表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

647/661

第647話 ジェネシス・プロトコル・オーダー

 追い詰めたテッド・グローバーは俯き、肩を震わせている。ミオがその前に立ち、見下ろしていた。


「さて、聞かせてもらおうかしら。あなた達のやっている全貌を」


「……」


 沈黙するテッド・グローバーに、デルがしびれを切らしたようだ。ホルスターから拳銃を取り出して、テッド・グローバーの髪の毛を掴んで起こす。


「答えろ」


「や、やめてくれ。死にたくない」


 だがそれにミオが、怒りを滲ませつつ言う。


「大勢を殺しておいて、よくそんな台詞が言えるわね」


「あ、金ならあるぞ! あんたら全員が、一生かけても到底稼げないほどの金だ。な、あんたらもこんな仕事をするくらいなら、楽に贅沢したほうがいいだろ?」


「黙れ」


 デルが、額にぐりぐりと銃を押し付ける。


「痛い! やめろ! やめてくださいぃ!」


「さてと、まずは、あなたの役割から聞こうかしら。あなたは何をしているの?」


「それは……」


 ゴリリ!


「い、言う! 開発だ! 開発している」


「開発?」


「ナノだ! ナノを入れこんだ生物を、コントロールするためのシステムだ!」


 タケルがそばに立っているクリスタルのような、光る線が張り巡らされている機器をポンポンと叩く。


「これもその一つか?」


「触るな! レーサー崩れが!」


「あー、わりいわりい。そんな、大事なもんか」


 俺が、タケルに言う。


「その機器を壊せ。タケル」


「や、やめろ!」


 だが、タケルがにやりと笑って言う。


「いやいや。ダチが壊せつったら、そりゃ壊すしかねえだろ?」


 ブン! タケルがそれに蹴りを入れた。


 バキャン!! バラバラバラ!


 それは上側を吹き飛ばされて、光を発さなくなる。


「うああああ! 貴様! それは小さな国の国家予算くらい……」


 だが、デルが拳銃を口に突っ込んだ。


「あんまり喋るんじゃない。すぐに、殺したくなる」


「ふがっふがお!」


 ずぽ。


「や、やめてくださいぃぃ!」


 イラついた俺が言う。


「俺の友達を侮辱すれば、もっとひどい目に合わせる」


「わ、わかりました!」


「回りくどい事はもういいから、話してもらうわ。そんな物を開発して、何をするつもりなのかしら?」


「い、生き残った選ばれし物たちの、その……しもべだ……」


「しもべ? どういう事か、はっきり話しなさい。隠さずに」


「わ、わかった! それは、ジェネシス・プロトコル・オーダー……」


「なにそれ?」


「新しい世界の人の在り方だ。我々が作った新世界の、創世記が訪れるんだ! その後の世界の規律は、すべて一つの命令によって管理される事になるのだ!」


「分かりやすく言いなさい」


「意志とは無関係で戦い、エゴも持たずに、感情なく肉体労働を文句も言わずにこなし、基盤を支える。そのうえで、選ばれた新人類がこの世界を動かしていくシステムだ」


「はあ? 人の自由を奪う? ロボットみたいに働かせるの?」


「使える人間になるという事だ! 世界の人口は増え過ぎたのだよ! 数年もすれば地球は枯渇する!」


 皆が静かに話を聞いていた。どうやら、こいつらにはこいつらの信じるものがあるらしい。


 パァン!!


 だが、突然ミオが、テッド・グローバーをビンタする。


「人間を舐めるんじゃないわよ! だからって、滅ぼしていいわけが無いじゃない! 話し合いで……、環境破壊をしない為に、永続して生きるために! いろんな仕組みがあるんじゃないの!」


「ダメなんだ。もう、それでは……追いつかないんだ」


「で、大量に殺したといいたいの?」


「そうだ……リビングデッドは、公害をまき散らさない……」


「そんな……」


「そして、一度パンデミックを起こせば、あとは自然に淘汰されて行く」


「人類が、全滅しちゃうじゃない!」


「そうだ……」


「じゃあ、あなたたちだって終わりじゃない!」


「……この世には、リビングデッドの細胞を受け付けない人間がいる。彼らは、選ばれた人間だ」


 数人が、チラリとデルを見る。すると、テッド・グローバーが気づいたようだった。


「あ、あんたが? 海兵のあんたが適合者か?」


「知らん」


「あ、あんたがか! 選ばれた人間なんだぞ! 次の世界の、選ばれた優秀な人類なんだぞ! なんで、こんな奴らと行動を共にしてるんだ!」


「……」


 だがそれを聞いて、アビゲイルが首を振る。


「それは違います。まだ、あなた達は気が付いていない」


「な、なにがだ」


「やはり……分っていないのですね……」


「……」


 アビゲイルは、デルに気を使いながらも話す。


「彼らはテロメアを消費して、多くのエネルギーを得ているだけです。急速に年を取ってしまうのです。寿命は人よりも、かなり短くなるのです」


「そんな……そうか……、あんた、アビゲイル……天才……アビゲイルか……」


「いいえ。罪人アビゲイルよ。こんな、ひどいことを起こしてしまった張本人」


「……寿命が短くなる……だと?」


「その状態で、新世界などどうやって作るというのですか?」


「そ、それは」


 すると突然、パパパ! とパネルが付いて明るくなる。


「なに?」


 そこに、顔が加工で隠された人が映った。ゆったりとした雰囲気で手を組み、じっと見ている。


「テッド。何をしているの?」


 その声は加工されており、低くなっている。


「い、いや。それは!」


「そこにいる人達は誰かしら?」


「か、彼らは! そうです! 新世界のために役に立つ人材たちです」


 だが、そこでミオが言う。


「役に立つ? ふざけないで、あなた達のやっている事を阻止しに来たのよ」


「だ、だまれ!」


 ゴリッ! とデルに銃を突きつけられて黙る。


「残念だわテッド。一緒に、新たな世界を作れると思ったけど」


「ま、まって」


 デルに、グッと喉の掴まれて声を詰まらせる。そこでミオが、デルに言う。


「話させましょう」


「ゴホッゴホッゴホッ!」


「無様ね。まあ、あなたは、置いて行くつもりだったけど」


「なっ。なんだと?」


「もう、必要ないわ」


「き、貴様!」


「用済みと言う事よ」


「ぶ、ブラッドリー!!!」


「あら名前を呼んだら、私が顔を隠している意味がないわね……」


「構うものか!」


「もう、あなたの上から目線の講釈も聞かなくていいと思うと、せいせいするわね」


「まて! 貴様ぁぁ!」


「処分させてもらうわ」


「な。どういうことだあ!」


 俺は、上空に向かって違和感を覚えていた。何かが、ここを監視しているような気がした。


「では、みなさん。そいつは、好きにしてちょうだい」


「まて! 洗いざらい話すぞ! 全てを、白日の下に! ネットの力を使って!」


「お好きに」


 ブン! と画面が黒くなる。


「くそが!」


 そこで、ミオが言う。


「捨てられたようね」


「た、たのむ! 殺さないでくれ! 改心する! 何でも話すから!」


 そして皆が、顔を合わせた。そこで、デルが言う。


「いや。もう殺っちまったほうが良いのでは」


 しかし、クキが言う。


「いや、まだ、聞くべき事がある」


「それはそうだが」


「マーガレット・ブラッドリーの居場所は?」


「……分らん」


「隠し立てしても意味がないぞ」


「本当に知らない。国の重鎮の居場所など、知る方法がない。CIAでもない限り」


「本当に意味がないな」


「だ、だがまってくれ! 皆が集まった事がある場所がある。そこに行けば、何か分かるかもしれん!」


「どこだ?」


「あ、案内する! それは、住所の無い場所にある!」


 皆が顔を合わせた。そこで、俺が言う。


「連れていって、案内してもらおう」


「わかった」


「その前に。みな、部屋の外に」


 全員が出たところで、俺は剣技を振るう。


「重推撃!」


 バグゥゥゥン! と部屋が壁ごと吹き飛び、外が見えた。


「行くぞ」


 システムを吹き飛ばされ、テッド・グローバーはガクリと頭を落とした。俺がテッド・グローバーの首根っこを掴み、そのまま階段で一階まで降りて建物の外に出る。だが、外の敷地を歩いている時だった。


「ん?」


 急な違和感に襲われて、俺が咄嗟にテッド・グローバーから離れた瞬間だった。


 バシュゥゥゥ!


 光の柱がテッド・グローバーに落ちて、一瞬にして体が蒸発してしまった。


「なんだ?」


 デルが叫ぶ。


「これは、レーザー衛星だ!」


 それを聞いてクキが叫ぶ。


「みんな! 建物に入れ!」


 皆は一斉に、屋根の下に潜るが俺だけは、そのまま空を見上げていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ