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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第二章 東京

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第79話 幕張支部壊滅

 人間の気配を探知しつつ、館内の全てを周って盗賊を殺してまわる。それから一時間ほどで、建物周辺と館内の人間の気配は全て消えた。そして俺は最後の幹部がいる部屋へと向かう。


 その部屋には明かりが灯り、中からは気分が良くなったような男達の声が聞こえる。


「まあ、お前達がこうして美味い物が食えているのは、俺達のおかげだな」


「はい」


 どうやら幹部が下の者に対して話をしているようだ。


「孝臣も偉くなったよな?」


「いえ、牛頭さん! 俺なんかまだまだですよ」


「もっと組織の為に頑張れよ。そうすればもっと上の地位が貰えるだろ」


「ホントっすかね?」


「そうですよねぇ! 京崎さん!」


「まあな、精進して組織の為に働け。そうすれば良い暮らしができる」


「へい!」


 かなり上機嫌のようだ。部屋の中には五人がいて、幹部の接待をしているようだ。下っ端の男が口を開いた。


「そういえば。報告が上がっている、ゾンビ回収班の件ですが」


「あっ? 酒の席でなんだぁ?」


「す、すみません!」


 だが上の男が言った。


「そう言えば、二班ほどドジを踏んだんだってな?」


「は、はい! 帰ってこないんです」


 するとタカオミと呼ばれる奴が言った。


「ゴズさん。もしかして、ずらかったんじゃないですかね?」


「なにぃ? もしそうだったとしたらただじゃおかねえ」


 ゴズという男が凄む。


「ですよね。だけどそんな事をする奴らじゃなかったと思うんっすよね?」


「ならゾンビにやられたんだろ?」


「ゾンビですかね? アイツらはそんな東京の奥まで入っちまったんでしょうか?」


「都心部のゾンビが外に流れたか、もしくは交通事故にでもあったか」


 するとキョウザキと呼ばれる幹部が言う。


「調査隊を出すしかねえか…」


「助けに行く感じっすか?」


「助け? そんな事はしない。だが、銃と護送車は貴重だからな」


「そうですよね?」


「調達するなら、自衛隊基地か米軍基地ですもんね」


「そんな事してみろ戦争になっちまう」


「まあ、そうっすね」


 盗賊にも複雑な事情はあるようだが、俺には関係のない事だった。それよりも都心部に調査隊など出されたくはなかった。仲間を危険にさらす事は出来ない。


 そして話を変えるように下っ端の男が言った。


「それにしても、アイツら飯作ったままどこに行った?」

「だよな。一緒に作ってたのに」


 するとタカオミが言う。


「サボりか? 許せねえな。もしサボりなら、ゾンビの餌だな」


 それに対し慌てたように下っ端が言う。


「そういう奴じゃないと思うんで、見て来ますよ! ションべんかも!」


「馬鹿野郎! そんななげえション便があるか!」


「す、すみません!」


「連れて来い!」


 そして男が一人こっちの方に歩いて来た。扉を開けたので、俺はそのまま口を押えて短刀で殺す。音をたてないようにそこに寝かせた。


「おい! 閉めてけよ!」


 タカオミが怒鳴る。


「すみません! 閉めてきます!」


 もう一人の下っ端がこっちに来たので、そいつも口を塞いで殺した。もちろん扉は開いたままだ。


「おい! なにやってんだ!」


 中からタカオミが怒鳴って来る。俺は無造作にその扉を開けて中に入って行った。そして部屋の明るみに出る。


「な、なんだ! お前!」


 タカオミが焦って言う。するとゴズとキョウザキもこっちを見た。


「幕張にゃ、ブランド男なんていんのか? 孝臣どんな教育してんだ?」


「いや。俺はこいつを知らないっす」


「新入りか?」


 スッと、俺が日本刀を出した。それを見た男達は一気にピリつく。


「てめえ!」


 タカオミが懐から短い刀を取り出して、俺に向かって構える。だがまったくなっておらず、そんな構えで俺を殺そうとでもしているらしい。


「殺せ」


 キョウザキが言うと、タカオミは短刀を腰に構えて突っ込んで来た。次の瞬間タカオミの両腕の肘から先が消える。


「うっぎゃあぁぁぁぁ」


 タカオミが倒れたので、俺は首を斬り落とした。


「なんだぁ!」


 ゴズとキョウザキが自分のスーツの下から、銃を取り出して俺に構えようとするが俺はすぐにゴズに近づき、首の下から脳天にかけて刀を突き刺す。血を噴き出させながら、力が抜けていくゴズの体をキョウザキに向けて投げ飛ばした。


「ぐえ!」


 そして俺はすぐに、ゴズの死体ごとキョウザキを踏みつける。


「ぐぅ!」


 そして俺はキョウザキに聞いた。


「お前は千葉の空港を襲撃した犯人か?」


「なっ」


すぐに答えないので、剣を太ももに刺した。


「ぐああ」


「お前は千葉の空港を襲撃した犯人か?」


「なんだ? てめえは何なんだ! おい! 誰か! 誰か来てくれ!」


 キョウザキが大声を出して助けを求めている。


「無駄だ。館内に生きている人間は居ない」


「なっ、何言ってんだ?」


「俺が殺した」


「ぜ、全員?」


「そうだ」


 そして俺はもう一度聞く。


「お前は千葉の空港を襲撃した犯人か?」


「千葉の計画は知らん! 俺は横浜から来たんだ!」


「千葉の空港を襲撃したヤツの名は?」


「わからん。千葉支部の内容はよくわからん!」


「なら死ね」


「まてまて!」


 そして俺はキョウザキの顔を見て言う。


「千葉支部の頭は誰だ?」


「九鬼さんだ! おまえ! こんなことしたら九鬼さんに殺されるぞ!」


「クキ?」


「そうだ。元は自衛隊の特殊作戦群ってやつだ。特殊部隊だよ!」


「トクシュブタイ?」


「そうだ。そんなヤッパ一つで敵う相手じゃねえぞ!」


 どうやら日本刀の事をヤッパと呼んでいるらしい。


「なんだ? 俺を銃で倒せると思っているのか?」


「ああ、銃や発破のエキスパートがいっぱいいるからな! お前なんか瞬殺だ」


 なるほど。空港を襲った集団のトップはそんな奴だったか。


「そいつはどこにいる?」


「今は遠征中だ。各方面に向かって勢力を広げているからな、作戦行動中は俺達は良く知らねえんだ!」


 キョウザキは嘘は言っていなかった。俺がキョウザキを冷たい目で見降ろす。するとその顔を見たキョウザキが叫んだ。


「つーかよ! すげえ腕っぷしだな! 俺の下で働かねえか? 美味い物も食い放題だし女も抱き放題だぜ! そして本部にも紹介してやるよ!」


 それを聞いた俺はもう一本の足を刺した。


「ぐぎゃぁぁぁぁ! この野郎! ぶっ殺してやる!」


「ほう、この状況でか?」


「クソ!」


 俺が足で抑えている下でキョウザキがもぞもぞともがく。だが俺は更に足に力を込めて、その動きを封じた。


「船はどこから来た?」


「クソガ! 誰がいうか! お前はどうせ殺される!」


「船はどこから来た?」


「うるせえ」


 答える気がないようなので、俺はキョウザキの頭に刀を突き立てる。するとキョウザキの体から力が抜けて大人しくなった。


「まずは帰るか…」


 そして俺はすぐにその部屋を出て、下の階の倉庫に向かった。そこにも遺体が転がっていたが、俺は物資に血がかからないように気を付けて殺していた。そこにある物資を車輪のついた台に乗せて運び始める。最初にここに入った時のトラックにそれを乗せて再び倉庫へ戻った。全ての物資をパンパンにトラックに詰め込む。


「さてと…」


 俺はトラックの運転席に座るが、一度も運転はした事が無かった。一通りタケルからやり方は教わっているが、とりあえず覚えている通りにエンジンをかけてみる。エンジンは普通にかかり、俺はタケルに教えてもらったようにギアを降ろした。


「そして…」


 俺がアクセルを踏むとトラックが前進し始める。念のため教えてもらった時のようにブレーキを踏むとトラックは止まった。


「よし」


 俺はそのままトラックをバリケードの方に向けて走らせていく。バリケードが見えて来て、そこには八人の銃を持った男が見張っていた。そしてそのバリケードの側にトラックを停める。


 男の一人が言った。


「あれ? 夜に出発の予定なんてあったっけ?」


「今日は無いはずだが」


 そう言って男達がこっちに近づいて来た。俺はトラックのドアを開けて降りた。


「何かあったか?」


 男が聞いて来たので俺が答える。


「ああ、どうやらこの物資はいらなくなったみたいだ」


 すると男達が顔を見合わせて言う。


「なにいってんだ? やっと入って来た物資だろ? 前線にでも持って行くのか?」


「そうだ」


「こんな時間から? 京崎さんの指示か?」


「いや違う。キョウザキは死んだ」


「なんだと! …お前…一体誰だ?」


 男の一人が聞いて来る。


「空港の仲間の仕返しに来た」


「撃て!」


 男の号令で全員が銃を構えるが、俺の飛空円斬により一瞬で真っ二つになる。


「よし」


 そして俺は、そのままトラックに戻りドアを閉めて出発させるのだった。

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