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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第632話 カナダの諜報局からの依頼

 俺達はカナダ首相から、軍施設の地下へと連れていかれた。首相と一緒に、待っていると内線が鳴る。首相がそれを取り、すぐに答える。


「入ってくれ」


 部屋のノックと共に、数人の男女が入って来た。その中の年配の男が、カナダ首相に声をかけた。


「首相、大変なことになりましたね」


「ああ。だが、もっと厄介なことが起きた」


「ふむ、そのようですな」


 首相は、俺達にその男を紹介した。


「こちらは、安全情報局の長官だ。そして、彼らは……」


 だが首相が言う前に、長官が俺達に言う。


「報告書は既に読みました。日本の自衛隊を含むエキスパートと、海兵、テクノロジー研究員ですね」


「そうだ」


 長官は、代表であるクキに手を伸ばした。


「よろしく頼む」


「こちらこそ」


「そして、そちらはアビゲイル博士ですね」


「はい」


 既に、情報は掴んでいるようだった。そこで、長官が言う。


「悪いが、こちらでも、あなた方を調査させてもらった。だが、分かったのは数名だった」


「数名とは? 誰ですかね?」


「データで調べられたのは、アビゲイル博士、エイブラハム医師、海兵隊のデル・フライトン中尉そしてバイクレーサーのタケル・オカダ。後は、分かりませんでした」


「なるほど」


「君らの言葉が正しければ、九鬼が自衛隊、黒崎が公安、あとは一般人と言う事になる」


「そうだ。俺は元で、黒崎は秘密警察。調べはつかないし、後は全員一般人だからデータはないだろう」


「だが私達は、この目で見た。とても、一般人の動きとは思えない」


「嘘は言っていない。本当の事だ」


 長官は少しだけ沈黙し、落ち着いて話を始める。


「私達は、もしかしたら君達こそが、ファーマー社の工作員なんじゃないかと疑っていた」


 俺達は表情を変えない。なぜなら、そう捉えられても不思議ではないと思っていた。その様子を見て、カナダの首相が言う。


「気を悪くしないでくれ。それが、彼らの仕事なんだ」


 クキが頷きながら言う。


「無理もありません。こちらには、アビゲイル博士がいる。もとファーマー社で、さらに有名な彼女を守っているだけで、そう思われる事は想定済みです」


「そうか……、だが既に疑いは晴れている」


「なるほど、では何か問題でも?」


「それは長官から」


 そして長官と一緒に入って来た奴が、ディスプレイを付けてパソコンで操作し始める。


「これです」


 そこには薬を取りに来たカナダ軍のヘリコプターを襲う、ジェット機とミサイルが移しだされていた。それを、ゆっくりとした動画で流し始める。


「ここ……」


 ミサイルが空接瞬斬で落とされた瞬間になると、動画を止めた。


「こんなことがあるだろうか?」


 それに対し、クキが白々しく聞き返す。


「ただ、ミサイルが自爆したように見えますが?」


「では、もっとスローにします」


 すると、ミサイルが切れた瞬間が朧気に見えていた。


「画像が鮮明ではありませんので、はっきりと申し上げる事が出来ないのですが、ミサイルが切断されているようにも見えます」


 更にクキが白々しく答える。


「そうですか? 不良だったのでは?」


「……では、次にこれです」


 今度は、ジェット戦闘機の映像が映し出される。そこには、俺が閃光孔鱗突で墜としたジェット機が、スローモーションで空中分解していく状況が流されていた。


 クキが言う。


「カナダ軍のミサイルで、撃墜したのですかな?」


「いえ。爆発していないんですよ。バラバラになった瞬間は」


「安物の飛行機だったとか、急旋回に耐えられなかったとか」


「いえ。これは第五世代の戦闘機です」


「なるほどねえ。で、それがどうしました?」


 長官が、俺達に向かい声を低くして言う。


「これは、あなた方がやったんじゃないかと」


 一瞬沈黙する。だが続けてクキが言った。


「なるほど、そう言う見方もありますか。ですが、ファーマー社が証拠隠滅のために自爆したのでは? とは考えられないでしょうかね?」


「目的を果たしていないのにですか?」


「……もし、それが、我々に関係しているとして、それで何か問題がありましたかね?」


 すると、情報局の長官がボソリと言う。


「いや、ただあなた方は、あのバケモノも片付けたと聞く。更に核弾頭が上空で消滅した事も合わせて、これがもし……すべてあなた方の仕業たとしたら、国家の……いや世界の脅威になる。リビングデッドのパンデミックを起こしたファーマーとはまた違った、世界の脅威になりえる……」


「なるほど……その脅威が、身元不明ともなれば、それは警戒するでしょうな」


「そのとおり。我々が、国を守る協力者として、あなたがたを信用して一緒に行動しても大丈夫なのか、判断材料が無さすぎるんですよ」


 俺にも、言っている意図が分かった。そこで、俺が答える。


「信じてくれ。俺達は、決して世界を滅ぼしたいなどとは思っていない」


「ここまでの事で、信用しろと言うのか? ミサイルやジェット機は、あなた方を信じ込ませるための、偽装である可能性はないかな?」


「ただ助けたい、という事実があるだけだ」


「その既成事実を持って、我々に信じさせる罠では?」


 そこまで言われて、なんと答えたらいいのか分からなくなる。だがそこで、ミオが言った。


「信じていただかなくても結構です。私達の目的は、貴国を救う事では無く、ファーマー社を壊滅させて全てをやめさせたいだけ。でも、それは復讐と言う意味合いが大きい。私達は世界を救おうとか、そう言う使命を負っているわけでは無く、彼らによって殺された家族や友達の恨みを晴らしたい、という理由の方が強いかもしれません。だから、協力できないとおっしゃるのであれば、私達はここを去るだけです。私たちに、カナダを守るメリットはどこにもないのですから」


 すると場が静かになる。誰も、それに対して言葉を発する事はない。カナダの首相が長官に言った。


「私は、彼らに家族を救ってもらった。彼らは命がけで、家族を救ったんだ」


「そうですね……その通りです」


「それに、こんなまどろっこしいことをしなくても、アメリカの核ミサイルでオタワを焼けばすむこと。私は、信用するに値すると思うがね」


す情報局の一人が言った。


「局長。本題に移ってもいいのでは?」


「わかった。すみませんね、商売柄、疑うのが仕事なものですから」


 次にディスプレイに移しだされたのは、顔写真が並んだものだった。クキが聞く。


「これは?」


「実を言いますと我々も少し前から追っていたのです、ニューオーリンズの騒ぎが始まったあたりから。我が情報部にもアメリカCIAからの情報共有がありましてね。怪しい人間をマークしていたのですよ。だが、その矢先にCIAとの連絡が途絶え、まもなくアメリカでのパンデミックが発生した」


「なるほど」


「そして浮かび上がったのが、この面々です。補佐官が捕らえられた後に、全員が消えたわけです」


「たった今だな、逃げられた?」


「リビングデッドが徘徊している状況では、こちらの組織も動きようが無く……」


「で?」


 長官が、カナダ首相を見る。


「言って見たらいい」


「消えてまだ間もない。どこかに潜伏しているか、まだ遠くへは行っていない。彼らを捕らえれられば、何らかの情報が得られるのではないかと」


 それを聞いて、クキが答える。


「だが、まだ核ミサイルの問題も片付いていない」


「恥を忍んでお願いしたい。それも含めて、一緒に行動してはいただけないだろうか?」


「信用すると? 我々を」


「私もね。組織を預かる者として、部下達の命を脅かしたくはないのだよ」


「……それは、わかる」


「そこで、一緒にやっていただけまいか?」


 クキが俺を見るので、俺はただ頷いた。そしてみんなも、コクリと頷く。


「問題ない」


「ただ……一般人と聞いて、躊躇している。君らに、そんな能力があるのか?」


 するとデルが、苦笑しながら言う。


「それは愚問だ。九鬼も、もういいだろう。戦闘機とミサイルは、自分らで撃ち落としたって言っても」


 長官が頷いた。


「やはりそうか。信じがたいが、間違いないようだ」


 クキが聞き返した。


「で、どうするつもりだ?」


「君らは、恐らく……我々や軍隊がどうこうしようとしても、手が届かない存在だ。アンタッチャブル、その気になれば軍隊を相手にもできる。間違いないのでは?」


「……まあ、そうかもね」


「なら、答えはひとつだ。あなた方に、部下を託したい」


「ああ、それなら逃げた奴らを、さっさと見つけ出してつかまえよう」


 諜報員が、クキに手を差し伸べて来る。


「俺がリーダーだ。よろしく頼む」


「ああ」


 クキが手を握り返し、俺達は共同で敵を探し出す事になった。だが、そこでクキが言う。


「だが、無駄死にしてほしくない。そして、敵との戦いは、全面的にこちらに任せる。そうでなければ、一緒に行動する事はできん」


「異論はない。君らは、一種のバケモノであると理解している。よろしく頼む」


「では、そういうとこで」


 俺達は、カナダの諜報員たちと、入り込んでいた敵のスパイをつかまえる事になったのだった。

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