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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第620話 レベルアップしたタケルの新しい力

 階層を上がったところの、軍人の死体が転がっているエリアを過ぎようとした時だった。


「すまない! 彼らの、ドッグタグを回収させてくれないか!」


 カナダ兵が俺達に言い、そこでデルも俺に助言した。


「彼らに回収させてやってくれないか? 死んだ人間の、識別をしなくちゃならないだろうから」


「かまわん」


 カナダ兵は、バラバラになった死体から鉄のプレートを取っていく。兵士を特定する事になるらしい。血の匂いが蔓延し、一人の奴が嘔吐していた。


「仲間の酷いありさまを見たんだ。仕方ない」


 回収しているところで、俺が兵隊たちに言う。


「早くした方が良い。まもなく、敵がやって来る」


「な、なに? わかるのか?」


「上階から、こちらに降りてきている」


「外の監視を潜り抜けたのだろうか?」


「さてな。もしかしたら、もともと内部に巣くっていた可能性がある」


 俺が感知しているのは、ゾンビの気配だった。だが、それは確実に思考を持った動きで、こちらに向かってきている。止まっている時は、他のゾンビと見分けがつかない。しかしゾンビ化人間は、知能が人間のままなので人と同じ動きをする。


 すると、カナダの兵士が言う。


「これで全員分だ……」


「なら、俺達の後ろをついてこい」


 俺が気配感知しながら進み、手を上げて軍人を止める。


「隠れていろ」


「そう言う訳には、我々も戦おう」


 だが、デルが言った。


「彼らは、エキスパートだ。いう通りにした方が良い」


「……わかった」


 そして兵士達は、デルと一緒に通路脇の部屋に入っていく。


「んじゃ、いっちょやりますかあ!」


「ああ。銃は気にするな、全てタケルが狩っていい」


「りょーかい」


 俺達が壁に張り付いていると、走って来たゾンビ化兵が通路を曲がって来た。次の瞬間、既にタケルがゾンビ化兵の中心に躍り出ていた。俺はすぐに、ゾンビ化兵が持っている銃を無力化する。


「刺突閃、五連」


 全ての剣線が、ゾンビ化兵の持っているマシンガンに命中する。


「がぁ!」

「うおっ!」

「な!」


 タケルが、にやりと笑った。


「よいしょぉ!!!!!」


 ドゴン!


 三人のゾンビ化兵が、タケルのスキルに飛ばされて壁に激突した。


 ベチャ! ベチャ! ベチャ!


 レベルが上がり、ゾンビ化兵がまるで水風船のように、壁に激突して染みに変わる。


「なっ!」


 慌ててゾンビ化兵が、ナイフを握るが、もう遅かった。


 ドッ!


 二人まとめて、首から上が無くなった。


 ドサドサ!


 タケルが首を傾けて言う。


「なんだぁ? 随分あっけねえなあ」


「タケルのレベルが上がったからだ。おそらく、何か一つスキルが身についている」


「マジかよ。自分でコントロールできてねえから、よくわからねえや」


「そうか。確かにこの世界では、スキルが見れないからな」


「前は見れたのか?」


「そうだ。自分のスキルは全部見えた」


「そういうのがあれば、もっと楽しかったな」


「この世界じゃあ、必要なさそうだがな」


「ま、十分か」


 そう。タケルは何か新しいスキルを身に着けたようだ。今の加速力は、かなりの物だった。そして俺が部屋の扉を開けて、カナダ兵達に言う。


「終わった。行こう」


「あ、ああ」


 カナダ兵が首のない死体と、壁でトマトのように潰れている死体を見る。


「どうやったら、こんな事になるんだ」


 タケルが、だるそうに答えた。


「あー、これ、銃じゃ死なねえからな。潰すか、完全に首を飛ばすかしねえと」


「こいつらは、リビングデッド……ということか?」


「そっ。人の知恵のある、リビングデッド。ファーマー社が開発した奴」


「恐ろしい」


「とにかく急ごうぜ」


「あ、ああ」


 俺達は、そのまま地上に出てカナダ軍と合流した。待っていた隊長が、出てきた兵士達に声をかけた。


「おお! 生きていたか!」


「はい! ですが……」


 そう言って、ドッグタグを上官に渡した。


「ほとんど……ダメだったか」


「はい」


「とにかく、良く戻ってきてくれた」


「彼らが、連れ帰ってくれました」


 すると上官が、俺達に敬礼して礼をいう。


「仲間を助けてくれてありがとう」


 そこで俺が言う。


「今からの戦いで相手にする事になるのは、言葉の通じない化物だろう。アイツらには今までの常識が、通用すると思わない事だ。とにかくゾンビというのは、数が多くなると厄介なんだ」


「肝に銘じる」


「そうしてくれ」


 そして、俺とタケルとデルが、再び施設に向かって振り向く。


「ど、どうするんだ?」


「あんたらだけじゃない、あっちの警官の仲間も入ったんだろう? ドッグタグはいいのか?」


「警官は、バッジだろうな」


「なら、安全に集められるようにしてやる」


「また、三人で?」


「充分だ」


 俺達は、再び施設に向かい、ゾンビをしらみつぶしにしていく。何カ所かの部屋を回っているうちに、またゾンビ化兵達が群がって来た。


「キタキタァー!」


 タケルが暴れまくり、あっという間にゾンビ化兵を始末していく。


「どんな感じだ? タケル」


「なんかよ。先に分かるんだよ。相手がどう動くか」


「ほう。それは、絶対予見だ」


「どんなもんだ?」


「少し先が分かる感じじゃないか?」


「そんな感じだ」


「いいスキルが発動したな。それなら、極めれば銃を避けられる」


「えっ! ヒカルみたいに!」


「いや。俺は斬っているんだ。避けてるんじゃない」


「違う力か?」


「そうだ。少し先の、時の流れを読む力と行った方が良いかもしれんな」


「ふーん。悪くねえな」


「もう、この世で、タケルと喧嘩して勝てる奴は一人もいない。俺以外ではな」


「しねえよ。喧嘩なんて。で? あとゾンビは?」


「これで終わりだ。館内は全て掃除した」


「よっしゃ」


 すると後ろで、デルが呆れたように言う。


「おいおい、X〇ンたち。間違っても、一般人と喧嘩なんかしないでくれよ。ゾンビが怖くない理由が分かってきた」


 タケルが言う。


「いやいや、大物みたことないからそんな事言うんだ。デカ物や、大量の試験体なんて、俺は無理だぜ」


「そんな事が?」


「もう、世界のあちこちで」


「そんな事になっているのか……。世界は……どうなるんだ?」


「さてな。俺達は、目の前の出来る事をやってくしかねえぜ」


「……そうだな。その通りだ」


「じゃ、上の人らに伝えようぜ」


「ああ」


 そして俺達は施設を出て、ゾンビを始末した事を告げた。だが、次の瞬間だった。


 ドン!


 地響きが鳴り響く。そこで俺が、軍と警官隊に言った。


「ここから離れろ! 爆発の音だ!」


 タケルが天を仰いで言う。


「結局、ここもかよ……」


「逃げろ!」


 カナダ兵や警官隊が大急ぎで離れていく。すると、一瞬、敷地内が地盤沈下した。


 ドウッ!


 大爆発を起こし、建物が吹き飛び火柱が上がる。軍人や警官が慌ただしく動き、どこかに連絡し始めた。結局、カナダのファーマー社でも、今までと同じ結果になってしまった。


「しかたねえ。あとは、軍隊に任せて一旦戻ろうぜ」


「そうしよう」


 俺達が、一緒にきた政府関係者に状況をつたえると、政府の奴らが、軍隊の隊長に話を付けてくれた。そして俺達は再び、先導してきた政府関係者と共に、パトカーに先導されて研究所へと向かうのだった。

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