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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第645話 非道な敵の戦闘

 銃を持った兵士達が次々と建物から飛び出してくるが、そいつらはどうやら大量のゾンビ化兵だった。俺達の力を知っていたためか、相当の数をそろえていたようだ。俺は目の前にあった戦車を蹴りつけて、出てきたゾンビ化兵に向けて飛ばす。戦車は宙を飛び、ゾンビ化兵達の頭の上に落ちた。


 ガガガガガガガガ!


 仲間もいるというのに、全員が機銃を撃ち始める。射線にいた奴らが、次々にバタバタ倒れていく。


「どこからか、砲撃してきているようだぞ! 戦車が吹き飛んだ!」

「とにかく仕留めろ!」


 機銃が鳴りやまず、俺は車両から車両の陰に飛び移った。そうすれば、敵が敵を掃除してくれるはず。案の定、俺を追いかけるように撃った機関銃が、仲間の兵士達を倒して行った。


 兵士が倒れた所に、何かが飛んできた。


「なんだ?」


 丸い何かは、地面に落ちると破裂し液体をまき散らす。次々に、射出されてあちこちにばら撒かれた。


「ウウウウウウ」

「ああああああ」

「がぁぁぁぁぁ」


 倒れた兵士達が、ゾンビになって動き出した。あれは、ゾンビを急造するための液体らしい。


「はなから、仲間を生かす気はないか……。ならば」


 俺は縮地で機関銃を撃つ、ゾンビ化兵の中心に表れた。


「屍人斬! 飛空円斬!」


 バシュゥゥゥ! 俺を中心にして、次々にゾンビ化兵が倒れていった。


「な、なんだ! 起きろ! 死ぬわけがない!」


 屍人斬で人間に戻ったゾンビ化兵は、もう起きる事はない。それから、次々に俺がゾンビ化兵を倒し、あっという間に全てがいなくなる。すると車両の方で、ゾンビ化した兵士が元の仲間を襲い始めていた。兵士も俺に対して攻撃をしている場合ではないようで、必死にゾンビに銃を撃っている。


 バン! バン! バン!


 基地のドアが、次々に締められて行く。逃げてきた兵士を、中に入れないようにしているようだ。


「哀れなものだな。刺突閃! 十連!」


 追いかけているゾンビを倒して、余裕を作ってやると、自分達の銃でゾンビを倒し始めた。


「だいぶ絞れたか」


 俺はすぐさま縮地で基地を飛び出し、みんなの下に戻った。


「ヒカル! どうなった?」


「車両はある程度残した。あとは、ゾンビになった奴らが仲間を襲っているようだ。基地は閉鎖されて、逃げてきた奴らを締め出している」


「仲間を、なんとも思っていないという訳か」


「そうだ。だが今までとは違う数の、ゾンビ化兵が出てきたぞ」


 それを聞いて、シャーリーンが言う。


「よほど、守りたいものがあるのではないですか」


 クキが頷く。


「かもしれん」


 そこでタケルが、皆に行った。


「んじゃ。せっかくヒカルが掃除してくれた事だし、行くとしますか」


「そうしよう」


 そして俺は、皆に言った。


「なら、俺の後ろをついてこい」


 デルが聞いて来る。


「それで、大丈夫なのかい?」


「すべて防ぐ」


 既に車両のあたりには、生きた人間の気配は一つもなく、兵士達は散り散りに逃げてしまったらしい。ゾンビがあたりをウロウロしているが、もはや戦闘力と呼べるものはない。


 すると、基地の上階に動きを確認した。


「ここを狙われている」


「狙撃兵か?」


「問題はない。陽炎遠斬!」


 狙撃兵の首が、窓から落ちて来る。


 ドサ。


「どうなってる?」


「狙撃兵を殺した」


「今のでか」


「そうだ」


 俺達は車両の間を抜けて、基地の壁にへばりついた。そしてタケルが、無造作に鉄の扉を蹴り飛ばす。扉はちぎれて中に飛んでいき、待ちかまえていた人間ごと押しつぶした。


「行くぞ」


 俺が先に入り込み、兵士達を倒していく。あとから仲間達がついて来て、死体を飛び越えた。


「タケルとミナミが最後尾を頼む。研究員を守れ」


「おう」

「わかった」


 俺は、飛び出してくる兵士を倒しながら進んでいく。クキが歩きながら、監視カメラを潰していった。


「こっちだ」


 より人が多くいる方に向かい、歩いて行くとガラス張りの通路に出る。


 そこで俺が、スンと臭いを嗅いだ。


「何か。おかしな匂いがする」


「……どんな?」


「ニンニク……か? ごくわずかだが」


 するとデルが言う。


「もしかすると、VXガスかもしれん」


「VXガス?」


「神経ガスだ。一滴でも致死量の。どこかに設置してあるのかもしれん」


 皆がピリ着いた。だが俺が言う。


「なら、どこから臭うか分かっている」


「どうするんだ?」


「こうだ。神威零域」


 バグン!


 俺が剣を振ると、周辺の壁や、臭いの発生源が無の世界に吸い込まれた。壁やガラスや床まで消えて、丸い空間が出来上がる。


「消えた」


「目の当たりにして思う。こりゃヤバイ」


 デルにクキが答える。


「というわけだ。まずは、このまま先に進もう」


 入り組んだ基地内を、進むとエレベーターが出て来る。ボタンを押すと、エレベーターが動き出した。目の前で扉が開くが、中に何かが乗っているわけでもなかった。


「どうする?」


 クキが答えた。


「斬り落としてくれ」


「ああ」


 エレベーターの上に向けて、村雨丸を構えた。


「断剛裂斬」


 バシュッ! ガラガラガラ!!!! ズズゥゥゥゥン!


 エレベータはそのまま落ちて、最下層に堕ちたようだ。


「他のも頼む」


 のこり三基のエレベータを斬り落とすと、クキが言った。


「これで敵も容易には逃げられまい。地下か?」


「いや、いるのは上だ」


「よし。階段で上がろう」


 俺達は階段を探し出し、そこから上に向かって登り出す。


「敵が来ないな」


「気配感知では、上にいるようだが……」


「そうか」


 俺達は、気配のする階層まで上がり、廊下に出る前に様子を伺う。


 ミオが言う。


「先に、敵は居ないわ」


 キン! 鍵を切りおとし、扉を押し込む。気配はその先だった。


「こっちだ」


 注意深く廊下を進んでいくと、いよいよ気配のする場所に到達した。大きなガラスがあるようだが、その後ろにシャッターが下りていて、この先に大勢の気配がある。


「斬り落とす」


 俺が村雨丸を構えた時だった。


 ウィィィィィ!とシャッターが上がった。


「な!」


 するとガラスの中の部屋には、大勢の兵士達が銃を構えていた。


「伏せろ」


 皆が伏せるが、銃声はしなかった。ただ構えてこちらに向いているだけだった。


 するとその時、通路の上にあるスピーカーから声がする。


「良くここまで来たものだな。デル・フライトンにタケル・オカダ」


「この声は……」


 ガラスの向こうにある監視カメラが、俺達を撮影している。あれで確認をしているのだろう。


「異常な力を持つ者がいると、報告が入ったものでね」


 そこで、デルがボソリと俺達に聞こえるように言う。


「テッド・グローバー……だ」


 それは、GOD社のテッド・グローバーの声だった。一度、ディスプレイ越しに遭遇した男の声だ。

 

「いやはや……こんなところまで来てしまうとはねえ」


 この話をしている間も、ガラスの中の兵士達は身動き一つしなかった。


 どうするか……。俺はクキに聞く。


「まずは目の前の奴らを処理するしかあるまい」


 俺が村雨丸に手をかけた時、テッド・グローバーが言う。


「わざわざ、ここに死にに来たのか?」


 随分と余裕がある。どうやらこいつは、逆に俺達をここまで引き込んだと思っているらしい。


 プシュウウウウウウ!


 すると次の瞬間、ガラスの中に突然白い煙が充満し始めるのだった。

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