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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第649話 サンディエゴ基地で伝説の海兵に会う

 サンディエゴ基地が見えてきたが、あちこちから煙を噴き上げていた。ゾンビが周辺に群がっていて、中にはゾンビの気配は見えない。どうやら、侵入を防いで、基地は壊滅を逃れたらしい。


「どうする?」


 デルが言い、クキが答える。


「問題は、どちら側かって事だな……」


 クキの問いに、俺が言う。


「いや、降りてみたら分るんじゃないか? 上からでは分からないが、攻撃はされていない」


「なるほどな。了解だ」


 俺たちが、抵抗も無く着陸すると軍人が急いで駆け寄ってきた。特に、疑ってもいないらしい。


 降りてすぐ、デルが言った。


「ネイビーシールズの、デル・フライトン中尉だ!」


「フライトン中尉! どちらから?」


「カナダから入り、各所の基地を経由しつつここまでたどり着いた!」


「良くたどりつきましたね?」


「なんとかな。こちらの基地にも通信してみたんだが、繋がらなかった」


「通信施設が全て、破壊されたのです!」


「なんと……あの煙がそれか?」


「そうなんです。とにかく中へ! そちらは、救出した市民ですか?」


「まあ……そんなところだ」


 基地に招かれて中に入ると、軍人が慌ただしく動き回っていた。その中を通り広い部屋に通される。


「まもなく、司令官が来ます」


 俺達が待っていると、数人の軍人が入って来た。すると突然、デルが立ち上がって敬礼する。


「ああ、久しいねフライトン君」


「サー!」


「肩ぐるしいのはいい。かけたまえ」


「失礼します!」


 どうやら、その男はデルの知り合いのようだった。クキが、デルに尋ねる。


「知り合いか?」


「海兵で知らない人はいない。ロバート・ミラー少将、伝説の海兵だ」


 ロバートが、クキに手を伸ばして握手をした。


「ようこそ。……君は、軍関係者だね?」


「はい。日本の、自衛隊の出身です」


「おお! 日本の! 日本は……本当に残念だ……アメリカも、二の舞になってしまったがね」


「とても悔しい事です」


「その通りだ。まさか、アメリカがこれほど腐っていたとはね」


「……恐れ入りますが、日本も一枚岩ではありませんでしたし、政府も機能しませんでした」


「そうか……どの国も、どうしようもない事があるものだ」


「はい」


 皆が座り込んだところで、皆が黙る。ロバートが話を始めた。


「それで、フライトン少尉」


「デル、で構いません」


「ならば、デル。君らは……どちら側かな? 返答次第では、拘束せねばならんが」


 周りの兵士達が、銃を前にスッと出す。構えては無いが、いつでも動けるぞという意思表示に取れる。デルもそれに対して、容易に答える事は無かった。


「少将。質問の意味が、よくわかりません」


 すると、ロバート・ミラー少将が腕を組みながら言う。


「では、質問の方法を変えよう」


「はい」


「君は、アラブ系 イスラム系の人がアメリカ国内で困っているとしたら、どうする?」


「それは、どういう状況ですか?」


「市民として暮らしていて差別を受け、同じアメリカの馬鹿野郎に暴行されたとしたら」


「助けます。アメリカに住んでいるのならば、兵士が助けるのは当然です」


 すると、少しの沈黙の後で、ロバート・ミラー少将がにやりと笑う。


「よかった。変わっていないようだ」


「サー。私は、私のままです」


「なら、単刀直入に聞こう。君はまだ、アメリカ人か?」


「イエッサー」


 するとロバート・ミラー少将が、もう一度言う。


「ようこそ、サンディエゴ基地へ。私は君を待っていた」


「ありがとうございます」


 周りの兵士達も、銃を隠して緊張を解いた。どうやら、答え次第では本当に囚われていたのだろう。


「実は、ワシントンDCと連絡が繋がらなかった。もはや通信も使えない状態だが、どうなっている?」


「ご存知ありませんか?」


「ここでは、あまり情報がとれていない。身動きもとれない状況でな」


「核で焼かれました」


 兵士達が騒然とする。そして、ミラー少将が、落ち着いた声で聴く。


「どこのだ? ロシアか? 中国か?」


「……残念ながら少将。アメリカです。ノースダコタの、マイノット基地から発射されました」


「やはり、あの信号は、偽装や間違ったものではなかったか……」


「恐れながら、現実です」


 だが兵士達は、ただ言葉を発さない。もう、議論されていたようだった。


「デルは、どうやってその情報を?」


「カナダにいました。カナダの衛星で確認してもらい、アメリカの状況を探ったのです」


「カナダはどうなっている?」


「あの国も、徐々にリビングデッドに浸食されつつあります」


「あれは……一体何なのだ?」


 俺達は、情報をミラー少将に伝えていく。ただ、デルと研究員たちが感染している事は伏せていた。


「そういうことか。恐ろしいものが、裏で暗躍しているという事だな」


「はい。それも、世界中で」


「大統領はどうなったのだろう」


「わかりません」


 デルが周りを見て、ミラー少将に言う。


「ここは……全て信用出来ますか?」


「裏切り……と言う事でよかったかな?」


「はい」


「この部屋にいる者は、少なくとも私が叩きあげた兵士だ。問題はない。だが、通信機器を破壊した者が基地内に入り込んでいるのは確かだな」


「では、お話します」


「うむ」


「黒幕に、マーガレット・ブラッドリー国務長官が絡んでいます」


 すると、ミラー少将と周りの軍人たちが目を見開く。


「それを、掴んでいるのか? 君らも」


「といいますと?」


「ある筋から、その情報をもらったのだ」


 そこで、クキが口を開いた。


「ある筋……と言うのは、クレイトン家ではないですか? グレイブ・クレイトン、もしくはオリバー・クレイトン」


「君。なぜそれを?」


「私達は、彼らと共に行動していました」


「なんと!」


「そのとき、軍関係者に連絡を取っていましたが、それがあなたでしたか」


「そうだ。彼らは、どうなった?」


「残念ながら、ワシントンDCにいました……」


 するとミラーが、ふぅとため息をついて、椅子に深くもたれかかった。


「なんと……彼らが」


「と言う事は、もう、かなり深い所までご存知ですね?」


「そうだ。ブラッドリーは国賊だと聞いている。あれは、世界を滅ぼす者だと」


「そのうちの、一人ですね」


「君達は、もう知っているのか?」


「すべてを」


 すると、ミラーが体を乗り出して聞いて来る。


「嘘のような話なのだがな……、ラッキーボーイという超人がいると聞いた。それは、本当の事なのか? にわかに信じられない話だが、日本刀を振り回して敵を倒すんだとか。実際に、見たというのだ」


 すると、デルの目線が俺に泳いだ。ミラーは、それを見逃さなかった。


「まさか……」


 ミラー少将が、俺を見て言う。


「君が……ベガスで、クレイトンの言っていた、ラッキーボーイか」


「そう、呼ばれた事もあったな」


「カジノで会ったと」


「そうだ」


 すると、黙って立っていた兵士達が、はじめてざわつき始めた。


「本当にいた?」

「そんなことが?」

「ただの……優男のようだが」

「だが、ほら、ハイブランドのスーツを着ている」


 そして、ミラーが言う。


「そうか、君がそうなのか!」


「まあ、オリバーがそう言っていただけだが」


 しかし、突然ミラーが破顔一笑した。


「デル! 君は、我々の救世主だ。よくぞ、彼らをここに連れて来てくれた!」


「それも、成り行きです」


「いや、成り行きではない。これは、運命だ」


 そして、クキが聞いた。


「で、どうしたのです?」


「この基地は、脅されている。マーガレット・ブラッドリーに」


「それは、どういうことですか?」


 クキもデルも、前のめりになりその言葉を待つ。


「奴は、三隻の原潜を奪い、そして、この基地を狙っている。アメリカ合衆国はもう終わったのだから、自分達の新しい世界の傘下に入れと、戯言を言って来た」


「それで……どのような対応を?」


「曖昧に返事をした。それまでに手を打とうという話のところに、君らがやってきた訳だ」


「そうですか……」


 そこで、ミラーが周りの兵隊を見まわしてから言う。


「他国の人がいるところで、この話は出来ないところなのだがね、アメリカがこうなってしまった以上、君達が日本人だという事を知ったうえで言おう」


「なんです?」


「アメリカは、レーザー衛星兵器を開発した。それを、敵は奪った。原潜には核弾頭が搭載されており、更にレーザー衛星のおかげで、その潜水艦を沈めに行くことも出来ないでいる」


 それに対し、デルが言う。


「それは、もう問題ありません」


「どういうことだ?」


「なんと……言ったらいいのか。とにかく、先ほど、ラッキー・ボーイが衛星を墜としました」


 すると、ミラー少将が目を見開いた。


「本当なのか……本当に君は、そんな事ができるのか?」


「まあ、ちょっと邪魔だったのでな。壊したことがダメなら、謝るが」


「いや! よ、よくやってくれた!」


「ならよかったが」


 ミラーが、兵隊たちに言う。


「すぐに調査だ。レーザー衛星がロストした事を調べてくれ!」


「「「は!」」」


 にわかに慌ただしくなる。俺は、意図しないで、アメリカ軍の手助けをしていたようだった。

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