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第28話  デビュー戦

「俺よりちびがいんだな。おーい、ちーびー、ちーびー」


 プツンと、何かが切れる音がした。あれ?ナニイッテンノ。この糞ガキ絶対ゆるさねえ。


「各チームのキャプテン集まってくれ」


 主審の言葉で冷静さを取り戻し、指示に従い両チームの主将が集まった。


 先ほどから31番、ばんそうこ鼻に貼るマンが騒いでいるが無視だ。


 相手チームのキャプテンは実に肩身を狭そうにしている。


 俺は無表情で表を選び主審がコイントスを行う。裏が出たので、相手チームが攻めるピッチを選び、浦和がキックオフになった。


 未来では国際サッカー評議会によって、コイントスで当てた方がピッチを選びキックオフを得る権利が追加されるが、今はまだない。


 主審との挨拶も終わり解散した。


 軽く数回ジャンプして体のバランスを整える。


 武者震いや精神的興奮も全て収まり頭はかなり冷えた。しかし体は爆発寸前の風船みたく試合を始めろと主張している。


 8人制ではキックオフ直後のシュートが禁止されていることが悔しい。早く、始まれ。


『ピっ!』


 試合が始まった。早く敵陣に仕掛けたいが、一度戻す。ボールを自陣で回し、皆の緊張をほぐし試合モードに入ってもらうためだ。


 皆ボールを貰っても慌てず顔を上げて周りをよく見ている。簡単に見えるこのルックアップが中々難しいのだ。


 相手が詰めてきたとしても的確でハイスピードなパスは、プレッシャーをかけてくる相手選手の努力を嘲笑うかのようにどんどん回っていく。


 蹴る、運ぶ、止めるの基本技術が違いすぎる。


 今日はチーム全体のキレがとてもいいな。初戦は一番躓きやすい。番狂わせが起きやすい試合だ。


 順調な立ち上がりをみせてくれて少しキャプテンとしての肩の荷が下りる。


「ケイ!」


 ボールを早速返してくる上級生。吸い付くようなトラップで止め、すぐに前を向き【空間把握】と首振りで周辺を把握。


 敵陣に一番近い場所にいた俺はすぐに詰めてきた相手選手をダブルタッチで置き去りにする。


 幼少期から鍛え上げた瞬発力と【精密操作】で作り上げた最適な動作移動を行い一瞬でトップスピードに移行。


「ケイ、おま...まじか...」


 独走を試合でもやるのかよと苦笑を隠せない先輩方が必死に付いてくる。ごめんなさい。個人技大好きなんです。


 それにしてもまだこの感覚になれない。進化したからこそはっきりと実感する【スキル】補正の偉大さ。


 自分の器用値が劇的に向上したのが顕著に分かる。もしもステータスに能力値の数値が表記されていたら、前の1.5倍はあるだろう。


 最初は精神的に狂いそうだった。進化した補正値があまりにも今までの感覚と掛け離れていたからだ。


 今までとは全くの別世界。補正(大)は確実に人間の限界に迫る器用値を与えてくれた。


 ミリ単位でしか変わらないサッカーボールの違いを見分けられる感覚と言えば分かりやすいだろうか。


 俺のパフォーマンスの根幹を担う【スキル】の効果を実感しながら、クラブで叩き込まれた戦術を完全に無視しトップスピードのままボールを支配。


 相手チームはそのまま個人で突っ込んでくるとは思わず一瞬狼狽えるがすぐに切り替え対応。


 DFが詰めてくる。緊張が張り付いた表情を浮かべる相手選手。


 それをみてニヤリと顔を歪めてしまう。強者の雰囲気を出せるようになったことが嬉しいからだ。


 成長した【理解】が発動し、相手選手の重心の傾きを理解。裏にボールを出しアジリティの暴力で回収。そのまま突っ走る。


 俺を掴もうとしてくるが全く触れさせない。


 ペナルティエリアまで後5メートル。勢いを乗せ脚を振りボールの軸に当てる。


 軸に当てつつ、ボールの点を外すイメージでずれたスイング方向に蹴り抜く。


 一定の速度以上でしか変化しないサッカーボール。ボールの中心2cm以内でなくては最大速度の七割しかでない。


 全体重を乗せ、【精密操作】で2cmの範囲内に足根骨を当て、軸足で踏ん張り抜く。


 ボールは小学生の脚力では鋭過ぎる曲がりを見せ、ネットに派手な音を立てながら入った。


 GKは一歩も動けずに硬直したまま唖然。


 それもそのはずだ。GKから見ると完全に明後日の方向に飛んだはずのボールがなぜか抉るような角度で戻り、枠の右上に刺さったからだ。


 全身に血液が沸騰する。歓喜の感情が溢れ、思わずガッツポーズをしてしまった。


 公式戦初ゴールだ。ありえない話だが一人だったら泣いていただろう。


 待機している他チームからどよめきが湧く。


「なんだよあのキック!あんなやばい奴浦和にいたか?」


「見たことねぇよ。去年はいなかった。てことは....4年生か。怪物だな」


「おいおい、お前らの目は節穴か。一番やばいのはあいつの基礎技術だ。あの神トラップまじぱねぇって」


「ああ、やばいな。天才が努力しましたってやつだ」


 また監督陣や大会運営関係者ですら度肝を抜かれた。目玉を大きく開いて驚愕している。


 スーツを着たおじさん達が席から勢いよく立ち上がり慌てて電話をかけはじめた。


 あれ....なんでこんなに見えてるんだろうか。


 情報がピックアップされて次々と入ってくる。まるで3Dのように。


 今日は【ゾーン】発動を除くと一番調子がよさそうだ。


「....入ってる?」


 と言った瞬間視界がシャボン玉が弾けたように元どおりになる。


 自然と口を開き、


「決めたぞぉぉぉおおおお!!!!!」


「「おーー!!ナイスゴール!!」」


 チームメイトにもみくちゃにされながら雄叫びをあげた。たかが1点で何を大袈裟なと思うかもしれない。


 しかし俺にとって、二宮ケイにとっての本当の意味での最初の第一歩だ。


 前世の弱い佐藤駆とは完全に決別した。


 同じ俺だが、やはりまだ何処かでひ弱なダメダメ君を今世の二宮ケイに投影していたのだろう。自信がなく何かに追われるように練習に打ち込んでいた。


 少しは自信が付いたかな。


 それから試合は一進一退ということもなく、一方的な展開で終了。


 監督いわく交代させる予定だった筈だが最後までプレイさせてくれた。


 なぜだろう。


 斎藤監督はどっかの園長先生のキャピキャピな雰囲気を出しながら褒めてくれた。でも少し怖かったな。


 目の隈と合わさって不気味すぎる。........園長先生元気にしてるかな。


 前半と後半合わせてフルで出場した試合結果は11対0で終了。


 そして前半6点、全てを個人技でゴールした俺は先輩方から仕事させろ!と半ギレの先輩に謝罪して、後半からはバンバンアシストを量産し試合を完全に支配。


 結果は6ゴール5アシスト、全ての得点に絡んだ。


 単純計算で約3分で1点取っている計算だ。かなり頭がおかしい。


 確証はないが【スキル】に頼らず初めてゾーンに入ったと思う。


 自前のゾーンは圧倒的な集中が切れた後もかなりの高集中状態が続いていた。一点集中はすぐに切れたが、持続して高い集中状態を試合中キープしていた。


【スキル】で発動されるゾーンは効果が切れたら疲れが一気に来るが、やはり10分間も一点集中が続くのは神様がくれた能力だけあって悪魔的な出力だ。


「お疲れ様。今日も安定の無双っぷりだったねケイ君」


「ありがとうジュン。しっかりボールをくれる先輩方のおかげだよ」


「二宮ナイスだ!見たかあのお偉いさん方の驚きよう!最高だ二宮!!!!」


「か、監督どうしたんですか。さっきかららしくないですよ。お、落ち着いてください」


 流石に鬱陶しいとは言えず、苦言だ。


「ふふふふ。二宮!見たかあのジジイたちの驚きよう。あいつらは浦和のことを全く信じなかったんだ。何が大袈裟だよ!」


 へ?ジジイって誰だよ.....俺が知らないところで広めないでください...。


 よし、今のは聞かなかった事にしよう。一応契約違反になるのだが。勝手に俺のことを広めるのは....。


「はぁ...疲れたので涼んできます」


 ◆◆◆◆◆◆◆


 とある外国人


『おいおい、この世代はどうなってやがる。これで5人目だ』


『本当に....身長は低いが技術力はプロ級、瞬発力に至ってはこのサッカー黄金期の中でも世代随一速いな』


『観光ついでの発掘だったが、まさかこんな島国に鬼才がいるとは』


『動画しっかりとったか?』


『ああ、バッチリだ。それにしても楽しみだ。10年後のサッカー界は彼を中心に荒れるぞ』


『そうだ。10代で神童、20代で凡人を数え切れない程見てきた。同じ道を歩むなよ、島国の少年よ』


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― 新着の感想 ―
[一言] 島国の少年よ 痛い、セリフが痛い でもこのあとの展開にワクワクする! (っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
[良い点] 更新待ってます
[良い点] 試合描写のリアリティが高く、転生サッカー作品としては勿論、純粋なサッカー作品としても楽しめました。 転生物の四苦八苦しながら生き直すという部分に、サッカーというスポーツの溢れ出す魅力。 転…
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