表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/636

第98話 新しい拠点に向かう

 俺達がマンションを出て外のバスの所に行くと、タケルが驚いた顔で俺に聞いて来た。


「ヒカル! なんでだ? なんでだよ!」


 タケルの視線が俺の新しいバイクにむいている。


「実はな。タケルと一緒に回収したあのバイク、銃撃を受けて爆発したんだ。その後、ここに向かう途中の店の中でこれを見つけてな」


「アプリ〇アRSV4、じゃねえか」


「凄いな! タケルは一発でこれが何か分かるのか」


 俺は感心してしまう。


「まあバイクの事ならな」


「一番いいかと思ってこれにしたんだ」


「ヒカルは、ほんっとに見る目あるよな。こりゃ高いバイクなんだ。外車だし」


「ガイシャ?」


「日本のバイクじゃない」


「それで、これはタケルから見てどうなんだ?」


「聞くまでもねえよ。最高だろ、こんな高級車」


「高いのか」


「ああ」


 今のタケルの言葉で俺は大満足だった。どうやらいい奴を選んだらしい。


 するとユミが声をかけて来た。


「ほらほら! バイクは後でゆっくり見ればいいでしょ!」


「すまない。そうだな」


 俺がバイクにまたがると、タケルも俺について来た。


「乗せてくれるんだろ?」


「もちろんだ」


 そしてタケルが振り向いてヤマザキに言う。


「バイクのテールを追って来るといい!」


「了解だ」


 そして俺達はバスを引き連れて、新宿の拠点に向かっていくのだった。相変わらず都心部にゾンビは多いが、俺がバイクで避けた後をバスが引きつぶしていく。ニ十分もすると拠点にしているホテルが見えて来た。ホテルの前にバスを乗り付けると、こちらに向かってゾンビが来たので全て飛空円斬で斬る。


「急ごう」


 すると皆が大きくため息をついた。


「どうした?」


 ユミが呟く。


「ここを登るのかあ…」


 するとヤマザキが言った。


「若いんだから行けるだろう」


 するとマナも言う。


「五十階あるんだよ。まあ生きる為だから仕方ないけど」


 なるほど、ここを登るのは皆にとってはキツイらしい。俺は皆に言う。


「皆はここで待ってるか?」


 するとミナミが手を振りながら慌てたように言う。


「無理無理無理無理! ここで待つくらいなら、一緒に登るよ! とにかく武器は回収しないと!」


「そうか」


 するとアオイがひしっと俺にしがみついて来た。


「わたしも一緒に行く!」


 それにつられたようにミオも言った。


「私も!」


 結局、全員がついてくる事となった。バスの中に潜んでいればゾンビは気が付かないと思うが、皆はここで待つのが嫌らしい。正面の入り口から入り、皆が遅れないように進んで五十一階まで三十分近くかかった。


「太ももがぁ!」

「私も! パンパン!」

「しんど!」

「だるぅー!」

「息が…」

「もう無理」


 女達が口々に弱音を吐いている。タケルは特に何も思っていないようだが、ヤマザキも自分の太ももをさすっていた。


 俺が言う。


「少し休むとしよう」


 ユリナが言った。


「良かったぁ…、このまま運んだら転びそう」


 それに俺が答える。


「そもそも何か食べないといかんだろう」


「そうだね。お腹減った!」


 皆も手を上げている。五十二階の居住区に上り、皆で食事の用意をすることにした。


 するとマナが言う。


「あーあ。このスイートルームは快適だったなあ」


 それにツバサが答えた。


「仕方がないよ。あんなヘリコプターが来たら危ないもん」


 俺は窓辺に行って外を見る。もちろん暗いが、俺にははっきりと見て取れた。


「高いビルなら安全だと思ったんだがな」


「ゾンビ相手にはね」


「だな」


 ゆっくりと食事をとり、俺が周りを見渡すと皆ウトウトし始めていた。朝に温泉に出かけて、夜まで緊張の連続だった。恐らくは疲労が蓄積しているのだろう。


 体力自慢のタケルですらコクリコクリとし始めた。


「仕方がない」


 俺は皆をそこに置いて武器の運搬の準備を始める。日本刀は漏らさず持って行った方が良いだろう。銃も次々に空いた米の袋に放り込んでいく。日本刀は丁寧に扱ったが、銃の扱い方法が良く分からない。


 そして次に、米が入った袋をまとめ三日ほどの食材を一か所にまとめた。一時間ほど荷造り作業をして俺は皆がいる部屋に戻る。


 するとミオがこちらに顔を向けて言った。


「ごめんヒカル! 寝ちゃってた」


「問題ない」


 ミオの大きな声に皆が起きだす。そして口々に俺に謝って来た。


「いや。謝罪の必要はない、間もなく出ようと思うがどうかな?」


 俺が聞くとミナミが言った。


「もちろん! ここは危ないもんね」


「まあ…夜の間に襲撃される可能性は少ないかもしれんが、既にヘリコプターを二機撃墜してしまったからな。明日の朝日が昇れば捜索隊が動くかもしれん」


 タケルが大きな声を出して言った。


「よし! 皆、もうひと踏ん張りだ! 頑張ろう!」


 すぐに俺が荷物をまとめた部屋に皆を連れて行く。そこで皆に告げた。


「皆は持てる分だけ持てばいい。階段を降りる事を想定して無理はするな、残りは全て俺が持って行く」


 ユミが言った。


「え? 一回で持って行くの?」


「もちろんだ、時間をかければそれだけ皆を危険にさらす」


 するとヤマザキが言った。


「皆も少しだけ頑張った方が良い。持てるだけ持ってみよ! だが無理してはダメだ」


 皆は重い荷物を自分で持てるだけ持った。重い銃が入った袋はタケルとヤマザキが手分けして持つ。女達は食料を持ってくれた。


「よし」


 俺は日本刀全部と米が入った袋を五袋を抱える。俺が皆の前に進むと、皆が後ろをついて来た。

 ヤマザキが俺の隣りに来て言う。


「ゾンビが出たら銃でやるからヒカルは集中してくれ」


「わかった」


 俺達が階段を下りて行くと、下層にわざと残していたゾンビ達がこちらに向かって来た。それをヤマザキが撃つ。


「上手くなってきたな」


 俺が言うとヤマザキが笑った。そして一階にたどり着いた。


「よし! 皆荷物を降ろしていいぞ!」


「ふうっ」

「きっついね」

「息が切れる」


 女達がしゃがみ込み肩で息をしている。するとタケルが言った。


「みんなちょっと運動不足だって。次の拠点行ったら鍛えた方が良い」


「「「「「はーい」」」」」」


 俺はその場を皆に任せ、ホテルの玄関から外に出て動いているゾンビを全て消滅させた。気配探知で周囲を確認するが、近くにゾンビはいなくなった。


「よし! バスに積み込もう!」


 皆が荷物を持ってバスに乗り込んでいく。銃や日本刀、米も全てバスに積み込んだ。


 するとタケルが言う。


「ヒカル! 地下のリムジンはどうするんだ?」


「置いて行く」


「わかった」


 俺達がそう話していると、ヤマザキが俺達に言って来た。


「ここから国会は近いんだ、ニ十分もかからん。ヒカルならいつでも取りに来れるさ」


 するとタケルがそれに答えた。


「まあ、ヒカルに車は運転させねえほうが良いけどな」


「まあ、その時はタケルについて来てもらうさ」


 場所が分かると言う事でミナミが俺の後ろに座った。俺達は再びバイクとバスに乗り込んで、目的地に向かって進んでいくのだった。十分ほど走っていると、以前ヤマザキと視察に来た赤坂御所が見えて来た。それを通り過ぎて先に進む。


「このあたりは前に来た」


 俺が言うとミナミが答えた。


「ふふっ、ヒカルと国会図書館に行けるなんて嬉しい」


 ミナミが俺の腰に回した腕にグッと力を入れた。そして間もなく俺達は目的の国会図書館にたどり着く。新宿とは違ってかなり見通しが良い。ここなら敵が来てもすぐに察知できそうだ。


「随分見通しが良い場所だな」


「ゾンビもいるね」


「それは問題ない」


 バスが到着したので、俺はすぐさま視界に見えているゾンビを全て斬った。皆がバスを降りて来て、これからの俺達の拠点となる国立図書館を見上げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ