15話 姫との再会
複座戦闘器が出来てから姫が気に入ったのか今までよりも基地に来る頻度が増えてきた。
しかし僕は操縦してるから会う事もないし、色々気付かれたくないことも有るので姫には近づかないように気を付けていたのだが……。
ある日訓練から戻ってきて基地で休憩してたら姫が来た。
「確かカケル君だったよね。久しぶり。前に言ってた複座はどう?例えば私を乗せて飛ぶとかは出来そう?」
僕は答えに困って言った
「あの、えっと、軍の機密になりそうなのでここでは答えられません」
「そうなの?でもいつも飛行訓練とか私見学してたのだから大丈夫だと思うのだけれど」
僕は困ったので姫の護衛の方に目線で何とかして!助けて!と頑張ってみたが、伝わらなかったのか横を向かれた……。
そうだこういう時は
「隊長に聞いてください!」
良い笑顔で答えておいた。
その日はそれで解放されたが、後日飛行訓練の時姫が来て
「私も飛びたい!」と無茶を言ってきた。
「それは出来ません」と答えたが、姫は
「昔、もし飛べるなら一緒に飛ぼうって約束したじゃない!」
と言ってきた。確かに子供の時にした。でも小さい時の話だ
「そんな10年以上前の事言われても……」
と言った時に気付いた。エナガ姫が笑顔だったことに。
「やはり昔に会った事が有るのね。そうじゃないかと思っていたのよ」
「あの時とは住んでる場所も立場も違います。それとこの事は誰にも言わないで下さい」
「私は黙ってるけど、後ろの人は良いの?」
後ろには西宮が居たが彼は
「言いたくない事は黙っておくよ」と言ってくれた。
その後訓練も終わり基地に戻ったが西宮にだけは僕の過去を話しておいた。
昔貴族の家に生まれた事、兄が居て僕が魔法が使えないから養子に出されたこと。厳密に言うと今でも下級貴族である事……など。
西宮は驚いていたが、僕が今まで通りにして欲しいと言うと少しぎこちないがほとんどいつも通りの対応をしてくれた。
しかし次の訓練時に体験飛行として隊長と飛ぶことになったのは驚いた。
準備も終わったので
「97試複座戦準備終わりました」と無線で言うと隊長が
「97複座で良くないか?」と言ってきた……確かに楽だけど……。
「こちら基地97複座了解!離陸許可します」
「こちらカケル。離陸します!」
離陸が始まると隊長は驚いていた。
「思ったより衝撃凄いんだな、これに姫にはキツイだろ」
僕は思わず隊長に聞いた
「いや、あの、姫乗せる気だったのですか?」
「あれだけ乗りたがってて安全なら1度位はな……」
いや絶対1度では終わらないだろ……
今後の展開の参考にもなりますので評価、感想など頂けると助かります。
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