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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編

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第615話 カナダ入国の為の偽装工作

 カナダ国境に差し掛かる前に、潜入のための偽装をすることにした。このままカナダ国境に行っても、国境警備隊に停められるであろうと皆が言ったからだ。


「どう考えても、グレープフルーツ運搬のトレーラーが、入れてもらえるとは思えんからな」


 クキが言うと、皆が頷く。


 そしていま、俺達はバーモント空軍基地の前で、柵の周りに群がるゾンビを見ながら話をしていた。


 オオモリがいう。


「じゃあ、回収するのは、アメリカ兵の軍服と軍用車両。後は、VIPに見える車両と、警察所に行って、バッジを入手して偽装するという事でいいですね」


「ああ。そして、軍人として話す時は、デル。頼む」


「わかった」


「じゃ、行くぞ」


「飛空円斬」


 ザシュッ! ゾンビを倒すと、タケルが俺の後ろをトレーラーでついて来る。


「推撃」


 金網と壁を吹き飛ばし、トレーラーを先導していく。その音を聞きつけたゾンビが、一斉にこちらの方に走って来た。


「よし。タケル、クラクションを鳴らして集めろ」


「あいよ」

 

 プープーーーーーーー!


 すると、空軍基地や空港から一気にゾンビ達が寄って来る。


「飛空円斬!」


 邪魔な奴を片付けて先に進んでいくと、基地の周辺に軍用車両があるのが見えてきた。


「よし! あれをいただくぜ!」


 タケルがそちらに向かい、仲間達がトレーラーを降りる。するとミオが言う。


「車両の中にもゾンビがいるから気を付けて」


「おうよ」


 ハッチを開けると、中から軍人のゾンビが出てきた。それをみて、デルがため息をつく。


「はあ……仲間がこんな風になっちまうなんて」


「悪いが、潰すぜ」


 ドン! タケルがゾンビの頭を吹き飛ばした。そしてクキが言う。


「よし、脱がせろ」


 ゾンビの軍服を脱がせて、それを仲間達が着ていく。白衣の医師たちが、口々に言う。


「抵抗は……ないのですか?」

「そうですよ。ゾンビが着ていたものですよ」


 それにタケルが答える


「必要だからな。俺と九鬼さんと大森は米兵に化けねえと」


「そうですか……」


 基地内を周り、普段は使わない銃などの装備系も揃えた。


「行こう」


 トレーラーから冷凍庫を取り出し、それを軍用の車両に乗せる。地図を見て、オオモリが言う。


「では、次は警察署です」


「おう」


 四台の軍用車両に分かれて乗り込み、警察署へと向かった。同じ様にゾンビを処理し、警察バッチと黒塗りの車両を入手する。


「凄く手際がいいな」


 デルが言うと、仲間達が苦笑する。


 クロサキが警備責任者となり、俺とミオとミナミが警察官になりきる。エイブラハムがスーツに着替え要人に扮し、シャーリーンとツバサとマナもスーツを着て事務官になった。アビゲイルが研究者を引き連れて、研究責任者となる事になっている。


「これでいい。医療関係者は白衣のままで、では行きますよ」


「「「「「はい」」」」」


 俺達は六台に分かれて乗り、北上し始めた。既に日が落ち始めており、夜のとばりが下りてきている。それから、二時間もしないうちに国境が見えてくる。車を止めてタケルが言う。


「軍人いるぜ。どうやら、この国境は死んでない」


「そのようだ。だが、戦った後があるな」


 国境にはバリケードが作られており、その前には撃たれたゾンビが転がっていた。バリケードからは、ライトが照らされており、俺達の車列が、浮かび上がらせられている。


 そのまま近づいて行くと、バリケードから拡声器で声が流れた。


「停まってください」


 俺達の車両が速やかに止まり、軍用車両からデルとクキ達が出て来てバリケードに近づく。


「あなた方の所属を教えてください」


 上にいる軍人に向け、デルが大声で言う。


「俺達はアメリカの兵隊だ。要人を警護して連れてきた!」


「少し待て!」


 俺達はその場で待たされ、しばらくするとゲートが開き、軍人に警護されたスーツの人間が出てきた。


「失礼しますが、このような状況ですので、事情聴取をさせていただきます」


「わかった」


 デルが後ろを振り向き、要人を装ったエイブラハムが出て来る。勿体ぶった感じで、ゆっくりと。


「あなた方は? 入国の理由を、お聞きしたいのですが?」


「国家機密ですな。あなたは、誰ですかな?」


「私は、カナダ安全情報局、CSISの、リー・ドーソンです」


「おお、カナダのCIAのお出ましかね。じゃが、君じゃ話にならんな。これは、国家機密なのじゃ」


「ですが、簡単に通すわけには……」


「早くしてくれないか。もたもたしてたら、リビングデッドが集まって来るのじゃ」


「身分証はありますか?」


「こんな所で正体を現したら、ワシが危険にさらされる。君は責任を取れるのかね」


「いや……」


 するとデルが、自分の身分証を見せて言う。


「海兵だ。そして、リビングデッドの対策を研究している、医師たちを連れてきている」


 デルが手を上げて、禿げ上がった医師がやってきた。首に下げた、身分を証明するものを見せて言う。


「一刻を争う。じきに、このカナダにもリビングデッドは入り込むだろう。奴らは道路だけを歩かない。森から、湖から国境を越えて入り込んでいく。だが我々は、その解決策を持っている」


「分かりました。すこし、まってください」


 リー・ドーソンがスマートフォンをつなげ、どこかに連絡をした。緊張の瞬間で俺達は目を合わせる。すぐに、リー・ドーソンがスマホを切ると言った。


「積み荷を見せてもらえますか?」


「どうぞ」


 大きな軍用トラックに向かって、中を覗き込んだ。


「これは?」


「最先端の、リビングデッド防止になる薬品です」


「なんと……」


 その後ろから、エイブラハムが偉そうに言った。


「ほらほら。君がもたもたしてしまうせいで、人がまたひとり、リビングデッドになってしまうのだぞ。急いで判断を下してくれないか。こちらは、大統領の命令で来ているのだから」


「アメリカ大統領は……存命なのですか?」


「ワシントンを奪取して、拠点を築き上げておるわい」


 すると、その横にいた女が、リー・ドーソンに耳打ちをする。


「わかった。その事は、衛星で確認している。どうやら、嘘ではないようだ」


「うむ。賢明じゃな。人類を助けてほしいのじゃ」


「わかりました。では通します。ですが、カナダ軍の警護のがつきます」


「願ったりかなったりじゃ」


 リーが手を上げてくるくる回す。バリケードが開き、俺達はようやくカナダへと入国する事が出来た。カナダ軍が周りに集まってきて、バリケードが締められて行く。


 アビゲイルだけは、すぐに顔がバレそうなので、サングラスをかけていた。


「ドーソンさん。あなたの判断が、大陸を救う事になるかもしれません」


「いえ。私は、ただ任務をこなしているだけです。そして、アメリカの惨劇に憂慮してます」


「ありがとう」


「ひとまず、国境の事務局にて、全員に待機していただきます」


「当然の事です」


「ご理解いただき、ありがとうございます」


 すぐに建物に案内され、車両の警護にはクキ達がついて、俺達はカナダの出方を見るのだった。

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