表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

631/661

第631話 裏切者が潜むカナダ政府へ

 軍司令部の周りには、多くの戦闘車両が停められている。その周りには軍人が銃を持って立っており、再びゾンビに襲撃されるのを警戒していた。俺達はそこに、手を上げて静かに近づいて行く。


「止まれ!」


 兵隊が言い、クキが手を上げてさらに近づいた。


「すまない。撃たないでくれ」


 すると、そこにいたのは俺達を護衛していた兵士の一人だった。


「なんだ、あんたらか。徒歩で来たのか?」


「ああ、車が調子悪くてな」


「車が? 故障だろうか……?」


「わからん」


「で、どうしたんだ?」


「ゾンビパンデミックに対する、非常に重要な情報を持ってきた」


「わかった。ちょっと待ってくれ」


 兵士が通信をして、了承を得たようだ。


「入っていいぞ」


「すまない」


 その兵士に連れられて指令部に入っていくと、建物の中は少し落ち着きを取り戻していたようだった。周りをバリケードで囲まれ、事務官らも仕事をし始めている。


 兵士が言う。


「本当は、みんな気が気じゃないんだ」


「……家族か……」


「そうだ。皆も、家族がいる。それがいま、どういう状態になっているのかが心配なんだ。そのなかで、この事態を治めようと皆が必死になっている」


「何とかしなくては」


「ああ」


 俺達はぞろぞろと、エレベーターに乗り込み登った。俺達は、待合室のような場所へと通される。


「まっててくれ」


「わかった」


 しばらくすると、カナダの首相と補佐官がやって来る。


 テーブルに着いたところで、クキが早々に言う。


「ちょっと、見てもらいたいものがあるんです」


「なにかね?」


 ミオがスッと立ち上がり、大統領のところに行って小さな紙を渡す。


「……」


 俺達は静かに、その反応を待った。


「なるほど……」


 それに対し、ミオが言う。


「はい。緊急の対応が必要かと思います」


「そうだな……だが、なかなかに難しい問題だ」


「はい」


 カナダの首相の緊張が伝わってきたところで、補佐官が首相に尋ねた。


「何があったのですか?」


「リビングデッド関連の、重要情報だ」


「どんな?」


 カナダ首相は、その補佐官に目を向けた。


「現在、アメリカが窮地に立たされている。そして、このカナダも同様にな。北米大陸はこのままだと、全滅してしまう恐れがある。それを防ぐための情報、と言ったところだ」


「具体的には?」


「世界の存続にかかわる事だよ」


「……ですからなにを」


 カナダ首相は、体を横に向けて補佐官に言う。


「アメリカの核ミサイル、そして対ゾンビの薬品を運ぶヘリコプターが撃墜されそうになったのだがね、なぜここにその拠点がある事が分かったんだろうね?」


「そ、それは、アメリカ内の問題では?」


「君が渡した、あの通信機なんだが……」


 すると補佐官が、スッと懐に手を忍ばせて銃を取り出し、カナダ大統領に突き付けた。


「クソ! 動くな!」


 その行動を見て、クキが冷静に言う。


「そんな事をしても、意味は無いんだがな。首相を人質に取るつもりか?」


 だが既にそいつは興奮状態になり、話を聞いていなかった。


「立て!」


 首相に銃を突き付けて、肩を掴んで立たせる。首相はただ補佐官を睨み、立ち上がった。


「動くなよ! 首相が死ぬぞ」


 首相が言う。


「信用していたのだがな」


「うるさい! お前達、世界の首脳たちが世界を腐らせたんだ! これは、浄化だ!」


「何が浄化だ! 世界を滅ぼして、いったい何になるというのだ」


「こい!」


 カナダ首相を引きずりながら、行こうとしたところで俺が聞いた。


「殺すか、捕えるか」


 カナダ首相が言う。


「捕える」


 次の瞬間、俺は補佐官の銃を持った手を握り完全に羽交い絞めにした。ゼロ秒で行われたその行動に、補佐官があっけにとられた表情をしている。


「な、なん……」


 カナダ首相が言う。


「残念だ。まさか、内部に裏切者がいたとはね」


「き、きさま!」


 俺はグッと首を絞めて、話させないようにした。


「うぐ」


「首相が話していいと言ったら、話して良い。あとはだめだ」


 すると首相が言う。


「話をさせてやってくれ」


 緩めると、はあはあと、息をついて言う。


「……この世界は、狂っている。だからリセットするのだ」


「それを、信じているのか?」


「そうだ。私は選ばれた」


「お前も、核で焼かれるところだったのにか?」


「新しい世界になるのだ! 犠牲はやむを得ない!」


「仲間はどれだけいる?」


「世界中にいる。私だけではない」


 それを聞いて、カナダ首相は口を閉ざす。


 俺が、トン! と補佐官の意識を狩り、そのまま椅子に座らせた。


 カナダ首相が言う。


「すまなかった。まさか内部にいるとは」


 それを聞いて、クキが首を振る。


「いえ。アメリカでも同じでした。奴らは、どこにでも潜り込んでいます」


「恐ろしいな」


「奴らは、人間をコントロールしようとしているんです」


「これも、その一環なのだろうか?」


「調べて見なければわかりませんが、その可能性はあります」


「うむ」


「獅子身中の虫を、あぶりだしている暇はないでしょう。そんな事をしている間にも、奴らは次々に攻撃を仕掛けて来るでしょうから」


「わかった」


 そして首相は、すぐに電話を取り誰かを呼びつける。するとそこに、憲兵がやってきた。


「裏切り者だ」


「裏切り者ですか?」


「連れていけ」


 そこで、クキが言う。


「油断はしない方が良い。念のため、縛って連れて行った方が良いだろう」


「そうしよう。拘束具を」


 少し待つと、滑車が付いた人型の枠が持って来られる。すると補佐官は、ぐるぐるに縛られ口に何かを噛まされた。


「首相の、ご家族は?」


「別室に」


「すぐに、保護を」


「わかった」


 そして俺達は、カナダ首相の家族のいる部屋に行った。するとそこに、二人の護衛が付いていた。


「ご苦労」


「はい!」


「入るよ」


 護衛が扉から放れ、中に入ると母子がそこにいた。


「あなた? どうしました?」


「ここも、安全とは言えなくなった」


「そんな」


 クキが、首相に聞く。


「それで、マイノット基地はどうなってます?」


「騒ぎが無い所を見ると、落ち着いているのだろうがな。指令室に行こう」


「オタワが燃えていない事を、不思議に思っている事でしょう」


「空中で核が消えたのは、本当に君らの仕業なのか?」


「はい」


「国民を助けてくれてありがとう」


「いえ」


 そう言ってクキが、俺をチラリと見る。俺がやったことは、誰にも言わないつもりなのだろう。そして母子を連れ出し、俺達は司令部へと向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ