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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第625話 首相の家族を救出する

 仲間達を背にして、俺がぶち開けた穴に向かって歩いて行く。


「金剛、絶対結界、思考加速、威圧、筋力上昇」


 スキルを発動させながら入り口に行くと、一斉に銃撃が襲った。だが、絶対結界を破る事は出来ない。


「な、なんだ! 撃て撃て撃て!」

「おかしいです! 死なない!」

「り、リビングデッド! ゾンビ化兵じゃないのか!」

「そんなに強いわけがない!」


 俺はただ、ゆっくりと敵に向かって歩き、そこにロケットランチャーが飛んできた。


 ボグン!


 爆発し爆炎が広がった。それでも、その爆炎から平然と歩いて出て行く。


「適合者か!?」

「いえ! 破壊されている様子がありません!」


 敵がパニックを起こしている中で、俺は、体を低くして居合の姿勢をとった。


 ガガガガガガガガガ!


 銃弾が途切れない。


「冥王斬!」


 周りに停まっている装甲車を、中に乗っている人間ごと斬る。崩れた後に残った兵士に向けて、再び剣技を振るう。


「大龍深淵斬!」


 ジャキッ!


 隠れている奴らごと、切り捨てた。


「に、に、逃げろ!」

「うわぁぁぁぁ!」

「ばけもの!」


 一斉に散っていくところに、更に追い打ちをかける。


「飛空円斬」


 シュパン!


 視界に入っている人間達が、真っ二つになって転げた。


「ふう。静かになったな」


 俺が入り口に戻り、中に向かって叫んだ。


「いいぞ!」


 すると、装甲車が後ろ向きに出てきた。


 タケルが言う。


「さあ、お客さん。ご乗車ください」


「ああ」


 俺が乗り込むと、中でカナダ首相が聞いて来る。


「ど、どうなってるんだ。これは?」


「邪魔者を片付けただけだ」


 俺達の装甲車は、総督公邸を飛び出す。そこで、クキがカナダ首相に聞く。


「どこに行きます?」


「すまない。首相官邸に向かってはもらえないだろうか? あそこには、妻と娘がいる」


「わかりました。では、政府の人、誘導を」


 政府関係者が、タケルがいる運転席の後ろに立った。


 更にクキが首相に聞く。


「アメリカのノースダコタのマイノット空軍基地基地へは、どのような?」


「既に航空部隊と、近隣の基地からの中隊が向かっている。もう、到着している頃だが、この騒ぎで確認できていない」


「わかりました」


 車は、二分もかからずに首相官邸に到着した。すると、誘導していた政府の人間が首相に言う。


「官邸が……」


 見れば官邸の方で、黒煙が立ち上っていた。


 カナダ首相が愕然とする。


「そんな……」


「急ごう!」


 そして敷地には、奴らがいた。敷地内の軍隊の車が、焼けている煙だった。


「タケル停めろ。後から来い」


「おう」


 俺はすぐに飛び降りて、縮地で官邸の敷地内に入り込む。銃を構えている奴らは、俺には気づかずに、入口の方を見つめていた。


「車両が来た?」

「カナダ軍か?」

「そろそろ、逃げた方が良くないか?」

「まだ、退却命令は出てないぞ」

「早く、連れてきゃいいんだよ!」


 なるほど、敵も混乱しているようだった。


「大地旋風斬!」


 ゴウッ! と言う暴風の刃と共に、切り刻まれた人間達が空に舞い上がった。


「な!」

「敵襲!」

「ど、どこだ? 爆撃か!」


 どうやら、俺の剣技を爆撃と勘違いしているらしい。


 だが、ここで更に大技を振るうと、カナダ首相の官邸を壊してしまうかもしれない。


「超思考加速。超加速。残像剣技」


 時間が止まったようになる。魔力と闘気を練り上げ、レベル百の高速移動を開始した。最高レベル千の十分の一ではあるが、余裕をもって十分に殲滅できる。


 俺は次々に、銃を持っている兵隊らの首を刎ねて行った。ただひたすら、首だけを狙って斬っていく。車に乗っている奴も、隠れている奴も関係ない。気配感知に命ぜられるままに、つぎつぎに銃を持っている奴らの首を斬っていく単純作業を繰り返した。恐らく、血が通いまだ生きていると思っているだろう。俺が全て斬り終わる頃に、ぴたりと銃撃が止んだ。そして俺は、指笛を吹く。


 ピュゥィィィィィィ!


 すると、タケルが運転する装甲車がやってきた。車が止まり、俺が脇に立った。


「降りても大丈夫だ」


 そして首相と、政府関係者がクキに守られながら降りて来る。


「こ、これは……なんで誰も動かないんだ?」


 カナダ首相に聞かれたので、俺が普通に答える。


「頭と体がくっついていないからだ」


「い、いや……言ってる意味が……」


 だが次の瞬間、ぽろぽろと首が落ちだした。


 ぷしゅぅぅぅぅぅ!


 敵の軍隊が、まるで血の噴水のように血を噴き上げる。


「う、うわぁぁぁぁぁ」

「な、なんだ!」

「どうなってる!」


 首相も政府関係者も、恐怖の表情で見ていた。次々に体も倒れだして、あたり一帯が血なま臭くなる。


 俺がパン!と手を叩くと、ようやく正気に戻ったような顔をする。


「まだ、中に人がいるが、そんなにたくさんの人がいるのか?」


「い、いや。家族と家政婦、政府関係者が数名いるだけだ」


「もっといるようだ」


「わ、分らない。敵かもしれない」


 どうやら、まだ敵が潜んでいる可能性がありそうだった。


「車に乗って進め」


 カナダ首相も政府関係者も、もう一度装甲車に乗せて、死体を踏みつぶしながら進んでいく。官邸の正面に近づくと、拡声器で中から声が発せられた。


「停まれ! カナダ軍! こちらには人質がいる!」


「そんな……」


 首相の顔が青くなった。どうやら、家族が人質に取られているようだ。


 デルがマイクを取って言う。


「諦めろ! 既に、袋のネズミだ」


「黙れ。こちらには、首相の家族がいる」


 デルが振り向き、政府関係者にマイクを渡す。


「こちらはカナダ政府です。速やかに、人質を解放して投降してください」


「その要求はのめない。外の仲間達は、どうなっている?」


「既に、皆さん投降してくださいました」


「そんな馬鹿な!」


「見えているでしょう? 速やかに……」


「黙れ! こちらには人質がいる!」


「大人しく、指示に従ってください」


 すると、俺の耳にヘリコプターの音が聞こえてきた。俺が皆に言う。


「ヘリコプターが来たぞ」


 クキが答えた。


「恐らくは、首相の家族を連れ去るつもりだろう」


「そんな……」


「ヘリコプターを落とすか?」


「敵を刺激しかねんぞ」


「……なら、先に人質を救出しよう。だが、どんな人が人質にされているんだ?」


 するとカナダ首相が、スマートフォンを取り出して俺に見せた。


「こ、これが妻だ! そしてこれが娘! そして、これが家政婦!」


「記憶した。他は?」


「政府関係者が居るかもしれん」


「なら、まずこの三人を保護すればいいんだな?」


「この状況で、出来るのか?」


「問題ない」


 俺はすぐに、一瞬で首相官邸の屋根に飛んだ。


「超思考加速。超加速。隠形。気配遮断。認識阻害」


 着地前に全てのスキルを発動させ、屋根に猫のように降り立つ。


 シュパッ! 屋根を丸く切って、蓋のように取り上げてそっと覗いてみる。気配感知していた通りに、その部屋には人はいなかった。


 シュタ!


 そっと絨毯に降り立って、すぐに館内の気配感知を広げた。


「一、二、三、四」


 殺気を放っている人間が、ざっと二十人。こいつらは間違いなく敵。


「一、二、三」


 怯えている人間が三人、そして死んでいる人間が数体いた。


 どうやら、政府関係者は殺されているようだ。


 スッ! と、扉を開けて通路から中を見渡すと、奴らはまんべんなく見張りに立っているようだった。だが警戒しているからか、バラバラに位置している。


「好都合だ」


 そして俺は最初に、東の角の部屋に忍び込み二人を殺す。どうやら四方に見張りを立てているらしい。次々に二階を制圧してる間に、少しずつヘリコプターの音が大きくなって来た。


 俺がすぐさま一階に降りると、エントランスに六人が固まって、窓から庭の方を見て、警戒している。どうやら、正面から敵が来ると思っているようだ。認識阻害の為、敵は全く俺に気が付いていない。


「刺突閃六連!」

 

 そいつらの眉間に穴が開くと同時に、俺は怯えた気配がする部屋にすぐ飛び込んだ。するとそこには、ゾンビ化兵が六人もいた。今までの奴らよりも反応は早いが、俺にとってみれば亀より遅い。


「屍人刺突閃! 六連!」


 反応するまもなく、ゾンビ化兵の眉間に穴が開いた。


 ドサドサドサ!


「んんーーーーー!」


 縛られて猿轡をしている、女の子が声を上げる。


「大丈夫だ。首相の頼みで助けに来た。もう大丈夫だ」


 三人の猿轡と、縛っているワイヤーを斬った。


「妻です。あ、あなたは特殊部隊ですか?」


「いや、勇者だ」


「ゆ、勇者」


「ここに敵のものと思われる、ヘリコプターが向かっている。すぐに出る」


「「「はい」」」


 中年の女と若い少女、年配女を連れて玄関から外に出ると、正面にタケルが装甲車を乗りつけていた。


「乗れ!」


 三人が走って、装甲車に乗り込む。首相に娘が抱きついている。


「来たぞ! ヒカル!」


 上空に、ヘリコプターが飛んできた。


「敵か仲間か聞いて来る」


 ドシュッ!


 上空五十メートルあたりに来た、ヘリコプターの入り口を切り裂いて中に入った。


「なっ!」

「う、うわ!」


「何しに来た?」


「こ、殺せ! 殺せ!」


「敵か……」


 俺はヘリコプターから飛び出て、剣技を繰り出した。


「断鋼裂斬! 四の字斬り!」


 ヘリコプターが縦と横に裂けて、そのまま落下していく。着地してすぐに、装甲車のところに行った。


「敵だった」


 政府関係者が、目を見開いて俺を見ていた。


「どうなって? あなた、空から落ちてきましたよね。いま! 消えたりして!」


「消えてない。早く動いてるだけだ」


 それを無視するように、カナダ首相が言う。


「すまんが、このままカナダ軍の事務局へ向かってほしい」


「了解だ」


 そして車は、カナダ軍の事務局へ向かって走り出すのだった。

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