす予定だ。


 それが終わって、ようやく暖炉に薪を積める。いい感じに薪を重ねると、今度は火を点ける。


「火魔法」


 弱い火魔法を使って薪に火を点ける。乾いた薪はすぐに着火して燃え始めた。これで放置をすれば、段々と家の中が温かくなるはずだ。二人が帰ってくる前に家の中が温かくなるといいな。


 暖炉に火を点けると次は夕食の準備だ。今日のメニューはコンソメスープと鳥の香草焼きだ。鳥は昨日から下味をつけているから、後は焼くだけだ。今日はコンソメスープを美味しく作ろうと思う。


 キッチンカウンターにまな板、包丁、木の器、大きな鍋を出して置く。冷蔵庫の隣に置いてあるマジックバッグ化した食料保管庫から野菜、骨付き肉、香草を取り出して、キッチンカウンターに置く。


 それから、野菜の皮を剥き、ざく切りにして大きな鍋の中に入れる。骨付き肉は湯通しが必要だ、だから木の器に水を張り、今日習ったばかりの発熱の魔法で熱いお湯に変える。


 湯気が立つくらい熱いお湯に変えると、その中に骨付き肉を入れて表面を白色に変化させる。これで雑味がコンソメスープに移らないはずだ。湯通しした骨付き肉を香草と一緒にお鍋の中に入れる。


 そのお鍋の中を水魔法で水で満たして塩で味をつける、これで材料が揃った、後はひたすら煮るだけだ。かまどに火の点いた薪を入れると、かまどの上に鍋を置いて煮立たせていく。だけど、コンソメスープを作るには時間が足りない、そこで時空間魔法だ。


 かまどと鍋に時空間魔法の時間加速をかける。十倍速くらいの速度になるように魔法をかけた。すると、鍋の中がみるみる変化をしていく。弱火でクツクツと煮立っている光景を早送りで見ている感覚だ。


 その途中、魔法を止めてアクを取ることも忘れない。十倍速にして煮立たせ、途中で止めてアクを取る。その繰り返しをしていくと、透明だった水が段々黄金色に変化していく。


 入っていた水がほぼ半分くらいまで減ると時間加速の魔法を止めた、コンソメスープの出来上がりだ。棚から小皿と匙を持ってくると、コンソメスープを匙ですくって皿に少しだけ入れた。息を吹きかけて少し冷ますと、コンソメスープを味見してみる。


「うん、美味しい!」


 とても美味しいコンソメスープが出来た。魔法のお陰で短時間でこんなに美味しいコンソメスープが出来るって凄いよね。時空間魔法、本当に便利でいい魔法だなぁ。


 スープは完成したけど、料理としてはまだ完成していない。お腹を減らして帰ってくる二人にとって、スープだけじゃ物足りないだろう。だから、このスープに食べられる野菜を入れてもう一度煮立たせるつもりだ。


 まずは木の器に布を被せ、その上から出来立てのコンソメスープを濾す。どろどろに溶け切った野菜、もろくなった骨付き肉、形の変わらない香草を取り除く。そして、濾し終わったコンソメスープを再び鍋の中に戻した。


 鍋を火の点いていないかまどに置いておくと、今度は具材の準備だ。食糧保管庫に保存してある野菜と肉を取り出して、キッチンカウンターの上に並べる。並べたら野菜は皮を剥いて小さく切り分け、肉も小さく切り分ける。


 次に鍋に入れる前に、切り分けた肉を湯通しする。先ほどの湯通ししたお湯を再度温め直し、網ですくったお肉を軽くくぐらせた。それから切った野菜とお肉をコンソメスープの中に入れ、火が点いているかまどに移動させて煮立たせる。


 ここでも時空間魔法の時間加速を使い、素早く野菜と肉を柔らかくする。ものの数分で数十分煮込んだような柔らかさになった。これでようやく具入りコンソメスープの完成だ。


 棚から皿、すりこぎ、胡椒入りの瓶を取り出し、皿に熱々のコンソメスープを注ぎ入れる。次にすりこぎを使って、胡椒を潰して、コンソメスープに振りかける。これをテーブルに並べて、時空間魔法の時間停止をかければ一品の完成。


 かなり手間だったけど、二人とも満足してくれるかな。満足してくれたら嬉しいな。さて、まず先に後片づけをしないとね。


 木の器に入った湯通しに使ったお湯、野菜の皮の二つを魔動力で浮かせながら外へと出る。外に行き、穴にこれらの物を入れておく。明日にでも、焼却処分するつもりだ。


 家の中に戻り使った調理具を洗浄魔法で綺麗にして元の位置に戻す。次の料理に取り掛かるその前に、石窯に火の点いた薪を入れて、中の温度を上げておく。次、やることはパンではなくて、鳥の香草焼きだ。


 棚から鍛冶屋で作ってもらった鉄板を取り出して、キッチンカウンターの上に置く。その鉄板の上に昨日から下味を付けていた鳥の骨付き肉を食料保管庫から取り出す。その鶏肉を鉄板の上に並べると、石窯の中に入れて鉄扉を閉める。


 弱火でじっくり焼きたいけれど、二人が帰ってくるまでそんなに時間がない。だから、時空間魔法の時間加速を石窯にかける。目には見えないが時間が加速されて、急激に鶏肉の焼けた匂いが漂ってきた。


 焦げ付かない微妙な香ばしさを感じると、時間加速を止める。そして、鉄扉を開けて中を見てみると、鳥の香草焼きが上手に焼き上がっていた。魔動力で鉄板を取り、キッチンカウンターに置く。とっても美味しそうな焦げ目のついた鶏肉の香草焼きの完成だ。


 棚からトングと皿を持ってきて、トングで鶏肉を掴んで皿に盛り付ける。その皿をダイニングテーブルに並べると、時間停止の魔法をかけた。これで、食べる時には焼きたての鶏肉の香草焼きが食べられる。


 使い終わったトングを洗浄魔法で綺麗にして、定位置に戻す。熱せられた鉄板は洗浄魔法をかけて綺麗にした後、錬金術の魔法で教えられた冷却の魔法で冷やしておく。


 石窯に火の点いた薪を足しておき、鉄扉を閉めて石窯の温度を上げておく。次は最後のパン焼きだ。二人が帰ってくる前に、パンを作ってしまおう。

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― 新着の感想 ―
[一言] どうして暖炉に残っている炭や燃えさしを捨ててしまうのでしょう。炭や燃えさしがあれば火を付けやすいのに。おまけにもったいないし。 以前に働いていた邸宅では見栄えだけのために毎日新しい薪を燃やし…
[一言] 体調不良が治ったようで何よりです。 少し遅いですが書籍化決定おめでとうございます。 人間エアコンが出来上がったから男爵様の手篭め(専属従者)にされたりして。 実際、ノアちゃんはかなり便利な…
[一言] 時空間魔法の活用で数日掛かりの下拵えや下準備もお手軽便利な時短調理に早変わり。半端ない便利感が料理で発揮されている…
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