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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第653話 潜水艦の絶対隔離とゾンビ化していく敵兵

 俺の着水音に反応した試験体が、高速でこちらに迫ってくる。それは三体いて、クジラの頭に人間の顔が沢山埋まっていた。どうやら人間の脳を大量に埋め込んで、その頭脳を底上げしているようだ。その後ろには、物凄い数の触手のような物がついている。イカのバケモノのような試験体だった。


「出来損ないだな」


 海の中で俺を見つけた三体の試験体は、速度を上げガバリと口を開けた。そこにはサメのような牙が、膨大な数で生えている。


 バグン! と俺を噛み切ろうとするが、余裕で避ける。この試験体がもし分裂する種類ならば、倒し方を考えなければならない。そこで俺は、触手の足を一本だけ斬った。ピクピクと蠢いているが、そのまま浮かぶだけだった。


「分裂はしないか。だが、海を汚す事はできんな」


 俺に向かって、また突進して来たので、俺は剣を構えて待ち受ける。


「屍人斬! 波紋氷棺!」


 水中に波紋が広がっていき、試験体がその波紋の網に突進して来る。だが、網に捉われるようにして、動きを止め、その波紋が一気に縮小した。氷の小さな棺が出来上がり、それは海中へと深く沈んでいく。


「氷の棺で永久に眠れ」


 そして、残りの二体が同じ様に俺に突撃して来る。数十の人間の目が、俺を追っていた。


「何人犠牲にして作り上げた……」


 ゴオオオオ! と音を立てて近づく試験体に、再び剣技を放った。


「屍人斬! 波紋氷棺! 二連!」


 同じ様に波紋が広がり、収縮して試験体を封じ込め、氷の棺を作り上げて、また海に深く沈んでいく。


「よし」


 俺はすぐに気配感知で感じた、水中の人間達の方に泳いだ。すると、三隻の潜水艦が俺の視界に映る。


「いた……」


 とにかく、捕獲をする必要があった。


「まずは……」


 一隻の一番後方にとりつき、船尾を掴む。そしてそれを引いて、もう一隻に向かって泳いだ。すると、俺が掴んでいる潜水艦が、急に動力を動かして前に進もうとする。


「無駄な事だ」


 潜水艦が前に進もうとしたところで、俺は手で掴んだまま、そのまま反対方向へと引っ張っていった。もう一隻が動力をつけて動き出そうとするところだったが、その船尾も一緒に掴んで二隻を引っ張った。必死に前に進もうと、スクリューを回しているが意味はない。


 ザバア! と、水中から飛び出して、潜水艦を完全に浮上させる。船尾を空中に出すと、俺は剣技でスクリューを斬り落とす。


「冥王斬! 二連!」


 ザブゥンと水面に横たわるが、もう進むためのスクリューはどこにもない。


「水鏡絶海!」


 水面に巨大な水の鏡が立ち上がり、二隻の潜水艦を映し出した。鏡の前では、もう海とは隔離される。逃げようとしても、鏡が元に戻してしまう。案の定、潜水艦の中からゴムボートが出されて、乗組員が逃げようとするが、鏡に入った途端元に戻る。


「さて」


 もう一隻、全速力で逃げている潜水艦がいた。残りは異常事態に気が付いて、最高速で突進している。


「捕まえるか」


 そして俺は更に身体強化をかけて、潜水艦の三十倍のスピードで泳ぐ。あっという間に、全力で逃げる潜水艦に追いついた。とりあえず船尾を掴んで、逆に泳いで引っ張ると、また水上にめがけて泳いだ。同じ工程でスクリューを切り離し、水鏡絶海で閉じ込める。浮かび上がった、潜水艦の上に立ち手を振る。


「気づいたか」


 俺が待っていると、東からアメリカ軍の艦隊が見えてきた。俺は水中に飛び込み、一気に艦隊に向かって泳ぎ、水中から飛び出て甲板に乗る。そのまま、艦橋まで走って中に入った。


「潜水艦を捕えた。だがこの船は、あの鏡をこのまま越えられない。まずは、周辺を囲んでくれ」


 兵士が大声で言う。。


「艦長! ラッキーボーイです!」


「おお!」


 俺はもう一度、艦長に向かって言う。


「あの鏡を越えられない。まずは、艦隊で囲んでくれ」


「わかった」


 艦長は指示を出して、すぐに無線を繋げた。


「ミラー少将! ラッキーボーイが、本当にやってくれました。私は……おかしな話ですが、怖くて鳥肌がとまりません。目の前に不可解な巨大鏡に囲まれた、潜水艦が三隻ほど浮いています」


 すると艦長は、俺にヘッドセットをつけるように差し出してくる。


「ラッキーボーイ」


 ミラー少将だった。


「ああ」


「どういう状態だろうか?」


「あれは、核弾頭を阻止するためにした」


「ど、どのようになっているのだろう?」


「水中にいたのがよかった。水鏡絶海と言う技で、海から”切り離し”ている」


「海から……切り離す?」


「ミサイルを打っても、鏡に映ったところまでで、その先では現実に何もなくなる」


 俺の説明を聞いてミラーが絶句し、そこにいた兵隊たちも唖然としている。


「……ラッキーボーイ。船で、囲めばいいのだな」


「そうだ。潜水艦を囲んでくれ。水鏡絶海を解除する」


「わかった」


「まず二隻の方から」


 艦隊が潜水艦を囲み、砲塔を向けた。


「では! ラッキーボーイ! 鏡を!」


「わかった!」


 俺が水鏡絶海を解除すると、空中に固定されていた鏡がザブンと水に戻る。


「完全に包囲した! 撃沈されたくなければ、無駄な抵抗をやめろ!」


 兵隊たちも甲板の上から銃を構えて、威嚇をしていた。


 すると、その時だった。潜水艦の上が音を立てて開く。


「まずい! 核を撃つつもりだ!」


「問題ない」


 俺はすぐに潜水艦に飛び移り、開いた射出口を手で引っ張って締めた。見ていた兵隊たちは唖然としている。ゴムボートで逃げようとしていた奴らも、海に浮かびながら呆然としていた。


「無駄なあがきはやめろ。お前達はもう詰みだ」


 すぐに、船の方からも声がかかる。


「速やかに銃を捨てて投降しろ!」


 そいつらは、銃を捨てずに睨み続けているが、試験管のような物を取り出して、一斉に首に差し込んだのだった。


「なに……」


 次の瞬間、ゴムボートの兵士達が倒れてバタバタとし始める。そいつらは、次々にゾンビ化兵に変化しつつあるようだった。


「屍人、乱波斬!」


 ゴムボートごと全員を斬り殺し、俺は船に向かって言った。


「気を付けろ! こいつらは、自らゾンビになっている! 船に上げるなよ!」


 船の上の兵士達は銃を構えて、他のゴムボートに向けて発砲した。船の縁にやってきた船長に伝える。


「潜水艦の内部でも、同じことが起きているようだ。奴らは投降する気はない」


「なんという事だ」


「この二隻は、じきにゾンビ化兵で溢れる。船を離せ、こいつらはもう呼吸も必要ない」


「了解だ」


 そして俺の忠告通りに、アメリカ軍の艦隊は潜水艦から離れていくのだった。

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